皮膚潰瘍に対する島状皮弁術(全身麻酔) 1(難治性皮膚潰瘍の治療) 床ずれ、やけど、外傷、糖尿病、感染後、動脈硬化、手術後など種々の原因で皮膚に潰瘍 ができ、治りにくいことがあります。これは、患者さん自身の基礎疾患(持病)がその背 景にある場合が多く、また皮膚潰瘍の部位の血行が悪い、化膿しやすい、範囲が大きいな ど種々の原因によります。今回はその皮膚潰瘍ができるだけ治りやすく、また治療期間が 短くなることを期待して、島状皮弁という血行の良い活力のある皮膚を移植する手術を行 います。 2(麻酔) 手術は全身麻酔で行います。麻酔は麻酔科医が実施します。全身麻酔は安全な麻酔ですが 患者さんの状態・合併症・体質などによっては、リスクを伴う場合があります。 なお全身麻酔からさめたとき、まだのどにチューブが挿入されている場合がありますが、 すぐに抜きます。また、手術後しばらくの間、尿道に管を入れている場合があります。 3(手術) 手術では、まず皮膚潰瘍部を新鮮化(健康なところまできれいにすること)します。次に 生じた皮膚欠損部から少し離れた部位で、動脈・静脈がつながり血流の良い皮膚を血管が ひもの様につながったまま島状に切り取って移動できる状態にします。この皮膚(皮弁) を潰瘍部まで移動させ、縫い合わせて皮膚欠損部を閉鎖します。島状の皮膚を採取したと ころは、縫い合わせて閉鎖するか、他の部位から皮膚を切り取ってきて移植します。 4(手術後) 手術後しばらくの間、手術部の血行を良くする薬剤を点滴・内服などで投与させていただ きます。 5(再手術) 島状皮弁につながっている血管が何らかの原因で手術後早期につまり、緊急に血管を再開 通させる手術を行うことがあります。また手術部の状態、患者さんの年齢、持病などによ り移植した皮膚の治りが悪いことがあります。その場合、もう一度何らかの方法で皮膚を 移植するなどの再手術をすることがあります。 6(感染) 手術部に細菌が感染し(特に糖尿病の患者さんなど)、化膿して治療が困難になることが あります。その予防のために抗生剤を点滴・内服薬等で投与させていただきます。もし化 膿を生じた場合は、その治療を開始します。 7(後遺障害) 手術の後遺障害として、関節の拘縮(動きが悪いことで、特に関節周囲の手術の場合)、 筋力の低下、植皮部の色素沈着、目立つ傷跡、種々の痛み・しびれ等が残る場合がありま す。 |