[Q&A ライブラリーへ戻る|〜Aug/1998 脊椎 Q&A|Jan/2000〜 脊椎 Q&A]

Sep/1998〜May/2000 脊椎 Q&A ライブラリー

TM [00年 5月 30日 (火) 23時 16分] 京都府在住、8歳、女性
身長 130cm、体重 26kg、職業:小学2年生(娘です)
【既往歴】
なし
【合併症等】
なし
【現病歴】
 先月4月28日に自転車で娘が転倒しあごを強打しました。すぐに近くの病院へ連れて行き、口の中を9針縫いました。
 その後一週間経ってから突然首が引きつり、左斜め上を向いたまま首が動かなくなりました。少しでも動かすと痛いらしく、右耳の後ろ当たりから首筋がはれて触ると泣きました。両手を上げていると痛みが楽になるらしく、ずっと万歳の状態でした。
【医療機関】
 首が回らなくなってすぐに整形外科に連れて行き、レントゲンを撮って診察してもらいました。その後のマッサージは接骨院でしてもらっています。
【診療内容】
 整形外科では「レントゲンで骨には異常はなかった。とりあえずはれが引くまで家で冷やして」と言われました。家で4日ほど冷やしていたらはれは引いたのですが、首はまだ戻らず左上を向いたまま動かせません。首をマッサージすると楽になるらしく、近くの接骨院で暖めてマッサージしてもらっています。
 一週間が経ち、痛みも和らぎ首もやや戻ってきたのですが、相変わらずまっすぐ向けない状態が続いています。
【相談・質問】
 このままマッサージを続けていてもいいのか、それとも注射か手術か何か早いうちにしておかないといけないことはないのでしょうか。接骨院の先生からは一種のむちうちです、といわれました。治療はどうすればいいのでしょうか。


[tomos]

 小児が急に斜頸(頭が胴体に対して斜めになって固まっている状態)になる疾患としては、1)リンパ性斜頸(耳鼻咽喉性斜頸)と、2)環軸椎回旋位固定が考えられます。

 1)リンパ性斜頸(耳鼻咽喉性斜頸)は、頭部や頸部、耳鼻咽喉部の炎症による反応性の斜頸で、原因となっている腫れを治療すれば斜頸も自然に治ります。なおリンパ性斜頸には2)環軸椎回旋位固定を伴っていることがあり、1)と2)の区別が難しい場合があります。

 2)環軸椎回旋位固定は、7つある頸椎の1番目(環椎)と2番目(軸椎)の間が回った位置で固まった状態をいい、急に首をひねったりした後に突然発症します。これも安静や頸部のカラー固定などでたいてい治りますが、頑固な症状の場合は入院して頭部を牽引したりすることもあります。診断にはレントゲンやCTが有用です。

 TMさんのお嬢さんの場合、外傷歴があり、また頸部が腫れていたとのお話しで、リンパ性斜頸の可能性が高いと思います。ただし既に述べましたように、リンパ性斜頸には環軸椎回旋位固定を伴っていることがあり、なかなか斜頸が治らないようでしたら、経験のある整形外科医のもとでレントゲンやCTを検査してもらった方がいいかもしれません。この種の斜頸で手術になることはまずありませんが、のどの奥にできた膿(後咽頭膿瘍)が原因の場合、耳鼻科で切開して膿を出す場合があるそうです。

(May/31/2000)

ひさじじい [00年 4月 29日 (土) 22時 11分]

 始めまして34歳になる、工場勤務のサラリーマンです。
 実は、3月4日(土)に会社の靴を朝履き替えるときにギクッと腰に痛みが走り、1時間で帰宅(妻に迎えに来てもらい)。月曜日まで待って整形外科で診察を受け、腰椎椎間板症と診察され、低周波と温熱治療を受けました。その週の金曜日にMRIを撮り、「少し軟骨が出ているが、持続牽引しよう」ということで、2ヶ月入院しました。入院している間、ブロック注射を4回しました。
 現在は自宅で通院していますが、まだ腰を曲げると突っ張ったような違和感があり、重いものを持つと腰に痛みがあります。今後の生活は普通にして良いのでしょうか?
 また、椎間板症と、椎間板ヘルニアとの違いなんですか?
 お忙しい所よろしくお願い致します。 ちなみに、3/6のレントゲン撮影時はレントゲン台にも乗れませんでした。こんなことがまた起こるのでしょうか?心配です。

[tomos]

 身体の部位名に「症」をつけると病名になる例が多くあります。たとえば頸椎が悪いと「頸椎症」、膝関節が悪いと「膝関節症」、同様に腰椎の椎間板が悪いと(ヘルニアになっていなくても)「腰椎椎間板症」ということになります。椎間板ヘルニアとは、椎間板が元の椎間板腔から突出、脱出している状態ですが、これも椎間板が悪いわけですから椎間板症に含まれることになります。
 椎間板は20歳を過ぎると加齢とともに変性(いたむこと)していきますが、ヘルニアになっていなくても本来のみずみずしさがなくなり、ペチャンコになっていることはよくあります。これはレントゲンやMRIでわかります。一方、運悪く加齢や使いすぎで椎間板がヘルニアになり神経を圧迫すると下肢に激痛がはしり、整形外科を受診することになります。
 「ひさじじい」さんは、文面では腰痛のみで下肢痛はないようですが、MRIでは椎間板が傷んでいる(30代以上では珍しくない)ということです。「腰が悪いから」といって過度に日常生活を制限する必要はありませんが、日頃から姿勢に気をつけ、適度に運動をし、腰痛の予防に心がけてください。


(May/23/2000)

N. [00年 2月 03日 (木) 23時 12分]

 TOMOS 先生、はじめまして。
 過去相談等を拝見させていただきましたし、ネット上では制約もあるかとは存じますが、とても迷っていますので、相談をさせてください。
 現在、脊柱管狭窄で治療中で、主治医からは「そろそろ手術を考えたら」と言われましたが、背骨にメスを入れる事に抵抗があります。痛みやシビレから解放されたいものの、医療事故は別としても、手術を受けても良くならない話や、別のところが悪くなる話をきくと、やはり二の足を踏みます。
 ちなみに、受けた検査はレントゲン、CT、MRIで、生れつき脊柱管が狭い事、椎間板が後ろに飛び出している事、神経の位置が圧迫されやすい事で、神経が圧迫されて症状が出ると説明を受けました。治療は薬、コルセット、ブロック注射(硬膜外、神経根)でした。
 現在の症状は5分程度歩くと痛み&シビレが出始めて段々ひどくなるのと、足の違和感がほとんど一日中あります。座り続けるのも少々つらいです。それでも最低限の日常生活はしているので、手術の切羽詰った必要性を感じないし、この状態が一生?続くのでは非常に困る(まだ若いので)、とジレンマに陥っています。
 病院では、最初に症状が出てから半年以上たっているのと、ブロック注射で治らないことで、手術(骨を部分的に削るのと、出ている椎間板を元に戻す)をすすめられているのですが、どうも手術のいい面ばかりを言われているような気が致します。
 そこで教えていただきたいのは、

1.手術をしないで治る可能性/しない事による悪化の可能性

2.手術をした事によるデメリット(直後は良くなっても、5年、10年、20年後は?)

3.どの程度の期間ならば、保存療法で治る可能性があるのか。

どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

[tomos]

 まだお若い?N.さんは腰部脊柱管狭窄症の手術を受けるかどうか迷ってらっしゃるようです。「5分程度歩くと脚の痛みとシビレが出現し」「足の違和感が一日中あり」「座り続けるのも少々つらい」というのは日常生活に相当支障があり、さぞかしつらい思いをされているものとお察しいたします。こういった症状も昔は神経痛ということで、鍼灸や漢方以外にこれといった治療法がなく我慢するしかなかったのですが、医学の進歩により診断と治療がより確実に行われるようになりました。
 数ヶ月間保存療法を試みても症状がよくならないようでしたら、治る可能性は少なく(場合によっては悪化する可能性もあり)、主治医の先生とよく相談のうえ、手術(開窓術または椎弓切除術)を検討されてもいいかもしれません。
 なお手術を受けて順調に経過しても、長期的には将来再び(手術した部位や隣接した部位に)狭窄症を生じる場合があります。でも、まだお若い現在のQOL(Quality Of Life)を大切に考えるならば、手術を受けることを前向きに検討するのは意義があると思います。

(Feb/9/2000)

N. [00年 2月 03日 (木) 23時 12分]

 TOMOS 先生、はじめまして。
 過去相談等を拝見させていただきましたし、ネット上では制約もあるかとは存じますが、とても迷っていますので、相談をさせてください。
 現在、脊柱管狭窄で治療中で、主治医からは「そろそろ手術を考えたら」と言われましたが、背骨にメスを入れる事に抵抗があります。痛みやシビレから解放されたいものの、医療事故は別としても、手術を受けても良くならない話や、別のところが悪くなる話をきくと、やはり二の足を踏みます。
 ちなみに、受けた検査はレントゲン、CT、MRIで、生れつき脊柱管が狭い事、椎間板が後ろに飛び出している事、神経の位置が圧迫されやすい事で、神経が圧迫されて症状が出ると説明を受けました。治療は薬、コルセット、ブロック注射(硬膜外、神経根)でした。
 現在の症状は5分程度歩くと痛み&シビレが出始めて段々ひどくなるのと、足の違和感がほとんど一日中あります。座り続けるのも少々つらいです。それでも最低限の日常生活はしているので、手術の切羽詰った必要性を感じないし、この状態が一生?続くのでは非常に困る(まだ若いので)、とジレンマに陥っています。
 病院では、最初に症状が出てから半年以上たっているのと、ブロック注射で治らないことで、手術(骨を部分的に削るのと、出ている椎間板を元に戻す)をすすめられているのですが、どうも手術のいい面ばかりを言われているような気が致します。
 そこで教えていただきたいのは、

1.手術をしないで治る可能性/しない事による悪化の可能性

2.手術をした事によるデメリット(直後は良くなっても、5年、10年、20年後は?)

3.どの程度の期間ならば、保存療法で治る可能性があるのか。

どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

[tomos]

 まだお若い?N.さんは腰部脊柱管狭窄症の手術を受けるかどうか迷ってらっしゃるようです。「5分程度歩くと脚の痛みとシビレが出現し」「足の違和感が一日中あり」「座り続けるのも少々つらい」というのは日常生活に相当支障があり、さぞかしつらい思いをされているものとお察しいたします。こういった症状も昔は神経痛ということで、鍼灸や漢方以外にこれといった治療法がなく我慢するしかなかったのですが、医学の進歩により診断と治療がより確実に行われるようになりました。
 数ヶ月間保存療法を試みても症状がよくならないようでしたら、治る可能性は少なく(場合によっては悪化する可能性もあり)、主治医の先生とよく相談のうえ、手術(開窓術または椎弓切除術)を検討されてもいいかもしれません。
 なお手術を受けて順調に経過しても、長期的には将来再び(手術した部位や隣接した部位に)狭窄症を生じる場合があります。でも、まだお若い現在のQOL(Quality Of Life)を大切に考えるならば、手術を受けることを前向きに検討するのは意義があると思います。

(Feb/9/2000)

さな [99年 7月 11日 (日) 10時 06分]

 はじめまして。私は25歳女性です。
 先月「腰のヘルニアの疑いがある」と言われ、この一ヶ月毎日、消炎鎮痛剤と痛みとしびれのとれる血管注射、牽引、湿布、温熱療法を続けています。やっと足のしびれは取れたのですが、腰の痛みとちょっと動き回るとお尻から足の指先にかけて痛みが走ります。
 そして、三日前から今度は右手がしびれ肩こりのような症状がでてきて、行きつけの先生に相談したところ、「レントゲンでは首の骨の曲がり具合が人と反対に曲がってしまって」いて、腕を上げたり下げたりし、しびれがあるかどうか調べたりした結果、「首もヘルニアの疑いがある」と言われました。
 「腰のほうは少し落ちついてきたし、腰よりも首のほうがこじらせると大変なことになるため、今度は首も毎日牽引と痛みとしびれ止めの注射、消炎鎮痛剤と筋肉やわらげる薬、湿布、温熱療法をしばらくやる」ことを言われました。「その方法をしばらく続けても改善するみこみがなかった場合は入院して精密検査をし、手術するかどうか考える」ことを言われてます。(腰も首も・・)
 そこで質問なんですが、保存的治療は、どれくらいの期間を続けた結果、入院することになってしまうのですか?
 あと、もしも首の手術が必要になったら腰も同時に手術するのでしょうか?
 あと、精密検査の内容とかも・・教えてください。

[tomos]

 「腰椎椎間板ヘルニア頸椎椎間板ヘルニアの保存的治療は、どれくらいの期間続ける」というような目安は特に設けていませんが、保存的治療を数週間から数ヶ月続けて症状が(多少残っても)軽くなれば入院・精密検査・手術ということにはなりません。
 精密検査にはMRI脊髄造影などがありますが、MRI検査は痛みもなく通院で可能ですから、症状が長引くようでしたら主治医にお願いして検査をしてもらうといいでしょう。
 万が一、頸椎の手術腰椎の手術の両方が必要な場合ですが、通常は首と腰の手術を同時に行うことはありません。頸椎椎間板ヘルニアの手術が必要になるのは脊髄が圧迫されている場合(たいてい上肢・下肢の運動障害を伴う)ですが、このとき腰椎でも神経が圧迫されていると、下肢(脚)の症状がより強く出ますが、まずはより中枢にある頸椎から手術をするのが一般的です。
 さなさんの場合ですが、歩行障害等の脊髄症状がなければ頸椎の手術をする可能性は小さいと思われます。

(Oct/15/1999)

まっちゃん [99年 3月 02日 (火) 20時 39分]

1)24歳 2)男 3)169cm・57kg 4)事務職 5)野球・ゴルフ6)大学時代(3年前)バイクで追突されてくびが軽い鞭打ちになってしまった。
 7・8・9)昨年くらいから足の親指の付け根(人差し指側)からつま先にかけて痛かゆい感じがありました。痛みは2〜3日でひいていたんですが、2ヶ月前くらいからその部分の痛みがひかず自分でマッサージとかをしていたんですが、とうとう感覚がなくなってしまったんです。痛みは一個所あるんですが、その周りはなんか指を挟んだ直後のような感じで、歩くとすっごく違和感があります。ここ最近は痛みがひどいので歩くのさえ痛くなってきました。左足に比べて右足の親指はすっごく腫れてるんですが、熱は持っていません。
 9)病院に行ったところ、初めは「軟部組織の損傷ではないですかね?」といわれました。あまりに痛いので今日またその病院に行ったところ「レントゲンをもう一度撮りましょう」と言われレントゲンをとったところ「ガングリオンだ」といわれました。以前友人のガングリオンを見せてもらったことがあるんですが、硬かったんです。私のはべつに患部が硬いわけではありません。どちらかというと指全体が腫れたような感じなんです。これはほんとにガングリオンなんでしょうか?次週の通院するさいには針で中のものを抜きましょうといわれています。
 それと同じ病院でなんですが、事故をした時からしばらくしてくびの鞭打ちは治ったと思っていたんですが、最近痛いとおもい首筋を触ったところグリグリが出来ているんです。左側を向くと痛いんです。その病院の診察では「首の筋肉が硬直しているので、電気を当てましょう」といわれました。グリグリの事にはまったく触れませんでした。電気を当ててもまったく改善されません。なにか、他のことが考えられるでしょうか?
 10)整形外科に通院しています。
 長くなって申しわけございませんが、よろしくお願いいたします。

[tomos]

(1)右足の母趾のガングリオン?
 ガングリオンは袋状の腫瘤で内部にゼリー状の内容物を含んでいて、硬いというよりは少し柔らかいです...。ご相談内容からは何らかの腫瘤が右母趾の神経を圧迫していることが考えられますが、ガングリオンかどうかはわかりかねます。注射器で腫れているところを穿刺してゼリー状のものが吸引できればガングリオンだといえますが。
 ガングリオン等の何らかの腫瘤が神経を圧迫していて痛みがあり、経過を見てもなかなか良くならないのであれば、手術でその腫瘤を摘出するケースが多いです。
(2)首筋のグリグリ?
「首筋のグリグリ」で頻度が高いのはリンパ節とアテロームです。
a)リンパ節
 風邪、虫歯、中耳炎、副鼻腔炎等の炎症があると、リンパ節が腫れて「グリグリ」として触れることがあります。
 時にはガンが転移してリンパ節が腫れることもあり、悪性リンパ腫のようなリンパ節自身に生じる悪性腫瘍もあります。24歳でそのような病気になことは比較的少ないですが。
b)アテローム(紛瘤腫)
 「できもの」の類では、アテローム(紛瘤腫)というマヨネーズ様の内容物(少し臭い)を含む袋状のできものが皮下にできることがあります。普段は無症状でも化膿すると赤く腫れ、膿が出て痛みを生じます。
 化膿を繰り返す場合や、アテロームが大きい場合は手術で摘出します。
c)筋肉
 頸部捻挫(俗に言うムチウチ)で頸部の筋肉に肉離れを生じ、そこが「しこり」になることも、ないことはないでしょうが、「軽いムチウチ」でしかも3年も経過していればそのようなことは生じないように思います。
 なお肩こりでも筋肉が硬くなり、触るとしこりのように感じることがあります。

(Mar/7/1999)

mar [99年 2月 18日 (木) 15時 14分]

 25歳、女、164cm・50kg、大学院浪人です。アルバイトは研究所でパソコンを使ったデスクワークです。スポーツは小学生のころ少しジョギングをしていた程度、今は全くしていません。小さいときは気管支喘息気味でした。手術は受けたことはありません。
 高校生の頃からひどい肩凝りです。それで痛いところを押したりもんだりしたあとに首を曲げると肩や首が「パキッ」と鳴ります。またずっとイスに座ったままで背筋が痛くなったとき床に仰向けになって伸びをするのですが、このときも背筋や腰が「パキパキッ」と鳴ります。これはどうしてですか。あまり鳴らしてはいけないと聞いたことがあるのですが、本当ですか。
 くだらないことかもしれませんが、ずっと気になっています。教えて下さい。


[tomos]

 パソコンの操作は肩こりを生じやすいので、作業中の姿勢に気をつけ、適度な運動を心がけて下さい。
 首をまわすと音がするのは異常ではありません。tomos の場合は天井を向いた姿勢で首をまわすと、首の後ろの棘(きょく)突起(*)のところが接触して?ポキッと音がします。それ自体特に問題はありませんが、故意に鳴らさない方がいいでしょう。
 また tomos は背骨や腰に関しても、mar さんと同様に、ポキッと音がすることがあります。長時間背中を丸めた状態でいすに座った後、立ち上がってのびをしたり仰向けで寝た状態でのびをすると、ポキッと他人にもわかるくらい大きな音がします。どこから音がしているのかは解明しにくいですが、椎間関節(**)から音がしていると思っています。イスに座って不自然な姿勢を続けたりすると、椎間関節が「ずれて?」のびをするときにそれが整復されてポキッと音がするのだと勝手に考えています。
 背骨や腰の音は意図的に鳴らしたり鳴らさなかったりはできませんが、音がするのは「姿勢が悪い」ことへの一種のシグナルです。腰痛予防のためにも姿勢に気をつけ、背骨や腰から音がしないようにしましょう。また適度な運動で、腹筋強化、心身のリフレッシュをしてください。

(*)脊椎の後方は、恐竜の背骨のようにイガイガになっていますが、この各イガイガを棘(きょく)突起と呼んでいます。
(**)脊椎は椎体という円柱形の積み木が椎間板を介して縦に連なり、その後方が脊柱管という脊髄がとおるトンネルになっています。そのトンネルの外壁の骨(椎弓)が椎体とつながる(左右の)根もとは、上下各椎体間で関節を形づくり、椎間関節と呼ばれています。

(Feb/24/1999)

スー太郎 [99年 1月 20日 (水) 23時 20分]

 私は43歳の男性です。
 98年3月頃から右脚の外側が筋がいったようなつっぱった感じがします(おしりのあたりからつま先あたりまで)。そうしてる間に11月に入ってから右腕がだるくなり又指先までしびれ、脚腰に力が入らなくなり歩行中にこける事があったので脳神経外科に行きました。
 首のMRIを撮ると「頚椎の4番目が神経を圧迫してるのですぐに手術が必要」と言われ12月3日に手術をしました。その後右腕のだるさ・指のしびれはとれましたが右脚の突っ張り感はとれません。長い間(10分以上)立ってることも出来ないし歩くと脚をひきずります。
 これは腰からくるのでしょうか?今度は整形外科の方へ相談に行けばいいのでしょうか?よろしくお願いします。

[tomos]

 脊椎外科(背骨の手術)は整形外科と脳神経外科の両分野にまたがっていて、病院によっては両方の科で診療していたり、どちらかの科のみで扱っていたりします。なかには脳神経外科が腰の手術をしている病院もあります。もちろん腰痛等の腰の病気は、整形外科へ行けば必ず診て下さいます。
 スー太郎さんは頸椎椎間板ヘルニアの手術?を受けられたようですが、同時に腰椎椎間板ヘルニアを合併している患者さんもしばしば経験します。こういった場合では、より重要な頸椎の手術をまず行うことになりますが、その後も腰椎からの症状が(保存的治療を行っても)残ったときは、続いて腰椎の手術を行うこともあります。
 スー太郎さんの現在の症状が頸椎・腰椎どちらからのものなのかは、経験のある整形外科医なら判断できると思いますが・・・。 

(Jan/26/1998)

困ったおじさん [99年 1月 13日 (水) 16時 28分]

 「脊柱管狭窄症の疑いがある」との診断された64歳の男性。
 右脚の先天性股関節脱臼ですが、以前は健常者と同じ程度の歩行が可能でしたが、10年前頃から股関節の痛みよりも先に、連続歩行すると右脚のフクラハギが痛くなり、現在では50メートル程度より連続歩行できません。先生からは「間歇歩行」と言われ「狭窄症による血管の圧迫が原因だ」との説明がありました。
 「手術が必要である」とのことですが、初めての手術でもあり何とか手術をせずにもう少し連続歩行が出来るようにならないでしょうか。左心室肥大の心臓病と腎臓結石の持っております。

[tomos]

 股関節の悪い患者さんは背骨にも負担がかかりやすく、腰部脊柱管狭窄症などを合併することがよくあります。
 腰部脊柱管狭窄症については既に解説いたしましたが、手術をするかどうかは患者さんの症状、年齢、持病等を総合的に考え判断されます。
 左心室肥大があるとのことですが、内科・麻酔科の医師が全身麻酔が可能と判断すれば、原則的には手術が可能です。具体的には運動負荷心電図を検査したりしますが、脚の不自由な患者さんにはしづらい検査です。腎臓結石は特に手術に問題はありません。
 手術以外に今までにどのような治療を受けられたか不明ですが、コルセット(腰が少し前屈みの状態−この方が背骨の神経の圧迫が少ない−)、注射(腰部硬膜外ブロック)、血流改善剤(血管を拡張し、圧迫されている神経の血流をよくする)の投与などを行い、症状がある程度改善することもあります。
 このような治療を行っても症状が良くならないで、日常生活に著しい障害がある場合は、手術を選択することもあります。

(Jan/22/1998)

とらきち [98年 11月 04日 (水) 23時 34分]

 30歳、損害保険会社のOLです。身長165cm、体重55kg。
 昨年5月24日に車を走行中、右後方からの追突をうけ(かなりのスピードだった)頚椎捻挫という診断で1ヶ月ほど入院していました。入院時にX-P、CT、MRIなどの検査を行いましたが、たいした所見はありませんでした。
 退院後も通院を続けて牽引治療などを行っていましたが、「はっきりとした他覚的所見がない状態で通院を続けていると、保険金目的で通院しているのではないかと会社の人に見られているのではないか」と思い、あまり症状はよくなっていなかったのですが、通院は中止してしまいました。(加害者は逃げてしまって不明なため、相手からの賠償がなく自動車保険の搭乗者傷害と傷害保険でしか保障がなかったのです)
 今年の2月頃から右肩から右腕にかけてシビレを覚え、首も以前にまして痛みがでてきたので、再度5月頃病院を受診。MRI検査の結果C5/C6の椎間板ヘルニアと診断されました。病院では薬物投与(ボルタレン、テルネリン)、トリガーポイント注射、牽引などの治療を行っていますが、あまりよくなりません。現在の症状としては、じっとしていても腕のシビレ、痛みが激しく今パソコンに向かっているだけの時間でもつらい状況です。特に首を後ろにそらすと痛みは増強します。
 今後どのようにすればこの状況は改善されるのでしょうか?椎間板ヘルニアは手術以外に治る方法はないのでしょうか?あと事故にあうまではまったく頚椎の症状はなかったのですが、この椎間板ヘルニアは事故と因果関係はあるのでしょうか?以上お教え下さい。

[tomos]

 阪神ファン?ですか....。とらきちさんは保険会社にお勤めで、自動車保険での治療にたいへん気を使われていらっしゃるようです。
 「追突事故により頚椎椎間板ヘルニアが生じたのかどうか」というのはなかなか判断しにくいものです。もし事故の直前に偶然MRI検査をされていてその所見で椎間板ヘルニアが見られなかったのに、事故直後のMRI検査で椎間板ヘルニアが見つかったのであれば、その椎間板ヘルニアは事故が原因だとほぼ断定できます。しかしそういったケースはほとんどなく、この種の因果関係は推測するしかありません。
 事故以前から頚椎が原因の症状が多少あり、事故によりその症状が増悪するようなケースは、もともとの持病は事故が原因ではありませんが、事故により増悪した症状は事故が寄与していますから、自動車保険で治療が行われます。
 次に事故以前には症状がなかったのに事故後に症状が出現した場合は、(もともとの疾患があろうとなかろうと)もちろん自動車保険で治療が行われます。その症状の発現に多かれ少なかれ事故が寄与しているのは誰が見ても明らかだからです。
 さてご質問の「頚椎椎間板ヘルニアが追突事故で生じるかどうか」ですが、「健丈な椎間板が一瞬のうちに損傷してヘルニアになる」というのは、頚椎にとって相当なダメージで、そのような激しい外傷では、頚椎骨折、脊髄損傷などを生じても不思議ではありません。椎間板は20歳を過ぎると老化し始めますが、一般的なケースとしては、「加齢等により傷んでいた椎間板が事故によりダメージを受け症状が出現してきた」と考えられる症例が多いと考えられます。今回のとらきちさんのように、「事故直後のMRI検査で椎間板ヘルニアが認められなかったのに、事故後1年のMRI検査で椎間板ヘルニアが見つかった」場合は、事故とヘルニアの因果関係の立証は、はなはだ困難だと思われます。
 頚椎椎間板ヘルニアの治療はすでに解説したとおりですが、とらきちさんのように神経根症状が主症状の場合は、まずは保存的治療が行われます。保存的治療でも改善しないケースでは手術を考慮することになります。なお、頚椎の神経根症状には、バネ付き頚椎装具(バネにより頭部を持ち上げ首の負担を減らす装具)が有効です。詳しくは tomos の勤務する恵生会病院整形外科までお問い合わせください(診察を受ける必要があります)。


(Nov/11/1998)

KAO [98年 10月 16日 (金) 18時 59分]

 私は23歳になるOLです。今、坐骨神経痛に悩まされています。お尻の後ろから足の甲までしびれています。検査の結果「ヘルニアは出ている」のですが、「その影響ではない」ということで、「筋膜性の腰痛症?ではないか」ということで「様子を見て!」と言うことにはなりました。
 この坐骨神経痛を治すいい方法はありませんか?筋膜性腰痛症というのはどんなものなのでしょう。あと坐骨神経痛のでる病気に梨状筋症候群があるようですが、くわしく教えていただけないでしょうか。よろしくお願いします。

[tomos]

 1)筋・筋膜性腰痛症

 腰痛は様々な原因で起こり、またその痛みも漠然としていて、「○○の部位」というように特定の場所が痛むというようには感じないのが普通です。
 筋・筋膜性腰痛症は腰背部の筋肉が「痛む」腰痛で、多くは長時間前屈みになるなどの姿勢の問題、スポーツなどの使いすぎが原因で起こります。しかし腰椎椎間板ヘルニアや骨粗鬆症など、他の腰痛の疾患でも腰背筋の緊張が増すことがあります。さらに精神的ストレスも筋の緊張を増加させ、腰背筋の痛みが出現することがあります。

 2)坐骨神経痛

 坐骨神経は臀部〜大腿の後面を通りますが、その根もとは脊椎の第5腰椎神経根や第1仙椎神経根などにつながっています。第4・5腰椎間の椎間板ヘルニアや第5腰椎・第1仙椎間の椎間板ヘルニアなどでこれらの神経根が圧迫されると、ちょうどその坐骨神経の支配する領域に痛みが生じ、この神経痛を坐骨神経痛と呼んでいます。坐骨神経痛は、その他にも帯状疱疹(神経のウイルス疾患、その神経の走行に沿って皮膚に小さなブツブツが多数出現して非常に痛い)や坐骨神経を圧迫する疾患などによっても出現します。

 3)梨状筋症候群

 梨状筋は股関節の後面にある筋肉で、股関節を外旋(下肢を外側へ回す)する働きがあります。坐骨神経はこの梨状筋の直下を通っていて、まれには梨状筋を貫いていることもあります。梨状筋症候群はこの梨状筋が坐骨神経を圧迫して坐骨神経痛や麻痺が生じることをいいます。股関節を内旋(下肢を内側へ回す)すると梨状筋が緊張して坐骨神経の圧迫が増強します。
 梨状筋症候群はスポーツをする人(どちらかといえば女性)に多く、たいていはランニング等の運動が原因で生じます。治療・予防はまずランニング等の運動を制限しますが、難治性の場合は神経ブロック等の注射、まれに神経の圧迫をとる手術が行われることもあります。


(Oct/25/1998)

MT [98年 10月 15日 (木) 0時 09分]

 こんにちわ。私は29歳、女性です。身長163cm、体重49キロです。 側弯症で悩んでます。
 中学生の時に健康診断ではじめて「側弯症」と言われ、病院に行きました。そのときレントゲンを撮り、確か「20何度?の曲がり」だと言われました。「胸の所と腰の所でS字に曲がっている」そうです。それでコルセットを作りそれを毎日するように言われました。だけどはずかしいので学校へはしていかず、家にいる時や寝る時にするようにしていました。そのときにあまりちゃんとしていなかったので今まで治らずじまいです。
 私が側弯症になった原因で考えられることは、まず骨が少し弱いこと(虫歯になりやすいので)と、中学1年のころ重いかばんをいつも左手に持って長い道程を通学していたからだと思います。運動は特にやっていません。
  いままで指圧にいったり、カイロ治療にいったり、「気」で病気を治すという十字治療法に行ったりしましたがやっぱり治りません。私の場合、特に腰痛はありません。肩凝りは慢性でいつも右肩がこってる感じがするけど耐えられないほどではありません。
 ただ気になるのは見た目が少しわかるということです。温泉なんかに行くと気になります。夏に水着になるのもイヤです。今までずっとずっと気になっています。治せるものなら治したいです。
 思い切って手術をしてみようかと思うのですが、手術で背中を縫ったあとが残るのはかまいませんが、姿勢が見た目にもわからないくらいに治るのでしょうか?それと術後がすっごく痛いと聞きましたがどうなのでしょう?また何日くらい入院しないといけないのか、いくら費用はかかるのか教えていただけますか?
  お忙しいとは思いますがよろしくお願い致します。

[tomos]

 脊椎の側弯・側弯症については以前に解説しましたが、MTさんは中学の頃、おそらく「特発性側弯症」の診断を受け、側弯がそれ以上進行しないようにコルセットを作成してもらったのでしょう。このコルセットには各種ありますが、どれもかなり大げさな代物で、「年頃の乙女は人前ではこれをあまりつけたがらない」のが一般的です。
 現在29歳になられ、側弯症の手術を受けるかどうか悩んでいらっしゃるようです。側弯症の手術は、一般的には50度以上の側弯症が適応といわれています。30度以下では行われません。30〜50度では患者の強い希望があれば考慮するということになります。
 手術を受ければ「姿勢」がかなり改善しますが、手術により完全にストレートな背骨になるわけではありません。
 側弯症の手術では背骨をロッド(金属棒)やワイヤー(鋼線)で固定しますが、これはかなり時間がかかる大変な手術で、出血量も多くなり輸血が必要となります。そのためたいてい手術前に自己血貯血を行います。
 手術後は当然痛みますが、痛みを止める薬剤を使用するとかなり痛みは和らぎます。
 入院期間は、症例・病院によってまちまちですが約1〜3ヶ月、コルセットは約6ヶ月の装着が必要です。
 治療の費用は、手術をした月は約200万円前後かかると予想されますが健康保険で行え、健康保険の本人であれば自己負担はその2割、約40万円および食事の自己負担分(1日760円)となります。なお一般的な場合、1ヶ月の自己負担が63600円を超過したときは、請求すれば超過した金額が後で健康保険から返還されます。つまり1ヶ月の医療費の自己負担は最終的に63600円+食事代ということになります。


(Oct/21/1998)

NANAE [98年 10月 10日 (土) 21時 30分]

 先生、はじめまして29才女、157cm45kスポーツ暦は無です。
 私は6月中旬に2階バルコニーからあやまって転落し、背骨を圧迫骨折して手術しました。アメリカでの事故だったので必然的にアメリカの病院でうけました。腰より少し上の部分の背骨がクラッシュしたので、フェイクを入れるOPをしました。左の横腹から上に向って背骨まで切開してあります。幸い神経は無事だったので下半身不髄等にはならずに、9月14日にようやくコルセットがはずれゆっくり歩けるようになりました。
 しかし驚いたことに、体重が何も変わっていないのに下腹だけが(とくに左側)ポコッと出っ張って大変不自然な体型になってしまいました。コレは何の影響なのでしょうか?治るのでしょうか?腹筋が弱くなっているのかと思い運動も毎日してるのですが・・。又、左の腰から太股にかけての皮膚の神経が痺れて治りません。担当の医師は「OPの際、左の横腹を通っている太い神経を刺激した為」と言っていましたが、外国の先生なので詳しい説明がわかりません。
 良きアドバイスをお待ちしております。

[tomos]

 背骨は、上部の胸椎は12個、下部の腰椎は5個の椎体(円柱形をしている)と呼ばれる骨が縦につながり、大黒柱になっています。この大黒柱の後方には脊柱管と呼ばれる脊髄(脳につながる大事な神経)が通るための縦に貫くトンネル構造があります。
 NANAE さんはアメリカ在住中に高所から転落し、胸椎の下の方または腰椎の上の方の椎体が衝撃で押しつぶされたと考えられます(圧迫骨折といいます)。幸い脊柱管をとおる脊髄や神経は無事だったようで、不幸中の幸いでしたね。
 アメリカで手術を受けられフェイク(偽物)を入れたとのことですが、文面から察して、おそらくつぶれた椎体に対して人工椎体を入れるか何らかのプレートやネジで固定する手術を受けられたのでしょう。
 「手術後、左下腹が出っ張り、左腰部〜大腿のしびれが残存している」とのことですが、これは担当の医師も認めているとおり、手術操作により横腹を通る神経(腸骨下腹神経、腸骨鼠経神経)が損傷したためと思われます。シット・アップという腹筋のトレーニング(仰向けに寝た状態で膝を少し曲げ、両手は頭の後ろにくみ、頭〜背中を持ち上げておへそを覗くようにする)するときに、正常ではおへそは全く動きませんが、NANAE さんの場合はおへそが右上に動くはずです。これは左下腹の腹筋が効かないためです。 手術後数ヶ月経過を見ても回復しないようであれば、これは後遺症として残ると考えた方がいいでしょう。
 また、受けられた手術では腹筋を切開しているはずですが、切開した腹筋の部分が弱くなり、そこから腸が腹壁からはみ出て盛り上がる「腹壁ヘルニア」が生じることもあります。腹壁ヘルニアであれば医師が診察すればすぐにわかります。

(Oct/18/1998)

kk [98年 9月 10日 (木) 0時 14分]

 はじめてご相談をいたします。28女性、161cm・60kgです。元肉体労働系OLをしておりました。
 本年2月にバイクを運転中交通事故に遇い、頚椎・腰椎捻挫及び全身打撲をいたしました。打ち身などはもういいかげん治っているのでは?と思うのですが、しつこい症状に悩まされております。股関節辺りの痛みと腰痛、顎関節症・顔面の神経麻痺(一部)、首周りのおよそ不定愁訴のような様々な症状(頭痛・めまい・吐き気・頚部痛・肩こり・耳鳴・右耳の難聴)などです。それぞれ、整形外科、口腔外科にかかっています。
 しかし困ったことに、股関節や首周りの症状に対して「骨折などの医学的所見がない」とのことで、生活保障がされないまま四ヶ月が過ぎようとしています。神経内科や耳鼻科にもかかりましたが、正常の範囲内と診断されました。何か証明する手立てはないものでしょうか?
 また、股関節なのですが、おとなしくは歩けるのですけれども、膝から下を外に向けると股関節付近に痛みが走りますし、あぐらから立ち上がる時に声をあげるくらい痛むので、以前のような肉体労働が出来ないでいます。可動範囲も狭まったと感じています。急激な動作に恐怖を感じるようになって、アクティヴになれません。
 正常の範囲内ではなくて、もとの元気な体に戻りたいのですが、どうすればよろしいでしょうか?このままだと、他覚症状無しということで後遺障害にも認定されず、休業保障もない、ということになりかねません。首周りと股関節付近に関して、どういった傷病、治療法が考えられますでしょうか。
 一応、股関節に関しては MRI 撮影の予定がありますが、日程がまだまだ先で、仕事に戻れるのかどうか不安な毎日が続いています。
 大変お忙しいとは存じ上げますが、要領を得ない文章で申し訳ありませんけれども、何かアドバイスをくださいませ。うまく言えませんが、社会的に価値のある素晴らしいページを作られていらして、敬服いたします。
 追伸:四ヶ月あまり、低周波電気治療と投薬治療を続けております。(テルネリン・ナウゼリン・グランダキシン・ムコスタ・アデホス・コバメチン)

[tomos]

 ご質問は以下の三点に要約されると思います。

1)「股関節や首の症状が交通事故によるものだ」と客観的に証明する手だてはないか?

 まず、一般的なお話をさせていただきます。「交通事故以前は何も症状(自覚症状を含む)がなかったのに、その事故だけを契機にして何らかの症状が発症すれば、その発症に事故が多かれ少なかれ寄与している」のは、誰がみても明らかです。また「事故以前に素因または多少症状があったものが、事故後に症状が出現または明らかに症状増悪した場合も、その症状出現・増悪に事故がある程度寄与している」と考えられます。なお「事故後かなりの期間を経過した後に新たに生じた(それまでの症状と関連しない)症状は、それが事故によるものだ」と証明するのがたいへん困難です。
 具体的な kk さまの今回の事例に関しては、初診時から現在までのカルテがある病院でご相談ください。

2)股関節の症状について

 おケガをされてからもう半年以上経ちますが、半年という期間は、もし骨折していても治っている時間です。腰椎・骨盤(恥骨結合を含む)・股関節・大腿骨等どこを傷めていらっしゃるのか、実際に診察なさっている医師にも診断がつかないのですから、ネット上のやりとりだけでは申し訳ありませんが判断しかねます。

3)いわゆる「むち打ち症(損傷)」、頸椎捻挫について(脊髄損傷、頸椎骨折を合併した場合を除きます)

 むち打ち症(損傷)については、Q&Aですでに説明しています。ところで、kk 様のおっしゃる「首周りのおよそ不定愁訴のような様々な症状(頭痛・めまい・吐き気・頚部痛・肩こり・耳鳴・右耳の難聴)」は、頸部交感神経症候群(バレー・リュー症候群)によくみられる症状です。これは、首を捻挫したときに首にある交感神経系(自律神経系のひとつ)に何らかの影響があった場合、「めまい、目がかすむ、耳鳴りなどの症状」が出現すると言われています。
 一般的に、頸椎捻挫をしたときは、受傷時からしばらくは頸部を安静にする必要があります。しかし、おおむね受傷後3〜4週間を経過すれば、無用な安静は肩こりのようながんこな症状が長びくためお勧めできず、少しずつ肩や腕などを動かすようにして日常生活に復帰するのがいいと思います。
 バレー・リュー症候群に関しては、kk 様が同症候群なのかどうかネット上のやりとりだけでは不明ですが、もしそうだとすれば、それに対する治療もあります。たとえば、星状神経節ブロックという頸部交感神経節の注射をすることがあります。その他、鎮静剤の投与、レラキゼイション、心身のリフレッシュ等が効果的です。なお、1年も2年もこの症状が持続する人はまれで、そのうち治る場合がほとんどですから、あせらず、あきらめず、気長に、プラス・イメージでいきましょう。
 交感神経系などの自律神経系は、心因的な影響も指摘され、たとえば、「事故の恐怖」、「交通事故やそれに関連した諸手続によるストレス」、「補償問題」、「被害者意識」、「長期にわたる治療のストレス」などは治療を長びかせる原因になります。こういった患者様には、メンタル・ケアも重要で、カウンセラーやケースワーカーの役割が注目されていますが、残念ながら我が国ではこの種の制度が未発達です。

(Sep/13/1998)

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