〜Feb/1999 足・下腿・脚 Q&A ライブラリー |
N.A [99年 2月 18日 (木) 12時 31分]
はじめまして。現在6ヶ月になる息子の病気についての相談です。
生後1ヶ月の時、突然40度近い熱が出て、原因不明ということで総合病院の小児科に入院しました。翌日、左足の付け根からつま先まで赤く腫れ、レントゲンや血液検査等の結果、左足首の骨髄炎と分かりました。
その日のうちに整形外科へ転科、手術し、患部を切開・洗浄しました。ですが2・3日経っても膿(?)が止まらず、毎日生食で洗浄しました。培養検査の結果原因菌は MRSA という菌だそうで、抗生物質の点滴も持続的にしていましたが、炎症反応はなかなおさまる気配がなく、1回目の手術から10日後、患部に管を入れ生食を流し、洗浄する手術をしました。それから1週間後、管を抜き、さらに2週間後には、無事退院しました。
長い炎症の結果、患部の骨の一部は溶けてしまいました。担当医のお話では、「溶けた部分の骨が再生されなければ歩行障害が残るかもしれない、この病気の原因については事故に遭ったと思ってください」とのことでしたが、どうもすっきりしないのです。
MRSA という菌はどこにでもいる菌なのでしょうか。また、乳児の骨は一度溶けても再生されるのでしょうか。
ちなみに、出産は正常で、息子が特別な処置を受けた様なことはありません。よろしくお願いいたします。
[tomos]
乳児化膿性関節炎・骨髄炎は、他の病巣からの細菌が血行性に(血液の流れに乗って)骨・関節に感染して化膿するもので、股関節や膝関節の周囲によく生じます。tomos は足関節部の乳児化膿性関節炎の経験はありません。
MRSA(methicillin-resistant Staphylococcus aureus)は抗生物質が効きにくい黄色ブドウ球菌の略称です。黄色ブドウ球菌自体はどこにでも存在しますが(正常人の皮膚にも常在しています)、抗生物質が使われる機会が多い最近は、抗生物質に耐性ができて通常の抗生物質が効かない(ただし多くの場合バンコマイシン、ハベカシン等は効く)黄色ブドウ球菌(MRSA) による感染症が増加しています。
小児の骨にはその端に骨の成長する軟骨の層(成長軟骨)があります。たとえば脛骨(スネの骨)の場合、膝に近い部分と足首に近い部分に成長軟骨があります。「患部の骨の一部が溶けてしまった」とのことですが、どの骨のどの部分がどの程度溶けたのか不明で、また生後6ヶ月の乳児ではまだ骨も未熟でレントゲンによる診断も難しいと思われますので、はっきりとしたことは申し上げにくいですが、後遺症として多かれ少なかれ脚の変形が残ると思われます。足関節の固定術が必要になる場合もあります。最悪の場合、もし脛骨の成長軟骨も破壊されているようでしたら、右脚が短くなることも覚悟しなければなりません。万が一著しい脚長差(3cm以上)が生じた場合は、小学生〜高校生ぐらいに成長してから手術で脚を延長するという方法もあります。
(Feb/23/1999)
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清隆 [99年 2月 17日 (水) 16時 40分]
はじめまして、28歳テニスが大好きな会社員です。
早速相談なのですが、3週間程前にテニスの試合中に右足首を強くひねってしまい、その後痛みをこらえて試合を続行しました。試合後もかなり痛かったのですが、何とか歩けることができたので軽い捻挫だろうと思い、ずっと今日まで消炎湿布を貼り続ける程度でいました。
結果腫れの方はたいぶひいたのですが、足首を曲げるとまだ痛みがあるので、これは専門の医者に診てもらった方が良いと思い、今日近所の整形外科に行ってみると、まずレントゲンを撮られました。レントゲンの診断の結果、”靱帯をかなり痛めています、中傷ですね。3週間もたっているのではちょっと処置が遅いです”と言われました。”もっと早く来ていればギブスをはめているところですよ”とも言われました。
その後、足首を引っ張った状態で撮ったレントゲン写真で左足首と右足首を比べてみると、骨と骨の関節の開き具合が傷めた右足の方が1.5倍くらい広くなっていました。
”今からでは処置が遅いけど、せっかく来たんだから”と先生に言われ、今右足首には消炎効果のある湿布と固定する為の脱着式のテーピングが巻かれています。”3ヶ月は安静にしていなさい。これは元通りにはなかなかならないよ。手術をしてもなかなか靱帯は治らないよ”とも言われ、かなりショックだったのですが、それ以上にテニスが大好きな自分としては3ヶ月安静というのはかなり辛い診断でした。
このまま3ヶ月安静にしていれば、右足首の後遺症は残らないのでしょうか?今後テニスができなくなるのが一番心配です。
[tomos]
足首の捻挫(足関節外側靱帯損傷)の治療は、その程度によりケースバイケースで、湿布で様子を見る場合から手術を勧める症例まで様々です。
足首を引っ張った状態で撮ったレントゲン写真(ストレス・レントゲン撮影)で関節が開いていたとのお話から、靱帯が切れているのはほぼ確実です。こういった患者さんが来院された場合、tomos は手術をするかどうかは、患者さんのアクティビティ(活動性)、脚の形態、関節軟骨損傷の合併の有無などを総合的に判断して決めていますが、一般的なケースでは3週間ギプス固定とし荷重(脚に体重をかけること)歩行は許可することが多いようです。
受傷後3週間を経過している場合は、ギプス固定はもうしませんが、カッチリした足首のサポーターをしばらく装着していただいています。
後遺症が心配とのことですが、脚の筋力がしっかりしていて無茶をしなければ、レクリエーション程度のスポーツ活動には支障がないことが多いです。しかし靱帯損傷により関節のゆるみは残りますから、スポーツをする時はサポーターの装着、テーピング等を指導しています。関節の不安定性や痛みのため、スポーツ等に著しい障害がある場合は、患者さんの希望があれば靱帯再建術を行っています。
(Feb/23/1999)
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E・I [99年 2月 14日 (日) 2時 08分]
52才の主婦で、身長=155cm、体重=47kgです。
昨年11月に階段を踏み外し、「左足首の剥離骨折」と診断され、3週間のギブス固定をしました。その後レントゲン撮影したところ骨は良くついているので、特にリハビリの指導もなく、この2月になりました。
いまだに正常な歩行ができず、少し脚を引きずっています。階段も下りは一段ずつ降りるような具合です。このまま時期を待つしか仕方ないのでしょうか?適切なリハビリがございましたら、ご指導お願いいたします。
骨密度検査では「年齢の割には強い方である」との結果でした。宜しくお願いします。
[tomos]
E・Iさんは左足首を捻挫し、おそらく足関節の外側の靱帯を損傷されたようです。ただし靱帯が切れるのではなく、靱帯が骨との付着部で骨ごと剥離(はがれること)骨折したそうで、ギプス固定を受けた後、現在は骨折部の骨癒合も良好とのことです。
この骨折が癒合すると靱帯の機能もほぼ正常に戻り、障害もあまり残らないことが多いようです。ただし骨折の時に距骨等の関節の軟骨を損傷(骨軟骨骨折)していることもしばしばあり、その場合はそれに対する治療が必要です。
ギプス固定をして長期間にわたり免荷(脚に体重をかけないこと)をしていると、足の骨や筋肉がやせることがよくあります。このためギプス固定中はギプスのまま荷重(脚に体重をかけること)して、骨や筋肉がやせないようにしていただいています。
「現在できるリハビリは?」とのご質問ですが、足の場合は歩くことがリハビリになり骨や筋肉の衰えや関節の動きを回復させることができなす。ただし歩くときは、できればジョギング・シューズ等の足にやさしい靴をはきましょう。
(Feb/16/1999)
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ごーちゃん
[98年 11月 04日 (水) 19時 33分]
初めてこのHPを拝見させていただいて、藁にもすがるような気持ちでご相談させていただきます。
私、33歳の会社員です。実は今年1月、職務中に誤って通行人の女性(35歳)に怪我をさせてしましました。「左第2趾末節骨剥離骨折、左前足部挫傷」ということで、最初は「全治1ヶ月」という診断でしたが、今日現在治療が終了していません。
7月6日のものとして診断書が送られてきて、「反射性交感神経性ジストロフィー」と「左足第2〜5中足骨頚部より末梢に骨萎縮あり」との診断書を見せられました。
検査結果として
CRP<0.3
白血球数6000
光性浮腫なし圧痛なし
腫脹ほとんどなし
処方 インテバン外用液
というのが出ているようですが、チンプンカンプンです。どういった内容なのでしょうか?
相手の女性はまだ通院中とのことです。ぜひともお答えをいただきたく、何とぞ宜しくお願いいたします。
[tomos]
相手の方のお怪我は、「左足の2番目のゆびの先端の骨(末節骨)が部分的にはがれるように骨折し」、また「左足の前方を傷められた」ようです。
「反射性交感神経性ジストロフィー」はRSDと呼ばれ、足が原因で生じた場合は、足の骨がやせてくること(我々はこれを「ズデック骨萎縮」と呼んでいます)がよく認められます。
CRPの値や白血球数は、体の炎症の程度を反映する検査で、「CRP<0.3」、「白血球数 6000」というのは正常範囲です。「浮腫」は「体のむくみ」をいいます。「圧痛」は体に指で圧迫を加えると痛みを感じることをいい、「圧痛なし」とは、体に「押さえて痛みを感じる部位はない」ことを示しています。腫脹は「はれていること」です。
「インテバン外用液」は薬剤の商品名で、インドメタシンという痛み止めを含有した塗り薬です。
(Nov/10/1998)
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TK
[98年 9月 03日 (木) 23時 58分]
アメリカに今住んでいる32才の女性会社員です。5月の末に道で右足首を捻挫しました。病院に行ったら[折れてはなさそうなので,それほど深刻ではない]といわれてサポータで3週間くらい固定していました。
あれから3ヶ月以上たつのに,いまだに少し足をひきずったり軽い痛みがでたりして、まだ走ったり正座ができません。捻挫する前はヨガをしていたのですが、座る姿勢や右足だけに負担のかかるポーズなどはできなくなりました。
少しずつ治ってきているような気もしなくはないのですが、捻挫はこんなに時間がかかるものなのでしょうか?
[tomos]
骨折と捻挫を比較した場合、一般的には骨折の方が重症と考えられます。しかし、たとえば脛骨(スネの骨)の中央部での単純な(骨折部がずれていない)骨折と、足関節のひどい捻挫(外側靱帯帯損)は、どちらもギプス固定で治療されることが多いですが、両者を後遺症状で比べた場合、捻挫の方が後遺症状が残りやすくなります。
骨折はギプス固定で骨がつながればしっかり安定し、変形や短縮が残らなければほとんど障害が残りません。一方、捻挫(靱帯損傷)は、ギプス固定をしても靱帯がゆるんだ状態が残り不安定な関節となる場合があり、後々、足関節の痛み・はれ・ぐらつきなどが続くことがあります。そして長期的には足関節の摩耗をきたし、変形性関節症(関節がすりへって変形した状態)になることがあります。そのため我が国では、ひどい新鮮足関節靱帯損傷には靱帯を縫合する手術を行ない、後遺症状を少なくしようとすることがあります。また、適切な治療が行われなかったか、ギプス・サポーター固定の後に靱帯のゆるみが残った陳旧性足関節靱帯損傷には、靱帯の再建術が行われることがあります。
ご相談の件ですが、米国では足関節の捻挫は、ほとんどの場合ギプス・サポーター固定が行われます。新鮮足関節靱帯損傷に対して靱帯縫合術が実施されるのはまれだそうです。これは欧米人と日本人の脚の形態に違いがあるからです。欧米人は脚がまっすぐスラッとした人が多く、足関節の外側の靱帯を傷めてゆるくなっても、足関節にかかる力が均等なため関節面へのストレスが比較的少なく、日常生活に支障をきたすような症状が残りにくいからです。米国では医療費が高く、これも靱帯縫合手術があまり実施されない理由の一つです。
これに対して、日本人に多いO脚の人では、足関節の関節面が内側を向いて傾斜していて、靴のカカトも外側からすり減っていきます。このような形態の足関節では、外側の靱帯がゆるくなると、関節のぐらつきのため関節面に不均等なストレスがかかり、だんだん関節を傷めることになります。このような理由から、我が国では足関節の新鮮外側靱帯損傷に対して、靱帯を縫合して治し、後遺症状をなるべく少なくしようという考え方がみられます。
もちろん我が国でも程度の軽い捻挫はサポーターで、また重度の捻挫でも高齢者等ではギプス固定というように、手術よりも保存的治療の方が多く行われています。
足関節の外側靱帯損傷を手術で治すか、ギプス・サポーター固定で治すかの選択は、靱帯の傷み具合、患者さまの年齢・性別や職業・スポーツ、脚の形態なども考えて総合的に判断されています。
(Sep/8/1998)
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眠眠
[98年 9月 02日 (水) 21時 28分]
中学二年の女子で現在バレー部に所属しています。
昨年の今頃から、両足のくるぶしの内側からつちふまずに痛みが走るようになり、医師の診断を受けたところ「外脛骨障害」と診断され、以来痛みがひどくなるとクラブの練習を途中で抜け、痛みが少し収まると練習をするということを繰り返してきましたが、最近とみに痛みがひどくなり、現在は「接骨医」でマッサージを受けております。
私としては早く完治できるのであるならば、手術を受けたいと思います。
ご相談の内容というのは、
1.最初にかかった「整形外科」の先生は、手術をしても治る確率は5割とおっしゃいましたが、そんなに確率は低いのでしょうか?
2.個人差があるので一概にはいえないでしょうが「手術」、「ギプス」、「松葉杖」、「リハビリ」、それぞれのおおよその期間をおしえていただけませんか?
3.「合併症、後遺障害」の中で、種々の痛み、しびれが続くとかかれてありましたがそれらがあっても運動には差し障りはありませんか?
[tomos]
外脛骨障害に関しては、手術説明書の外脛骨摘出術のところで説明していますので、そちろも参照して下さい。
外脛骨は約15%の人にみられ、それがあること自体は病気ではありません。外脛骨は足の内側に骨の出っ張りとして触れ、舟状骨に隣接しています。そこには、足を内がえしさせる作用のある後脛骨筋の腱が付着しています。
同部の痛みは10代にスポーツ等で発症することが多く、原因は1)出っ張っているために靴があたる、2)後脛骨筋腱の腱鞘炎、3)外脛骨と舟状骨との間の軟骨などを傷める、などが考えられます。
外脛骨障害はサッカー、バスケットボール、バレーボール、陸上など多くのスポーツで生じます。(踊りの)バレーでは「ポアント」といってつま先立ちをするため、空手では「猫立ち」という踵を浮かせる姿勢をするために、後脛骨筋腱が付着する外脛骨に負担がかかり、同部の痛みを生じることがあります。
治療は、まずスポーツを休止し同部に湿布をはったり軟膏を塗ったりして様子を見ます。同部に注射をしたり、足底板といって特殊な靴の中敷きを装着したり、場合によっては3週間ギプス固定したりすることもあります。たいていは、これで症状が良くなりますが、長期間治らない場合や、早期のスポーツ復帰を希望する場合は、手術をすることがあります。
手術方法にもしろいろありますが、外脛骨摘出術は術後の成績も良好で、1)治癒率はほぼ100%、2)手術は1時間以内、ギプス固定は2〜3週間、松葉杖は1〜2週間(ギプスのまま歩いても良い)、リハビリはほとんどいりません。3)合併症、後遺障害もほとんどないでしょう。
他の手術方法にはドリリングといって、外脛骨と舟状骨を鋼線で何回もドリリングし(要するに串刺しにして)、二つの骨の骨癒合を促進してくっつけようとする方法があります。この場合は1)治癒率は約50〜75%、2)手術は穴を開けるだけなので約20分、ギプス固定は3週間、松葉杖は3週間、リハビリはいりません。3)合併症、後遺障害もほとんどないでしょう。
摘出術、ドリリングともによく行われている手術方法です。
(Sep/6/1998)
眠眠
[98年 9月 07日 (月) 21時 48分]
ご親切な回答どうもありがとうございました。現在はトレーナーの方を紹介していただき、足底板を装着しております。しばらくは様子を見ようとは思いますが、効果が現れなければ手術も考えたいと思います。
つきましては2点ほどご質問があります。
先生は二つの術式について述べられましたが、内容をみる限り「外脛骨摘出術」の方が治癒度が勝っているように思われますが、「ドリリング」をしなければならない理由のようなものがあるのでしょうか?
また「外脛骨」を摘出して、何かスポーツをするに当たって不利益となるようなことがあるのでしょうか?
[tomos]
ドリリングは皮膚を全く切らずに行えるので、体にあまり傷をつけずに行えるというメリットがあります。ただし、ドリリングをしても骨がつながらないことがあるので、期待した通りにならないこともあります。また外脛骨は、摘出してもなんら障害を残しません。
(Sep/9/1998)
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聖人君子
[98年 7月 08日 (水) 17時 16分]
はじめまして、私は、32歳の男性会社員です。仕事内容は、デスクワークが5割、営業(車中心)が5割です。身長177センチ体重は75キロぐらいで、過去にスポーツは中学・高校とバレーボールをしていましたが、現在は何もしてません。過去にこれと言った傷病はなく、約1年半前に捻挫でギブス生活をしました。
今回の怪我のことですが、7/5にバレーボールを久しぶりにしていてアキレス腱を切ってしまいました。ジャンプしようと踏み切った瞬間、左足の足首にドンといった感じの衝撃があり、すぐに近所の中央病院(私の住んでいるのは田舎町ですので唯一1件の総合病院)に診察に行ったのですが、そこの先生曰く「指2本分ほど切れてます」とおっしゃいました。
そこで受けた処置ですが、ギブスを脚の付け根からつま先まで固定し自然につながるのを待つそうです。脚の上までの固定が3週間、膝下の固定が3週間、計6週間の固定といわれました。
よくわからないことは、@指2本分の間隔が固定だけで自然治癒するのかということ、A完治後のリハビリの必要とその方法、B後遺症の有無、C膝上までの固定が本当に必要なのかということ、D固定による筋肉のやせ具合等、私は大きな傷病の経験があまりなく、まして医者通いもあまりなく分からないことばかりです。そして、E再びスポーツができるのでしょうか。F予防法とかあるのでしょうか。私は昔から体が固く、Gこれも今回の怪我と関係あるのでしょうか。
些細な質問ばかりで申し訳ありませんが、お暇なときに回答お願いできれば幸せです。
[tomos]
Q&A集の「アキレス腱断裂」のところと手術説明書の「アキレス腱縫合術」のところはもう読まれたでしょうから、ご質問に対する回答を以下に示します。
@先日、大学の助教授(足の外科が専門)にお聞きしたところでは、「経験を積んだ医者が治療すれば、アキレス腱をギプスで治療中に再断裂する確率は、手術でアキレス腱を縫合した場合の再断裂の確率と特にかわらない」そうです。つまり、ギプスで治療しても手術で治療しても成績に変わりがないそうです。日本では、アキレス腱は手術で治す傾向にありますが、アメリカ(医療費が高い)ではギプスで治す場合が多いそうです。たとえ断裂部にギャップがあっても、ギプスは尖足位(つま先が地面を向いた格好)で巻くので断端部が接近しますから問題ありません。
保存的治療(ギプス治療)よりも手術的治療の方が、早くリハビリができて社会復帰・スポーツ復帰が多少早いような印象がありますが、2年後、3年後の話になると、どちらで治療してもほとんど成績に差がないでしょう。
Aギプス固定中も、脚の筋肉の等尺運動(じっとしたまま力を入れること)をしておく必要があります。簡単な方法は、SLR(straight
leg raising、下肢伸展挙上)といって、寝た状態で、ギプスを巻いた脚を約10度ほど挙上し、約10秒ほどそのままにします。これを何回か繰り返します。この運動は、太ももの筋力の衰えを防止します。足首に重りをつけるとなお効果的です。ギプスをはずした後は、筋力や足首の可動域が低下していますから、筋力や可動域のリハビリが必要なのは言うまでもありません。
B脚の筋力が多少弱る、足首の動きが少し悪い、時々アキレス腱のところが少し痛むなどの症状が残る場合があります。
Cアキレス腱はふくらはぎの筋肉に連続しています。ふくらはぎの筋肉はアキレス腱を介して「かかとの骨」につながり足首の底屈(足の裏側に曲げる)の働きがありますが、その上側は大腿骨の下端につながっています。このため、ギプスでアキレス腱を安静に保つには膝上までギプスを巻く必要があります。
D ABを参照。
Eレクリエーションでするスポーツは可能です。
FGアキレス腱は20代後半から50代までに多く発生します。体が固くなるからです。スポーツの前に十分なウォームアップ、ストレッチングをすれば(できれば30分程度)、アキレス腱断裂などのスポーツ傷害を予防できます。
(Jul/9/1998)
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A.I.
[98年 5月 30日 (土) 11時 17分]
はじめまして、フットケアの仕事をしています。
先日足の甲にくるぶしよりも大きなガングリオンをもったお客様が来られました。痛みもないようなのでマッサージをしましたが手持ちの本で調べましたが、原因や症状、治療方法など書かれたものがありません。詳しく教えていただければと思います。
[tomos]
ガングリオンは関節の周囲にできる柔らかい良性の「できもの」です。「ガン・・・・」という名前ですが、ガンではありません。腱鞘(腱の通る「トンネル」の壁)や関節包(関節の袋、この中に潤滑液のような関節液が入っている。)から発生した袋状の「できもの」で、ゼリー状の内容物が入っています。
手首や足首、膝など体中のいろいろなところにできますが、なかには関節近傍の骨の中に発生する例もみられます。
整形外科にはガングリオンの患者さんが多く来院されます。ほとんどの患者さんは無症状です。来院時、診断の意味もあり、ガングリオンを注射器で突いてゼリー状の内容物を吸引しますが、原因となる袋が残るので、また内容物がたまってきて膨らんできます。
手術で摘出する適応となるのは、痛みがある場合、神経や血管を圧迫している場合、大きさが非常に大きい場合などです。手術時、ガングリオンの根元まで完全に摘出した場合はもう再発しないはずですが、現実には約30%に再発をみます。
足首でガングリオンと間違われやすいものに「滑液包炎」があります。足首の前面の外側によくできます。滑液包は、主に関節の近くの筋肉や腱の周囲にあるその中に滑液が入った袋で、筋肉や腱の運動を円滑化する働きがあります。滑液包炎は滑液包の圧迫刺激が原因となって炎症を起こし液がたまるもので、具体的には正座をよくするご婦人に多くみられます。かなり大きくてふわっとしているようなら、ガングリオンよりも滑液包炎の方が考えられます。治療は、まず原因となる正座などを控え、局所に消炎外用薬を塗布したりします。また、膨れた滑液包を穿刺し内容液を吸引し、しばしばステロイドを注入したりします。こういった治療でも炎症が治らない場合は、手術で滑液包を摘出することがあります。
(Jun/1/1998)
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M.T.
[98年 5月 3日 (日) 17時 27分]
はじめまして、41才男性。身長173cm、体重は80Kgあります。スポーツは、テニスをかれこれ23年間しています。
実は昨年の秋頃から左足の踵が痛みだし、近所の医師に診てもらったところ踵に角みたいな骨がでてきていました。薬はインドメタシンの塗り薬をもらっただけで、それ以来痛みは良くなることなく徐々にひどくなっています。なお、私の足は少し甲高です。
何か良くなる方法はありますか?また、手術は可能なのでしょうか?以上、宜しくお願いいたします。
[tomos]
M.T.様の踵にできた骨の棘(とげ)は、「踵骨棘」(しょうこつきょく)といいます。踵の骨を踵骨(しょうこつ)と呼びますが、踵骨の足底部には足底腱膜やいろんな筋肉が付着しています。長年の間には、その付着部が筋・腱に引っ張られて、骨の棘が生じることがあります。これを「踵骨棘」と呼んでいます。M.T.様の場合、肥満(失礼)、甲高の足、テニスなどのスポーツ歴なども踵骨棘の発症に影響しているかもしれません。
踵骨棘があっても必ずしも痛みがあるとは限りませんが、症状としては、立ち上がるときや歩行時に土踏まずの後方内側が痛みます。レントゲンでは、同部に骨の棘が写ることが多いですが、骨の棘がほとんど目立たない場合もあります。どちらかと言えば中年の女性に多い疾患です。
治療は、同部を安静に保つのが基本です。松葉杖を用いて、踵に体重がかからないようにします。痛みが強い場合は鎮痛剤を服用します。また、患部にステロイド等を注射をすることもあります。踵の棘がある部分に穴のあいた足底板(靴の中敷きのようなもの)を作成し、それを装着していただく場合もあります。これらの保存的治療で、たいていは数日から数週で痛みが和ぐことが多いです。できれば肥満も解消した方がいいでしょう。足の裏〜アキレス腱のストレッチングも効果的です。
手術で骨の棘を切除するという方法もありますが、現実問題として、手術になることはまずありません。
(May/6/1998)
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K.S.
[98年 3月 23日 (月) 16時 12分]
はじめまして。31才の会社員(男)です。足首の治療のことでアドバイスお願いします。
私は11才から大学4年まで陸上競技をしていて、ちょっと特殊ですが棒高跳びを中心に、冬季は駅伝も走っていました。社会人になりマラソンに転向し、練習は通勤の帰宅を利用して、リュックをしょって15〜20kmほど走ることもありました。
96年9月、フルマラソンのレース中、30kmくらいで左足首が「抜ける」ような違和感を感じ、その後痛みとなり、そこから10km程度を歩くようにゴールしました。
足首は大きな怪我をしたことはなかったのですが、趣味でやっている登山中にもこの「抜ける」ような違和感を感じたことがありました。で、同年10月、ハーフマラソンに出たら、レース後歩くのも大変な痛み、でも翌日は平気でした。
この後、ときどき「抜ける」感覚はあったのですが、気にせずいたら、97年10月、登山中にやはり「抜ける」感覚から激痛になりました。痛む場所は、足首の前正面のあたりでした。このとき、痛みを我慢して爪先を地面に付けて伸ばす(正座の方向)と少し痛みが和らぎ、だましだまし下山したのですが、最後はかなり大変でした。でも、これも下山して少し休むと、歩く分には平気でした。
この後、整形外科で関節造影検査をしてみたところ「足首の軟骨が薄くなっている」といわれ、さらに「水も少し溜まっている」とのことで、毎週水抜きと「軟骨を作る」注射に通っています。ただ、痛む場所が少しずつ移動、今ではくるぶしの真下とか前方あたりが痛みます。激痛を感じた足首正面は、まったく痛みません。
今後、今の注射を続けて効果はあるでしょうか(現在は2〜4週に1回にしています)。又、今は中止しているマラソンや登山は再開してもいいのでしょうか。痛む場所が移動したりして、本当は足首がどうなっているのだろうという気持ちになっています(担当医を疑っているのではありません)。
良い助言をお願いします。
身長:164cm/体重:64kg
(筋肉質のため、数値の印象ほどは太ってません。ズボンのウェストは76cmはいてるし。マラソンには重いですけど・・)。
[tomos]
サッカー、バレーボール、陸上など足首をよく使うスポーツでは、足関節に骨の棘(とげ)のようなもの(外骨腫)ができることがあります。この骨の棘を
inpingement exostosis (衝突性外骨腫)と呼んでいます。また、これは athlete's
ankle や foot baller's ankle としても知られています。このようなスポーツでは、足首を頻繁に底背屈(甲側や足底側に曲げること)し関節に無理をかけ、骨棘(こっきょく)ができるそうです。また、捻挫で靱帯を傷めていて関節のガタツキがある場合は、発症しやすくなるそうです。よくできる部位は、足首の前面です。レントゲン検査をすればわかります
治療は、まずサポーターやテーピングで足首の動きを制限してやります。たいていは症状が軽く、日常生活には支障ありません。痛みも骨棘自体の痛みとは限りませんが、骨棘を手術的に切除することもあります。根本的な原因が靱帯の緩みにある場合は、靱帯の再建術をすることもあるそうです。
スポーツに故障はつきものです。スポーツ傷害の予防には、入念なストレッチング、適切な用具(シューズなど)の選択、無理のない練習、十分な休養、休む勇気、肉体的・精神的なマネジメントなどが必要です。関節や筋肉・腱などは、一度傷めるとなかなか元通りには戻りません。かけがえのない大切な体をいたわりましょう。
(Mar/31/1998)
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M.S
[98年 3月 25日 (水) 16時 35分]
私は、28才の女性です。実は、巻爪で悩んでいます。この症状が出始めて、もう6年になります。昨年位までは、それほど爪が巻いていなかったため、爪が食い込む度に外科へ通い、切除していました。
先日(1月頃)も同様に、切除したのですが、そこから爪が生えて来なくなりました。その上、化膿してしまい、靴がはけない状態です(紳士用サンダルで通勤しています)。近所の整形外科に通ってはいるのですが、抗生物質の錠剤をのみ、ひたすら爪の生えてくるのをまつ状態です。2ヶ月たった今、相変わらず私の爪は生えてきません。それどころか、さらに化膿し、薬が手放せない状態です。爪の無い部分は、肉が盛り上がり、見るも無残な爪と化しています。
一説によると、「爪を全てはがしてしまうのが良い。」とも聞きます。が「再発の可能性も高い」とも聞きます。
ハイヒールがはけず、また足をかばって歩くため、1日が終わる頃には、かなり疲れてしまいます。どうしたら、良い方向に向かうのか、教えていただけますでしょうか。
宜しくお願いいたします。
[tomos]
陥入爪(巻き爪)は、足の第1趾、第2趾に多くみられる爪の変形の一種です。爪のサイドが巻き込むように「わん曲」し、皮膚にくい込んでしまった状態です。非常に痛く、化膿すると赤く腫れ、化膿が長びくと肉芽が盛ってきます。若い女性に多く、原因は、先の細い靴・ハイヒール・小さすぎる靴などによる足趾の圧迫、スポーツや長時間の立ち仕事などによる足趾の圧迫、外傷・抜爪・深爪、先天性などがあります。
治療は、まず窮屈な靴やハイヒールをはかないようにし、化膿している場合は消毒や抗生剤の局所投与・全身投与などが行われています。M.S様のように紳士用サンダルをはくのはいいことだと思います。tomos
の知人の某整形外科医は、陥入爪のため真冬でも素足にサンダルで通勤し仕事をしています。そのおかげで、痛みや化膿などの症状はありません。抜爪は、多くの場合かえって陥入爪を悪化させます。
保存的治療で良くならない場合は、化膿をしずめた後に手術が行われます。よく行われる手術は、巻き込んでいる部分の爪やその下の組織、爪の根っこ(爪母)までを細長く切除してやる方法です。この手術では、巻き込んでいる部分の爪はもう生えてきません。そのため爪の横幅が狭くなるのが少し欠点です。
M.S様のようにひどく化膿し、こてこてにこじれた陥入爪は、まずは化膿をしずめてから手術をするのがベターでしょう。「手術はどうしても...」という患者様には、年中サンダルの生活がお勧めです。
(Mar/27/1998)
M.S [98年 3月 27日 (金)
15時 05分]
先日は相談にのっていただいて、どうもありがとうございました。(3/25に相談させていただきました!)
簡単には治りそうにないので、ちょっとブルーが入ってます。当分の間ヒールを履いておしゃれをできないかと思うと、さびしい限りです。ヒールを履いて着ていく服しかもっていないので、そろそろ衣装も買い替えしないと....。なんて考えています。(さすが女性ならでは!)この病気?とは永ーい付き合いになりそうすね。外反母趾まで発展しないように、仲良く付き合っていきたいと思います。
実は、私の爪は切った先から丸まっていってしまうので、爪母をとる手術をしたとすると、爪が数ミリしか残らない状態になってしまいます。(線としか見えない状態に近い(爪が))たかが足の爪とは言え、なにか必要でくっついているのでしょうから、手術して生えてこなくすること(ほとんどなくなってしまうので)にも、なんとなく抵抗を感じています。なにか爪を矯正してまっすぐ生えてくるようにできる機械なんてないでしょうか?
ああ....28才にして女を捨てることになるなんて....。それならば、いっそ手術してしまった方が...。
はっきりしたことがわかって良かったです。 ありがとうございました。
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Y.M.
[98年 3月 2日 (月) 19時 21分]
はじめまして、31歳の女性です。スキー滑走中、左荷重をした瞬間、バキッと足首がズレたよう音と痛みを感じました。転倒などはしていません。病院へ行ったところ『腓骨筋腱脱臼』と診断されました。
スキーをやっている人によくある怪我?といわれ、一度外れると手術をしない限り治らないと言われました。日常生活にはさほど支障はありませんが、スキーの場合は、左足に荷重をする度に腱が外れてしまい、痛くて満足に滑れません。
テーピングや、ブーツのインソールなどで、外れにくくする方法はあるけれど、人によっては効き目がない言われました。実際に、テーピングとインソールを試してみましたが、ほとんど効果はありません。
同じ経験をした人に話を聞いたところ、はじめは腱が外れる度に痛かったが、そのうち痛みがなくなり、今ではスキーをしても全く問題ないという人もいます。スキー選手ではありませんが、この先もずっと続けたいと思っています。今、痛さを我慢すれば自然と慣れてくるものなのでしょうか?
腱が外れるのが恐くて、思いきり滑ることができないので、手術することも考えています。
『腓骨筋腱脱臼』はどのようなことが原因で起きるものなのでしょうか? いままで何年もスキーをやっていますが、突然なるようなものなのですか? お医者様には、外れやすいくるぶしの形だとは言われました。
また、『腓骨筋腱脱臼』の手術とはどのようなものなのでしょうか? 入院が必要なのでしょうか?
滑れるようになるまでにどのくらいの期間が必要ですか?
本などを調べても全く情報はありません。どうぞよろしくお願いします。
[tomos]
腓骨筋腱脱臼は、スキーなどのスポーツでよく生じますが、症状もなく全然支障のない患者様もいらっしゃいます。しかし、スポーツや重労働を続けるために、手術を希望される患者様もいらっしゃいます。手術するかしないか、これは選択の問題です。
腓骨筋はふくらはぎの外側にある筋肉で、足を外がえしさせる働きがあります。長短の2つの筋肉があります。この筋肉の腱の部分は外果(外くるぶし)の後ろ側をとおり足の骨にくっついています。
スキーでエッジを効かせた状態では足首がよく曲がっていますが、この状態でスキー板がひっかかって転倒し足首を内側にひねると、この腱が(腱がはずれないようにおおっているバンドが破れ)外果の後ろ側からはずれて脱臼することがあります。外果の後ろ側の腓骨筋腱のおさまる骨の溝が浅い場合は、脱臼しやすいといわれています。脱臼するのは、たいてい長腓骨筋腱です。
受傷後早期にギプスを巻き、治る場合もありますが、多くは脱臼が再発し、頻繁にはずれるようになります。
tomos はスケートボードで腓骨筋腱脱臼になり、頻繁にはずれるようになった若者を診察したことがありますが、その若者は脱臼しても日常生活やスケボーには全く支障がないと言い、もちろん手術もしませんでした。
しかし、腓骨筋腱が脱臼しないようにするには、手術が必要だと思っていただいて間違いがないでしょう。数多くの手術法がありますが、tomos
がよく行うのは Dubries 法という手術です。これは外果の一部を切り後ろにずらして、腓骨が脱臼しないように骨の屋根を作るものです。腰椎麻酔で行いますので、入院が必要です。手術後はギプス固定を約8週間しますが、ギプスで歩けます。入院期間は、通院で抜糸するのであれば数日間、抜糸してから退院するのであれば約10日間必要です。手術後約6ヶ月で、ずらした骨を固定していたネジを抜く手術(抜釘)を行います。
手術をした場合、約半年もすればスキーに復帰できます。実際には、次のシーズンには滑れると言うことでしょうか。
(Mar/5/1998)
YM
[98年 10月 14日 (水) 18時 12分]
3月に腓骨筋腱脱臼について質問したものです。その後、5月に手術を受けました。
私の場合は骨をずらす方法でははく、足首の靭帯が機能していなかったため靭帯の再建手術をし、腓骨筋腱が脱臼しないように壁を作ったようです。また、靭帯でやぶれてしまった腓骨筋腱をおおっている膜を縫いなおしました。2ヶ月の松葉杖+装具で通常歩行までかなり時間がかかりましたが、現在はほぼ元通りの状態まで回復しました。まだ足首の固さが残っていますが、スキーもOKとなりました。ありがとうございました。
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フージー
[98年 2月 20日 (金) 18時 45分]
私は26歳の会社員ですが、今日の朝から左足の足首のところが痛み、見てもらったところ、”蜂か織炎”との診断を受けました。説明はすぐに終わってしまい、今一つ理解できず悩んでいます。病気の内容と完治するまでの期間や、これからどのように過ごす事が最善策なのかを教えて下さい。
[tomos]
足首のところが赤く腫れて傷む病気は数多くありますが、「蜂窩(か)織炎」もその一つです。他に、アルコール・肉類を好む男性の場合、「痛風」発作であることもあります。
<A>「蜂窩(か)織炎」について
「蜂窩(か)織炎」は、皮下の組織に細菌が感染して化膿している状態の一種です。「できもの」の場合は膿瘍(のうよう)といって膿(うみ)を伴いますが、「蜂窩(か)織炎」の場合は、皮下の組織が全体的に炎症をおこしています。炎症を起こしている部位が、赤く腫れて熱をもちます。原因は、小さな傷などから細菌が感染する場合が多いです。治療は、感染している細菌(黄色ぶどう球菌、溶血性連鎖球菌など)によく効く抗生物質を投与します。炎症をおこしている部位は、できるだけ安静にするのが望ましいでしょう。抗生剤がよく効けば、数日から数週間で治ります。
<B>「痛風」について
細胞の核の成分である核酸は、プリン体という物質からできています。人間の体は常に新陳代謝されていますが、核酸が壊された後の最終代謝物は「尿酸」といい、最後は尿中に排泄されます。この尿酸は、何らかの原因で(1)過剰に生成されたり(2)排泄が抑制されたりして血液中に溶けきれずに、人体の組織に結晶として沈着する場合があります。
代表的な症状が関節痛で、関節に尿酸結晶が沈着するために炎症反応としておこります。足の親ゆびの付け根が好発部位ですが、膝や足首など他の関節にもよく発生します。症状は、関節のところが赤く腫れて熱をもち、激烈な痛みを伴います。それゆえ「痛風」と呼ばれています。腎臓に尿酸結晶が沈着すると「痛風腎」と呼ばれ、腎不全になることがあります。血液中の尿酸の値が高かったり、関節液中から尿酸結晶が見つかれば、痛風と診断されます。痛風の原因になる病気が、他にある場合もあります。
治療は、尿酸の生成を抑制する薬剤・尿酸の排泄を促進する薬剤・関節の痛みや炎症を抑える薬剤の投与、関節液の貯留が著しい時はその液の排出を行っています。予防には、(1)肉類などプリン体を多く含む食物を多量に摂取しないこと、(2)アルコール(特にビール)は血液中の尿酸値を上昇させるので摂取を控えること、(3)脱水になると結果的に血液中の尿酸値が上昇するので水分を十分にとること、(4)適度に運動することなどがあげられます。
(Feb/21/1998)
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H.T.
[98年 2月 14日 (土) 16時 41分]
34才、男性。左アキレス腱を跳馬の踏切の際に断裂してしまいました。ギプスで6週間固定し、その後4週間装具をつけると言うことですが、
・装具をはずした後のリハビリについて
・以前のように運動に復帰できるか
(バスケット、バドミントン、跳馬やマット運動など)
以上のことについて教えて下さい。
まさか自分がアキレス腱を切るとは思ってもいなかったので、今は少々不安です。
[tomos]
アキレス腱断裂の治療法には、
(1)手術で治す方法
(2)ギプスで治す方法
があり、どちらの方法でも治ってしまえば成績に違いはありません。
ただ(1)のほうが少し治療期間が短いように思います。
>装具をはずした後のリハビリについて
尖足(つま先が下を向いた足首の状態)でギプスをまきますから、足首の動きが悪くなります。リハビリは、主に足首の可動域(曲げ伸ばしの範囲)を回復させる訓練になります。筋力も弱りますから、筋力を増強するリハビリも行います。
早期にリハビリができるという点では、手術の方が有利です。
>以前のように運動に復帰できるか
治療後6ヶ月もたてば、スポーツに復帰できると思います。それ以前は、再断裂の危険がありますから、無理はできません。
整形外科手術説明書の「アキレス腱縫合術」のところも一度ご参考になさってください。
(Feb/15/1998)
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