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Mar/1999〜 足・下腿・脚 Q&A ライブラリー

あかり [01年 5月 05日 (土) 13時 44分] 愛知県在住、28歳、女性
身長 153cm、職業:主婦
【スポーツ歴】
特になし
【既往歴】
9歳・扁桃&アデノイド除去手術
27歳・薬剤アレルギー性肝機能障害
28歳・流産手術
【合併症等】
軽度喘息
【現病歴】
去年6月に子供のお尻にぶつかって骨折。(足の小指・3番目の骨です)
レントゲンの結果、腫瘍による病的骨折と解りました。
下記の治療・検査を受け経過観察(骨折中は各週・癒合後は1〜2ヶ月おき)を受けていましたが、今年3月子供のおもちゃにつまずいて再骨折。
【医療機関】
初めは開業整形外科医。その後、紹介された公立病院の整形外科。
【診療内容】
内軟骨腫。
骨は腫瘍でペラペラに薄くなってる状態。その中央部で1回目の骨折。
うっすらと骨になりかけている影が見える状態。去年の10月にMRI(単純・造影)を受けて、骨折部から骨が出来て自然に治る可能性があるから、その時を経過観察しながら待っていこうと言うことになっていました。
しかし再骨折してしまいました。先生は「本来ならば自然治癒していっても良かったんですけど折れちゃったでしょ。一回待ったもダメだったんで次もダメなんですよ。骨掻爬・生検・人工骨移植しましょう」と言われました。
予定は5月10日で術前検査も終了してます。(9日入院)
【相談・質問】
今時になってなんだと言われそうですが
・やっぱり手術しないといけないのでしょうか?(どんな場合が手術の対象になるの でしょうか?もう一度自然治癒に掛けてみることは出来ないのでしょうか?)
・内軟骨腫を手術せずに放置しておくと問題があるのでしょうか?
・手術をすれば腫瘍が出来ることはないのでしょうか?
先生の説明にも納得したつもりではいるのですが、手術を前にして「本当に必要なのか?」と言う気持ちが・・・。
TOMOS先生のご意見もお聞きしてみたく、やって来ました。よろしくお願い致します。


[tomos]

 内軟骨腫は手や足の指などにできることが多い良性の骨腫瘍で、比較的多く見られます。たいていは単発性ですが、希には多発性に発生することがあり、そのうちの一部は悪性化することがあります。
 あかりさんのように骨が薄っぺらくなり病的骨折を起こすことが多々あるので、腫瘍の掻爬、骨移植が行われます。摘出した腫瘍の組織は顕微鏡で観察する検査に出すので、病理組織が判明し、確定診断にもなります。
 骨移植は、以前は患者自身の骨を採取して移植していましたが、最近はハイドロキシアパタイトという人工骨を移植しています。歯磨きにも、ハイドロキシアパタイトを含有しているのがありましたね。
 手術後の予後は良好で再発も少ないと言われています。

(May/6/2001)

偏平足 [00年 3月 25日 (土) 8時 30分]

 こんにちは、はじめてメールいたします。実は名前のとおり子供の頃から扁平足です。
 ここ2〜3年、夕方くらいになると足の小指の付け根が皮靴等をはくと痛くなります。先日靴屋さんでそんな話をしたら「原因は扁平足」とのことを聞き、足のアーチを形成する中敷を買って装着したところ、若干痛みは改善されたようです。しかしこのような中敷で扁平足が治るようには思えません。扁平足を根本的に治す方法はあるのでしょうか?

[tomos]

 小児期の扁平足は足の発達が未熟な段階から歩き始めるのが原因で、一般的には成長とともに治ります。
 小中学生になってからは、スポーツなどを始めて足に負担がかかりすぎて扁平足になることがあります。このような状態になっても安静にしてると症状は軽快しますが、さらに無理をしてスポーツなどを続けると、足が腫れてきたり筋力のアンバランスを生じて扁平足が治りにくくなります。なお、足根骨癒合症から筋力のアンバランスを生じ扁平足になることもあります。
 大人の扁平足は、子供の頃に発症しそのまま残った扁平足以外に、肥満や、老化に伴って足が弱くなるために生じる場合があります。大人になってから発症した扁平足も、放置すれば骨や関節に変形を生じ治らなくなります。
 治療面では、小児で発症して間もない扁平足は扁平足矯正体操や足底板(治療用の靴の中敷き)が有効ですが、既に固まってしまった扁平足では主として足底板は痛みを和らげるために使用され、足底板の装着によって扁平足が治るということはありません。
 既に成人に達した?「扁平足さん」の場合は、一度専門医により扁平足の原因や状態を診察してもらった方がいいかと思います。なお、足の関節に変形をきたし痛みが著しい場合には、種々の手術(関節固定術など)が行われることがあり、術後は外見上も扁平足が多少矯正されます。

(Apr/12/2000)

ミホ [00年 3月 15日 (水) 12時 26分]

 こんにちは。ぜひ私の相談を聞いて下さい。
 今年の1月末の事ですが、右足の親ゆびの下あたりの(肉が盛っているところ)がなぜか痛くて病院にかかりました。考えられる原因としてはエアロビダンスとスキーですが、診断結果は「足の親ゆびと足の裏の骨をつなぐ丸い骨にひびが入っている」と言われました。「ひびなのでテーピングをして様子をみよう」と言うことになり、3週間のちに病院に行ったところ「もう大丈夫です」と言われれました。それから2〜3日たってもどうも痛いので別の病院に行ったら、「まだひびが入ってます」と言われ、そこでもまたテーピングの指示があったので、それから2週間のちに病院に行ったら、「そこでももう大丈夫です」と言われたのですが、1週間たったのちもまだ痛みが取れず歩くと足が腫れてしまいます。
 まだひびが入っているのではないかと思いますが、1ヶ月半たっても症状がかわらないので悩んでます。確かに一番体重がかかるところだし歩く事によって動かしているから治りが遅いのも分かるのですが、整形外科のお医者さんの見解としては、「もともと丸い骨にひびが入っている人もいるから心配ありません」と言われてしまって。「ギプスに入ると大変だから」とどっちの病院の先生もテーピングの治療を指示されました。
 私としては1ヶ月半たった今もこういう状況のためとっても悩んでます。やっぱりギプスなり松葉杖なりした方がいいのでしょうか?ぜひ良きアドバイスをお願いします。


[tomos]

 足の母趾(親ゆび)付け根の足底側にはスイカの種の形をした骨が2個あり、これを母趾種子骨と呼んでいます。この種子骨は、母趾の付け根の関節のところで足の骨と関節を形成し、腱(筋肉が骨につながる付近の硬いすじ状の部分)の動きを滑らかにする働きがあります。この種子骨にヒビが入ったり、元々二つに割れていたり(二分種子骨)、種子骨の関節面の軟骨を傷めたりすると、同部の痛みが出現することがあります。これを種子骨障害と呼んでいます。なお、膝蓋骨(膝のお皿)も種子骨の一種で、膝の骨(大腿骨の末端)と関節を形成し、大腿四頭筋(太ももの筋肉)の腱の動きを滑らかにしています。
 種子骨障害の症状ですが、外傷の場合は受傷直後の腫れや痛みが著しいですが、二分種子骨やスポーツにより生じた場合等の慢性的な障害の場合は、痛くて歩けない重い症状から、母趾を背屈(上にあげること)すると痛みが増す程度の軽い症状まで様々です。
 母趾種子骨障害の治療は、外傷の場合はギプス固定・シーネ固定等、慢性の場合は足底板(治療用の靴の中敷き)の装着、同部へのステロイド注射がよく行われます。こういった保存的治療でも症状が改善しない場合は、種子骨を摘出する手術が行われることがあります。
 種子骨障害はスポーツで起こることが多く、ミホさんの場合もそれだと思われます。なお、ヒビが入っていても、骨折が原因なのか元々分裂しているのかはわからないことが多いです。ミホさんの場合は慢性の種子骨障害ですからギプス固定等は必要ないと思われますが、足底板を装着するなどの保存的治療をもう少し続けられたらいかがでしょうか。種子骨を摘出するという方法もありますが、これは最後の手段であり、個人的にはあまりお勧めできません。

(Apr/10/2000)

tamachan [00年 1月 06日 (木) 23時 14分]

 TOMOS先生、はじめまして。
 私は5年ほど前に、足の舟状骨と楔(けつ)状骨の間の関節を固定する手術を受けました。先天的なものらしく、そこの関節が癒合しているため、かなり痛みがきつくなってきたので、 思い切って手術してもらいました。
 反対の足も同じところに痛みがあります。
 もし、私と同じ手術をされた方がいたら、体験談を教えて下さい。先生は、そのような患者さんをご存じないですか?症例が少ないので手術説明書にものっていません。

[tomos]

 tamachan さんの足は「足根骨癒合症」といいます。以前は珍しい疾患と言われていましたが、整形外科医の間にこの疾患が広く知られるにつれ、そう珍しい疾患ではなくなってきています。
 足根骨は文字通り足の付け根にある多くの骨の総称ですが、足根骨癒合症は距骨(足首の真下にある骨)と踵骨(カカトの骨)の間の癒合や、踵骨と舟状骨(足の甲の内側にある舟の形をした骨)の間の癒合が大部分です。tamachan さんのような舟状骨と第1楔状骨(舟状骨の前方にある3つのくさび形をした骨のうち一番内側の骨)との間の癒合は比較的珍しいようです。
 足根骨癒合症の原因はまだはっきりわかっていませんが、tamachan さんのように両足に発症する場合や近親者の発症例も多く、何らかの遺伝的原因が考えられています。
 治療法は、足の痛みがなければ放置しますが、痛みがあればまず足底板を装着して様子を見ます。保存的治療で痛みがとれないようであれば手術を選択することもあります。距踵間癒合症や踵舟間癒合症の場合は若年者では癒合部の切除が行われますが、比較的年齢が高いか関節が既に傷み始めている場合には関節固定術が選択されるようです。tamachan さんのような舟状骨・第1楔状骨間癒合症の場合は、もともと動きの少ない関節なので関節固定術が行われるようです。
 なお、奈良医大整形外科の高倉先生をはじめとした「足の外科」の先生方は、足根骨癒合症の研究では世界的に業績があり、これまでにも多くの患者さんを治療してきました。tamachan さんは奈良県の方だそうですが、おそらく奈良医大整形外科学教室関連の先生から手術を受けられたものと思われます。

(Jan/11/2000)

Wait [99年 9月 09日 (木) 0時 14分]

 始めまして。4ヶ月前サッカーをしている途中に転び、足首を脱臼骨折しました。そのことで相談があります。
 わたしは、21歳、男、身長163cm、体重58kgで航空自衛隊のパイロットの候補生です。スポーツは、中学でバスケットボール、高校と自衛隊でラグビーをやっていました。昔から骨折を何回もやったことがありましたが、障害が残るのと、入院、手術は今回が初めてです。
 怪我をしたのは4月27日で、右の足首が90度外に向いていました。足首の細い骨が折れ、太いほうも少し折れていたらしく、手術をし、細いのにプレートとボルト数本、太いのにボルト2本入れました。何ヶ月もたち足首は少しずつ回復し、いまでは長距離を走ったり軽くスポーツをしたりしているのですが、親趾(ゆび)の調子がどうもおかしいのです。
 まず、自分の力ではまったく上に上がらない。そのかわり、足首を下に向けるとすごい強さで上に上がり、逆に足首を上げると親趾が下がります。下がる強さはさほど強くないのですが、歩くと足首が上がるために、地面によって下に行こうとする親趾を無理やり上げようとするため足の裏のすじが痛くなるときがあります。
 手術前は、親趾は自分の力で上に上げることは出来ました。主治医の話では「手術のため癒着した」ということです。切開した場所は、外側はくるぶしの真上をまっすぐに15cmほど、内側は内のくるぶし(?)のかかと側に三日月型に12cmほどです。この癒着は手術ではがれるそうですが、その後4ヶ月以上動かしていない親趾がいまでも動くかどうか心配です。それと、いつ手術をするのがいいのかよく話してもらえません。
 私はボルトを抜くときにはがしてもらおうと思っているのですが、それについても心配があります。私は次の年明けあたりから飛行訓練が始まります。そうなってしまうともう4年ほどまったく暇がなくなってしまい、入院できる機会がなくなってしまいます。主治医はボルトをつけている期間は通常2年と言っていました。しかしそれまで待つと、4年の間親趾の障害を持ったまま訓練をしなければならなくなります。今はまだ飛んでないため、それがどれだけ訓練に支障をきたすかわかりませんが、出来たら避けたいです。私が受けていたリハビリの先生の話では、半年ほどでボルトをとった例もあると聞きました。
 そこでお聞きしたいのですが、実際半年ほどでとることは出来るのでしょうか?また、早く取った場合、2年間つけているのより障害が残ったりするのでしょうか。本来ならちゃんと主治医に話すべきなのですが、なかなかそのことを相談することが出来ないためこのメールを書かせて頂きました。よろしくお願いします。

[tomos]

 下腿骨折や足関節の骨折の後、足趾が背屈(上にあがること)しにくくなることが時々あります。Waitさんの場合は、筋肉や腱が癒着して拘縮したために生じたとのことですが、そのような場合、母趾だけでなく他の足趾が同時に変形・拘縮することもよくあります。リハビリ等でもよくならなければ、手術で癒着を剥離したり、腱を切離したりします。
 また骨折時や麻酔の後で下肢が動かない状態では、下肢が外旋といって外側にまわった(開いた状態)になり、ギプスやベッドと骨の間で腓骨神経が圧迫され、しばらくのあいだ足首や足趾が上に上がらなくなることが時々あります(これを腓骨神経麻痺といいます)。この場合は足の甲の部分のしびれも伴います。たいていの場合、この腓骨神経麻痺は数ヶ月で回復します。
 抜釘に関してですが、Waitさんのような足関節の果部骨折では、術後6カ月ぐらいで抜釘することもよくあります。骨折部の骨癒合が良好であれば6カ月で抜釘しても構わないと tomos は思います。

(Dec/8/1999)

バッジョ [99年 7月 04日 (日) 11時 47分]

 こんにちは。以前(98年 5月 3日)腸脛靱帯炎の事でアドバイス頂きました。先生のアドバイスにより最近は膝の痛みもほとんどなくジョギングをしております。
 さて、今回は別の痛みでご相談申し上げます。私は32歳、男、180cm、65kgで週に30kmほどジョギングをしておりますが、最近、左足の踵が痛むようになりました。(踵の地面に接地する部分から1cmほど上辺りの骨の部分を指で押さえると痛みがあります)
 ジョギング前にストレッチでアキレス腱は伸ばしているんですが、痛い部分はアキレス腱より下の骨の部分で伸ばす事が出来ません。走り始めて1kmぐらい経過すると痛みは消えます。
 1ヶ月ぐらい前からジョギングを止めて様子を見ているんですが痛みは消えません。どのようにすればよろしいでしょうか?

[tomos]

 バッジョさんの症状は「アキレス腱滑液包炎(パンプ・バンプ)」と呼ばれるものだと思われます。
 アキレス腱の踵骨への付着部には滑液包(摩擦を減らすための組織で、滑液で満たされた袋状のもの)がありますが、足に合っていない靴を履いて運動をすると、その靴の後部上縁が同部を刺激して炎症が起き、アキレス腱滑液包炎になります。「踵骨の後部が出っ張っているとなりやすい」と言われていますが、レントゲン検査をしても「アキレス腱滑液包炎を起こしやすい踵骨かどうか」は、はっきりと分からないようです。
 本症は陸上選手によく起こりますが、発症するとまずは炎症を抑える外用薬を塗ったり、痛みが激しい場合は滑液包内ににステロイド剤を注入したりして経過を見ています。シューズが足に合っていないときはシューズを替えていただいています。長期間保存的に治療しても改善しない場合は、滑液包と踵骨後部を切除する手術が行われます。これは、足を靴に合わせているわけですが、それよりも靴を足に合わせる方が簡単だと tomos は思いますが・・・。

(Sep/8/1999)

さるる [99年 4月 14日 (水) 11時 24分]

 奈良に住む、さるるです。

1)30才、2)女、3)159cm、4)主婦、5)なし
6)右内反尖足によるアキレス腱延長・その他腱移行術(6才)、腰痛症(17才)、側湾症(17才)、アキレス腱周囲炎(25才)、肩関節周囲炎(25才)、右膝蓋大腿関節障害(28才)
7)左内反尖足、右膝内障、リウマチ性多発筋痛症、腰痛(分離症)、腱鞘炎(手)
8・9)リウマチ性多発筋痛症、首と肩のこり。血液検査の結果これだろうといわれ、治療としては、ステロイド服用。痙直型両麻痺による筋肉の緊張により、膝へのストレス。左足の症状は、年とともに出てきたものといわれました。
10)TOMOS先生の職歴にある整形外科

 リウマチ性多発筋痛症とはどのようなものか?
 血液検査の結果が良くなれば、再発の可能性は?
 痙直型両麻痺について、右足、左足、この先の生活と、右アキレス腱延長をすればひざへのストレスは減るか?(PTの先生は、このあたりでしたほうが良いと言われます)
 どうぞ、なにかアドバイスよろしくお願いします。

[tomos]

(1)リウマチ性多発筋痛について

 リウマチ性多発筋痛は、高齢の主として女性に多く生じる頸部、腰部、肩などの筋肉痛とこわばりを主症状とする症候群です。

【リウマチ性多発筋痛の診断基準】
1)血沈の亢進
2)両側の大腿部の筋肉痛
3)食欲不振・体重減少
4)発熱
5)全身倦怠感
6)朝のこわばり
7)両側の上腕部の筋肉痛

 60歳以上で上記の7項目の内3項目以上を満たすものをリウマチ性多発筋痛と定義しています。

 さるるさんはまだ30才ですから、一般的にはリウマチ性多発筋痛とは診断されないように思います。
 リウマチ性多発筋痛は慢性関節リウマチや側頭動脈炎といった自己免疫疾患に近い疾患で、治療としてはステロイドが著効します。また、たいていは1〜2年で病状が落ち着き、慢性関節リウマチなどのように最終的に四肢の機能が著しく損なわれるようなことはありません。

(2)痙直型両麻痺について

 さるるさんの痙直型両麻痺は脳性麻痺(出生時などに起きた脳の酸素欠乏等のために生じる脳が原因の身体の麻痺)の一種で、主に両下肢に痙性麻痺があります。痙性麻痺があると筋肉の緊張が強いために股・膝・足関節の動きが固くなります。
 尖足とは、足首が固くて直角以上に甲側に曲がらず、つま先が下を向いたままの状態をいいます。また、内反とは足が内がえしの状態になることをいい、痙性麻痺の人の足はたいてい内反尖足の状態になります。
 幼児期の内反尖足はまだ発症後の年数が浅く、筋肉や腱などの軟部組織の拘縮が主因で、手術で足首の後面のアキレス腱などの腱を延長することにより変形を矯正することが可能です。さるるさんの場合も6才時に右足にこの手術を受けています。
 現在さるるさんは左足が内反尖足だとのことですが、30才にもなると関節自体が固まってしまい、腱を延長するだけでは内反尖足を矯正することはできません。多くの場合、関節の靱帯や関節包(関節の袋)を切開したり、足首や足の骨を切ったり固定したりする必要があります。
 下肢に麻痺があれば、筋肉の緊張にアンバランスがあり、股・膝・足などの関節に障害を生じることがよくあります。膝の動きに関係する筋肉は下腿部の腓腹筋(アキレス腱の筋肉)だけではなく大腿部の筋肉もあります。膝の拘縮に関してはハムストリングス(膝の後内側の腱)等の複数の腱の延長を要する例が多く、また股関節や足関節の影響もあり、アキレス腱の延長ですべてが解決するという単純なものではありません。また、たとえ腱の延長等により(筋力が落ちるという副作用があるものの)関節の拘縮などを緩和させることができたとしても、痙性麻痺がある限り筋緊張のアンバランスが続くわけですから、完全に下肢の症状を治すということは現在の医学では不可能でしょう。
 麻痺や関節障害の程度は症例により様々です。さるるさんの病状は主治医の先生が一番よく把握されているはずですから、わからないことがあれば主治医の先生によく聞いてみましょう。

(Apr/17/1999)


さるる [99年 4月 19日 (月) 19時 27分]

 またまた登場のさるるです。先日の相談コーナーでお聞きするのを忘れたのですが、右膝の調子が悪く、軟骨も擦り減って亀裂がはいっててヒアロスを打っているのですが、根本的には「筋肉の緊張が強いのと膝蓋骨高位なのが問題」のようです。
 装具で膝蓋骨を押え込んで下がるようにしているのですが、装具も連続して装着してられないので(こすれて傷になったり、かぶれる)、主治医のいうには「手っ取り早く治すには、手術で膝蓋骨の位置をさげるのが一番」といわれました。
 どのような手術で、全身麻酔じゃなくても出来ますか?入院期間は?TOMOS先生、教えてください。

[tomos]

 さるるさんは主治医から「脳性麻痺(痙性麻痺)のため筋緊張が強く、また膝蓋骨の位置が高いのが右膝の症状の原因」との説明を受けられたようです。
 今回のご相談ですが、やはりネット上のやりとりだけでは、さるるさんの「膝蓋骨高位」が現在の膝の症状にどの程度関与しているのか等がよく分かりません。したがって、さるるさんの右膝がはたして膝蓋骨の位置を下げる手術の適応なのかどうか判断しかねます。
 できましたら主治医の先生か園長先生にもう一度よくご相談下さい。

(May/5/1999)

H.Y. [99年 3月 16日 (火) 5時 32分]

 背が低く、コンプレックスを持っています。だから、町中を歩くのも周りの背の高い人が気になって、気が引けます。
 そこで、お聞きしたいのですが、整形手術で背を高くすることは出来るのでしょうか?特に脚ですが。もし、可能なら、どのくらいの費用でどのくらいの期間がかかるのでしょうか?そして、何が不安視されるのでしょうか?また、その後の事例などもありましたら教えて下さい。
 ほかにも、外科に限らず、背を高くする方法がありましたら教えて下さい。

[tomos]

 手術で脚を長くするには脚延長術という方法があります。これは、下腿骨または大腿骨で骨を切り離し、切離した両側の骨を創外固定器で1日に少しずつ(例えば0.5mmずつ)引き離して切離部に出現した仮骨を徐々に延長させて、その結果脚が延長されるという方法によるものです。最大10cmぐらいまでの延長が可能で、治療期間は延長する長さによりますが数ヶ月から1年かかります。
 この手術が適応となるのは
1)片側の脚が健側に比べ3cm以上短い場合(先天的または外傷や病気のため)
2)四肢(腕や脚)が短いタイプの小人症(achondroplasia、軟骨無形成症)などの場合
などで、いずれも治療には健康保険が適応されます。
 我が国では、「単に身長が少し低い」というだけでは脚延長術は行われません。特に四肢と胴のバランスが正常な場合、脚だけを延長すると脚だけが異様に長くなってプロポーション的にかえって不自然になります。
 背の低い人は「もっと高くなりたい」(特に男性)、背の高い人は「もう少し低くなりたい」(特に女性)等の願望をもつのは自然ですが、多少の背の高低はその人の個性であり、手術で治す必要はないと考えます。
 成長ホルモンには、身長を伸ばす働きがあります。このホルモンは、男性の場合20歳頃までは分泌されます。このホルモンは主として睡眠中に分泌されるので、若い力士(例えば昔の貴乃花がそうでした)のように、運動して、おなかいっぱい食べて、よく寝る生活を続ければ、身長が伸び逞しい体になります。「寝る子はよく育つ」は科学的に正しいわけです。病気でない人に人為的に成長ホルモンを投与するのは副作用等からも好ましくないと思います。

(Mar/16/1999)

ダルタニアン [99年 3月 07日 (日) 20時 59分]

 1)23歳。2)女。3)157cm、58kg。4)学生。5)水泳、新体操、スキー。6)幼稚園の時、ヘルニア/中学の時、背中の靭帯損傷/大学2年の時、左膝の内側靭帯損傷。7)左足の外反母趾。8)去年の4月くらいから(今までも外反母趾だったが)急に左足の外反母趾がひどくなり、母趾のしびれや足の疲れがあり、時に激痛がはしるようになった。9)とりあえず母趾と第2趾の間にスポンジのようなものをはさんだサポーターと、足の裏をすこし持ち上げるようなゴム状のものをもらい使用したところ、症状は少しかるくなった。しかし痛みはすこしあり、運動などをすると特に痛くなる。手術もあるそうなのですが結構大変らしく、しかも今私は歯科大学に通っており病院実習があるため、そうかんたんに手術というわけにもいきません。もうずっとこのままでいるしかないのでしょうか?10)整形外科。  どうすることがいちばんよいのか、教えてください。お願いします。

[tomos]

 外反母趾に関するご質問です。
 外反母趾とは足の第1趾(親ゆび)が外側(第2趾側)へ曲がる変形で、その大部分は先のとがったハイヒール等の靴が原因です。つまり、靴の形に合わせて足が変形するわけです。また外反母趾は、クラシック・バレーのようにトウ・シューズをはいてポアント(つま先で立つこと)をするバレリーナなどにも生じます。一般には母趾が15度以上外側に曲がっている場合を外反母趾と呼んでいます。外反母趾になると、母趾の付け根にタコができたり、足のゆびが重なってしまったりして痛みが生じ靴が履けなくなります。
 外反母趾にならないようにするには、まずハイヒールの類の靴は履かないようにすることが基本です。どうしても仕事でハイヒールを履く必要のある人は、通勤時はスニーカーを履くなどの工夫が大事です。
 すでに外反母趾になっている人の場合、軽い外反母趾の場合には、外反母趾を矯正する装具(主に夜間に装着)、ゴムひも利用した両母趾の体操、タコが靴で擦れないようにするパッドをあてるなど、いろいろなケアをして様子を見ています。しかし、もとの真っ直ぐな母趾に治すには(特に30〜40度以上の外反母趾のような場合)、種々の手術によるしかありません。
 ダルタニアンさんの場合、外反母趾がどの程度なのかわかりませんが、装具で多少痛みが楽になったとのことです。新体操でポアントをするのかどうか存じませんが、もしポアントをするのであれば新体操はますます足を傷めることになります。また、「外反母趾製造靴」であるハイヒールを履かない方がいいのは言うまでもありません。(足だけでなく耳にもタコができたかもしれませんが)


(Mar/14/1999)

まっちゃん [99年 3月 02日 (火) 20時 39分]

1)24歳 2)男 3)169cm・57kg 4)事務職 5)野球・ゴルフ6)大学時代(3年前)バイクで追突されてくびが軽い鞭打ちになってしまった。
 7・8・9)昨年くらいから足の親指の付け根(人差し指側)からつま先にかけて痛かゆい感じがありました。痛みは2〜3日でひいていたんですが、2ヶ月前くらいからその部分の痛みがひかず自分でマッサージとかをしていたんですが、とうとう感覚がなくなってしまったんです。痛みは一個所あるんですが、その周りはなんか指を挟んだ直後のような感じで、歩くとすっごく違和感があります。ここ最近は痛みがひどいので歩くのさえ痛くなってきました。左足に比べて右足の親指はすっごく腫れてるんですが、熱は持っていません。
 9)病院に行ったところ、初めは「軟部組織の損傷ではないですかね?」といわれました。あまりに痛いので今日またその病院に行ったところ「レントゲンをもう一度撮りましょう」と言われレントゲンをとったところ「ガングリオンだ」といわれました。以前友人のガングリオンを見せてもらったことがあるんですが、硬かったんです。私のはべつに患部が硬いわけではありません。どちらかというと指全体が腫れたような感じなんです。これはほんとにガングリオンなんでしょうか?次週の通院するさいには針で中のものを抜きましょうといわれています。
 それと同じ病院でなんですが、事故をした時からしばらくしてくびの鞭打ちは治ったと思っていたんですが、最近痛いとおもい首筋を触ったところグリグリが出来ているんです。左側を向くと痛いんです。その病院の診察では「首の筋肉が硬直しているので、電気を当てましょう」といわれました。グリグリの事にはまったく触れませんでした。電気を当ててもまったく改善されません。なにか、他のことが考えられるでしょうか?
 10)整形外科に通院しています。
 長くなって申しわけございませんが、よろしくお願いいたします。

[tomos]

(1)右足の母趾のガングリオン?
 ガングリオンは袋状の腫瘤で内部にゼリー状の内容物を含んでいて、硬いというよりは少し柔らかいです...。ご相談内容からは何らかの腫瘤が右母趾の神経を圧迫していることが考えられますが、ガングリオンかどうかはわかりかねます。注射器で腫れているところを穿刺してゼリー状のものが吸引できればガングリオンだといえますが。
 ガングリオン等の何らかの腫瘤が神経を圧迫していて痛みがあり、経過を見てもなかなか良くならないのであれば、手術でその腫瘤を摘出するケースが多いです。
(2)首筋のグリグリ?
「首筋のグリグリ」で頻度が高いのはリンパ節とアテロームです。
a)リンパ節
 風邪、虫歯、中耳炎、副鼻腔炎等の炎症があると、リンパ節が腫れて「グリグリ」として触れることがあります。
 時にはガンが転移してリンパ節が腫れることもあり、悪性リンパ腫のようなリンパ節自身に生じる悪性腫瘍もあります。24歳でそのような病気になことは比較的少ないですが。
b)アテローム(紛瘤腫)
 「できもの」の類では、アテローム(紛瘤腫)というマヨネーズ様の内容物(少し臭い)を含む袋状のできものが皮下にできることがあります。普段は無症状でも化膿すると赤く腫れ、膿が出て痛みを生じます。
 化膿を繰り返す場合や、アテロームが大きい場合は手術で摘出します。
c)筋肉
 頸部捻挫(俗に言うムチウチ)で頸部の筋肉に肉離れを生じ、そこが「しこり」になることも、ないことはないでしょうが、「軽いムチウチ」でしかも3年も経過していればそのようなことは生じないように思います。
 なお肩こりでも筋肉が硬くなり、触るとしこりのように感じることがあります。

(Mar/7/1999)

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tomos<since Jan/17/1998>last updated May/20/2001