ぺこ [00年 5月 31日 (水) 23時 10分] 東京都在住、32歳、女性
【相談・質問】
tomos先生、2度にわたるご配慮ありがとうございます。
私は身長155cm、体重50kg。現在はデスクワーク中心の会社員をしています。中学生時代にバドミントンをやっていたのと、現在でも時々水泳をする程度ですが、山登り(ハイキング)が好きで、決して体を動かすことは嫌いではありません。ストレッチも自己流でやったりします。
病歴はありません。大怪我をしたこともないですが、現在歯科に通っています。
ズバリ私の相談は、体の歪み、特に右下半身についてです。
歯科の話からで恐縮ですが、私の顎は左にずれています。下顎の歯の中心が左に寄っており、上下の歯の噛み合わせが悪いのです。長年無意識のうちに左中心で咀嚼していて、虫歯も左の方がひどかったです。
最近、顎がだるくなったりするので、歯科(スポーツ歯科)にかかりました。顎関節症ではないとのことで、マウスピースをつけて様子を見ているところです。以前に見た新聞やTVで、噛み合わせが体のバランスに大きく影響している、ということが頭にあったので、体の歪みの原因なのでは、と思ったのです。
歯科医は、私の顎のずれの程度は軽く、体の歪みや視力低下の直接の原因とはいえないので、他の科、例えば整形外科などにも診てもらっては?と言いました。
(個人的に整骨院も考えましたが・・・行っていません。)
こうしたことも整形外科で診ていただけるのでしょうか。検査や治療など、一般的にどんなステップを踏むのでしょうか。普段お付き合いのない科なので、体の部位や症状などの専門用語には全くの素人です。先生のHPのQ&Aや相談を拝見しても理解できない部分が沢山ありますが、以下つたない言葉で現在に至るまでの自覚症状を列記します。(因みに私は右利きです)
・小学から中学にかけて、両膝が「成長痛」?なのか、夜になるとじんじん痛んで、泣いてしまったり、眠れないことが時々あった。
・体はそんなに硬くない(立位体前屈で20cm曲がる)が、小さい頃から屈伸などで脚を曲げるとパキパキ鳴る。
・両脚をそろえて(両膝をくっつけて)屈伸することができない。閉脚跳び(跳び箱)やしゃがむことができない。
・高校時代、右足首内側のくるぶしが左に比べてでっぱており、その分アキレス腱の付近が陥没していることに気付く。また、つま先立った時、右ふくらはぎの筋肉が不自然に外側に飛び出し、膝上の筋肉も右の方がより外側につっぱっている。(脚の太さも右が太い)
・無意識で仰向けに寝ると必ず右脚(膝)は外に向き、つま先は45度以上外を向く。また、骨盤が右上がりになっているようだ。
・両臀部をついて大腿及び膝から下を比べてみると、右足が1.5cm程短い。
・床に座って前屈をすると、左膝の裏はよく伸びるが、右膝は全然伸びた気がしない。
・歩くときは両つま先が外を向く(ガニ股気味?)。
・最近前述のアキレス腱からふくらはぎにかけての凹凸が顕著になり、右足(特に膝から下)自体弯曲しているような気がする。ズボンをはくと右膝から下の内側に隙間ができる。(O脚ではない)
・腹筋をすると、腹筋より背筋や腰が疲れる。姿勢を正すと背中はまっすぐになるが、お腹がぽこんと出る。(腹部に贅肉多し)
・仰向けに寝て足を上げ、足を降ろしていくと骨盤と右脚の付け根あたりがコキッという。
・立っているときは両脚均等に体重を置いているつもりなのに、気が付くと左脚ばかり疲れる。また、長時間立った後に腰を曲げると右に曲げたときにコキッという。
・長時間座っていると左臀部にばかり重心がかかっている。電車で座って(寝て)いて、左の腰や背中がねじれて痛くなることがある。
・左あばら骨が右に比べて出ている。
・朝目が覚めると、体が右に弯曲しているようだ(左脇が引っ張られている感じ)。寝る時は仰向けより、横向きの方が寝やすい。(向きは左右とも)
・両眼とも視力は1.5から1.2を保っていたが、十数年ほど前に右だけが急低下し、左と0.4から0.6の差がついてしまった。(これが頭痛の原因に?)
・最近山に行って下山時に右膝を痛め、しばらくは両脚を揃えながらでないと下り階段が降りられなかった。
・重たい荷物や鞄などは極力左右均等に持っているが、腰や肩の疲れ方が左右で異なる。
以上、思いつくままにずらずらと書き出してしまいました。
右脚の付き方がおかしいのでしょうか。無意識のうちに行動パターンに偏りができて、本来使うべき筋肉を使わず、変なところに力がかかっているのかしら。姿勢には気を付けている方ですが、気にすれば気にするほど、左右のバランスの悪さが気になり、正しい姿勢は何?と悩んでしまったりします。(噛み合わせも同じく、どこが本来の位置なのか気になってしまうのです)
もともと日本人体型で足が短く太いうえに、膝から下がこんな状態なので、めっきりスカートをはかなくなりました。日常生活に支障を来す程ではないのですが、体の歪みに伴うと思われる局部的な痛みが散発している状態です。原因を特定し、根本的に治すことはできないものでしょうか。tomos先生、アドバイスを宜しくお願いします。
P.S.大変長くなってしまい、申し訳ありません。
[tomos]
ぺこさんは、「体が左右非対称」であることに悩んでいらっしゃるようです。
実際に診察させていただかないと、正確なことは言えませんが、もしぺこさんが、生まれたときに「向き癖」があり、すでに左右非対称の傾向があったのでしたら、これは「胎児の時、子宮内で自由に動けなかった」のが原因と考えられ(子宮内圧迫症候群)、「非対称性変形」と呼ばれています。
この分野は近畿大学医学部整形外科の浜西千秋教授が研究されています。
この子宮内圧迫症候群による非対称性変形は、子宮内で胎児が自由に動けない環境、
1)母が小柄、高齢
2)冬季の出産
3)第一子(初産)
4)女児
5)胎児が体を動かす回数が少ない
などで生じやすいことがわかっています。遺伝が原因ではありません。
母体の子宮の後方には背骨(腰椎・仙椎)がありますが、たとえば子宮が小さいと、胎児がこの背骨が邪魔になって子宮内の左右どちらかに閉じこめられることになります。胎児は、胎内で「捻れてじっとしている」状態で関節がかたまり、非対称性変形になるというわけです。
非対称性変形は、斜頸、片側の先天性股関節脱臼、脊椎側弯、胸の変形、足の変形の形で現れることが多く、生下時に「向き癖」のある赤ちゃんの多くはこれです。
向き癖は新生児の200人に1人程度の頻度で認められますが、多くは自然に治ってしまうようです。向き癖のある赤ちゃんは(医師の指導の元)「うつ伏せ寝」やストレッチングをすると治りやすいと言われています。しかし、なかには非対称性変形が成人に達するまで治らないで残る人もいらっしゃり、ぺこさんはもしかするとこれかもしれませんね。
成人になってしまった非対称性変形はもう治りませんが、障害がでないように、ストレッチング等を十分に行うように心がけてください。
(Jun/7/2000)
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