Nao [98年 8月 12日 (水) 17時 08分]
こんにちは、30才OLです。中学、高校とソフトボール。現在はラケットボールという競技をかなり本格的に行っています。(ラケットボール歴10年くらい)
今回ご相談したいのは手首にできたガングリオン?についてです。6月の初め頃に、右手首掌側の親指の付け根あたりに枝豆くらいの大きさのこぶができているのに気づきました。その時は患部を押さえると疼痛はありましたが、日常生活にあまり影響はありませんでした。
たまたま別件で整形外科に通院していたので(頚椎椎間板ヘルニア)、先生に穿刺してもらいましたがゼリー状の液体はでてこなく「ガングリオンではない」との診断でした。日常生活には影響なかったので、「しばらく様子をみてみましょう」とのことでした。
しかし、このところ親指を小指の方向に曲げたり、手首を内側に曲げたりする動作を行うとかなり強い痛みが走ります。また、親指のあたりがなんとなくしびれているような感覚があります。(ヘルニアのしびれは右肩から上腕にかけてで、指先まできたことは今までありません)このことを主治医の先生に伝えレントゲンをとりましたが、骨には異常なし。患部のCTをとり読影の結果、患部の境界線がはっきりしていないので、「腫瘍ではなく炎症性によるもの、もしくは外傷性による変化ではないか」との診断でした。
その後、消炎剤の軟膏を塗ったり、局部にステロイド注射等を行いましたが、いっこうに症状は改善されません。(私個人の感覚では炎症性のものではないような気がします・・・。以前右上腕骨内上顆炎にかかり注射等したときには結構痛みはひきましたので・・・・)
この症状は何が考えられるのでしょうか?主治医の先生は「別に悪い病気でもないし、腱や神経がたくさん集まっている場所だけに簡単に開けてみるわけにもいかないし、もうしばらく様子を見ましょう」と言われているのですが、私としてはかなり日常生活に不便を感じているし、なにしろラケットボールに影響するので何とか治したいと思っています。
どのようにすればよろしいでしょうか?ご教示願います。
[tomos]
実際に診察させていただかないとはっきりしたことは申し上げにくいですが、ご相談内容からは、1)腱鞘炎、2)ガングリオン、3)軟部腫瘍などが考えられます。
1)腱鞘炎
「親指を小指の方向に曲げたり、手首を内側に曲げたりする動作」で痛みが走るというのは手首の腱鞘炎(ドゥケルバン病)の典型的な症状です。ラケットボール歴10年ということで、使いすぎによるこの腱鞘炎が疑われます。
2)ガングリオン
手首にはガングリオンがよく発生します。「こぶができている」ということですから、やはりガングリオンでしょうか?
手首の掌側の親指側には橈骨(とうこつ)動脈という血管があります。この橈骨動脈は、脈をとるときに触れる動脈です。この部位に発生したガングリオンは何例か経験ありますが、手首の運動時痛の症状がある症例の場合は手術をして摘出しました。
10年前に他医で摘出術を受けてガングリオンが再発した女性も当院で再手術をしましたが、幸い今度は再発しませんでした。手術では、ガングリオンが橈骨動脈を圧迫していて、橈骨動脈を剥離してガングリオンを摘出するのはけっこう大変でしたが、橈骨動脈を圧迫しているようなガングリオンは、やはり摘出すべきだと思いました。
3)軟部腫瘍
ガングリオン以外にも手首には血管腫、類上皮嚢腫、神経鞘腫、脂肪腫などの腫瘍が発生することがあります。頻度的にはたいていは良性です。軟部腫瘍だと仮定しても、これらのどれにあたるかは、実際に診察させていただくか、検査(CT、MRIなど)結果を参考にしないと何とも言えません。場合によっては、摘出した腫瘍を病理組織検査で調べないと診断できないこともあります。
ご相談内容から推定したところでは、腱鞘炎かガングリオンの様な気がしますが...
(Aug/15/1998)
NAO [98年 9月 01日 (火) 12時 50分]
度々申し訳ございません。先日右手首にできたガングリオン?腱鞘炎?で相談させていただいた者です。
相談後も痛みがとれず通院を続けていましたが、主治医も私の症状が何だか診断がつかないようで、主治医ではない先生が診察をしている曜日の受診をすすめられました。その時に見ていただいた先生の応対に困り、今後どのようにしたらよいのかわからなくなってしまったので再度相談させていただきます。
受診時に今までの経過と症状をお話している途中に、「その出っ張っているのは骨です」と言われ、「そんなものは加齢の変化で、何も問題はない」と言われてしまいました。
私は「痛みがあり日常生活に支障があるので痛みを取る方法はないか」と相談したところ、「日常生活に影響は無い!ブラウスのボタンもはめられるし、スカートもはけるのだから全く問題なし」とまで言われました。「治すとしたら、手術で腱を剥離し骨を削りまた腱をくっつけギプスで固定するしかないが、貴方が言っているのは背が高い人が10cm低くして欲しいと言っているようなものだ」と言われ、カルテにも「全く問題無し」「病院に来る必要なし」とまで書かれてしまいました。
私としては決して手術療法を望んでいるわけでなく、現在の私の症状が手術が適用されるほどのものであるとは思っていません。要は痛みさえとれればいいわけですが、主治医ではないにしても医者に言われたことがひっかかり、病院に行きづらくなっています。(その後まだ主治医にはかかっていません)
このような場合、素直に私の気持ちを主治医にお話してもいいものなのでしょうか?(同じ立場である医者のことを批判しているようで、気分を害される方もいるのではないかと思い躊躇しています)
また、骨の変形との診断ですが、骨なのにレントゲンやCTに写らないことはあるのですか?また痛みは本当に手術以外取る方法はないのでしょうか?
本当は相談ボードに書き込む内容ではないのかもしれませんが、どなたに相談してよいかわからず、書き込みしてしまいました。どうか良いアドバイスをお願いいたします。
[tomos]
医師といえども人間ですから、時には不機嫌な(彼女にふられた?、家庭不和?、株が値下がりした?)こともありますし、切れやすい人もいます。それにしても、NAO 様のお話の通りだとすると、違う曜日の医師(A医師)の診察時の応対は、やはり不適切だといわざるを得ません。
医師に限りませんが、面接をする仕事では相手の話を十分にそして能率的に聞くことが必要です。米国の医学部では面接技術の授業もあるそうですが、残念ながら我が国ではそのような医学教育は皆無です。
我が国では限られた外来の診察時間に多数の「患者をこなす」ことが求められています。tomos は平均して1時間に10〜12人(多い?、少ない?)の患者さまを診察させていただいています。NAO 様がA医師を受診されたときは初診ではなかったのでカルテからの情報があり、A医師はそれにより診断し、NAO 様のお話を最後まで聞くことなく、つい本音?を口走ってしまったのでしょう。
我が国は高齢化社会を迎え、外来受診する高齢者が増加しています。高齢者の中には耳の遠い方や体の不自由な方もいらっしゃり、動作・会話がどうしてもゆっくりしがちです。そのため「いらっち」の医師は、これからの高齢化社会に適応できない可能性があります。また医療といえどもサービス業の一種ですから、接遇態度の悪い医師は患者さまが敬遠し、もし開業しても経営が成り立たない可能性があります。(「こわい医師」も開業後は「温厚な医師」に変身することが多いですが...)
NAO 様の場合の今後ですが、主治医の医師に NAO 様の素直な気持ちを伝えても特に問題はないでしょう。もしそれでA医師だけでなく主治医との信頼関係も損なわれたら、その時はその時でまた考えましょう。
最後に症状についてですが、文面からは、やはり腱鞘炎(ドゥケルバン病)のように思われます。3週間ラケットボールを休止し、手首にサポーターをして患部を安静にして軟膏を塗布したりしていると症状が楽になる場合があります。骨の変形だけが原因とは考えにくく、もし骨の変形があったとしてもすぐに手術を要するような状態ではないように思われます。
(Sep/3/1998)
NAO [98年 9月 10日 (木) 17時 24分]
tomos 先生こんにちは。右手首の腱鞘炎で相談させていただいたNAOです。
先日A医師の診察のあと、主治医にかかり状況をお話しましたところ、主治医の先生はとても申し訳ながっていて、私に謝罪までしてくださいました。とりあえず先日の件については一安心というところです。アドバイスどうもありがとうございました。
ところで、私の症状は全然よくなりません。はじめて相談させていただいた8月からずーっとラケットボールはしていませんし、手首の安静に努めているのですが、痛みは良くなるどころかひどくなっているみたいです。消炎剤は効かないし、ステロイド注射も効かないしこの先どうしたらよいのでしょうか?やはり痛みをとるのは手術しかないのかしら・・・。
ドゥケルバン病は難治と聞いたことがあるのですが、実際のところどうなのでしょうか?何度もお忙しいところ恐縮ですが、お教えいただけたらと思います。
[tomos]
ドゥケルバン病は、なかなか良くならずに治るまで数ヶ月かかる患者さまもいらっしゃります。本症は女性、特に周産期(周産前後)や更年期の女性に好発し、ホルモン・バランスの異常の関与も指摘されています。出産の後、育児期に本症で来院される方が多いですが、たいていはそのうち良くなっているようです。1年も2年も通院される方はいっらっしゃいません。
(Sep/13/1998)
NAO
[98年 10月 15日 (木) 18時 10分]
TOMOS先生こんにちは。何度か右手首の腱鞘炎?で相談させていただいたNAOです。
相談後も痛みが消えずはっきりとした診断がつかないまま薬物療法などの対症療法を行っていましたが全く効果がなく、先日地元の「手の専門」と言われている病院の先生を紹介していただき検査(MRI)、診察を受けてきました。
触診などの診察の結果普通の腱鞘炎ではないだろうとのこと。しかし腫瘤はMRIの画像上写っていなく、腱鞘内に局麻剤を注入し症状を見てみたが効果なし。結局手の専門の先生にも診断がつかないから治療の方法がわからないと言われてしまいました。
ただこのままでも困るでしょうからということで、とりあえず1ヶ月位ギブス固定をしてみるか、もしくは検査目的で開けてみて何かあればそれに対し手術を行うかというところでしょうと言われました。(ちなみにギブスで固定するというのはどういう目的ですか?)
今のままでは日常生活に困っているのですが、今後一体どうしたらよいものなのか決断がつかず相談させていただきました。お忙しいところ大変恐縮ではありますが、アドバイスをお願い致します。
[tomos]
ギプスで固定するのは、手首を動かさないようにして安静に保つのが目的だと思われます。腱鞘炎等の使いすぎが原因であれば、これで症状が改善するはずです。
生命に関わる腹部の病気で、診断のためにおなかをやむを得ず試験開腹するというのはよくありますが、手首の痛みの診断をつけるために検査目的で手首に切開を加えるのは賛成しかねます。手首には神経や血管が多く存在し、NAO さんのような症例には余計なことはしないほうが無難なように思われます。
(Oct/22/1998)
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