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Jan/2001〜 膝関節 Q&A ライブラリー

ゆり [01年 5月 12日 (土) 1時 02分] 東京都在住、6歳、女性
身長 125cm、体重 22kg、職業:小学1年生
【スポーツ歴】
バレエ 2年
【家族歴】
父親 2年前に左大腿部に脂肪腫ができ切除
【現病歴】
小児喘息
【相談・質問】
『経緯』7ヶ月程前からひざの内側に痛みをおぼえるようになる
左右どちらにも痛みが出るようで特に夜寝る前に痛む
4ヶ月前に近所の整形外科で見てもらったところ成長痛と言われ
放置していたが、痛みが続くため 別の整形外科で見てもらったところ
今度はジャンプ膝と診断された
最近1ヶ月ほどバレエ教室を休んだところ この間に痛みを訴えたのは2回ほどだったが
今週レントゲン撮影にて腫瘍らしきものが左膝にみとめられ 次回MRIでの診察を予定
『ご相談』担当の医師からはそう心配はないと言われていますが、
具体的にどのような病気の可能性がどの程度の確率でありうるのか
詳しいことが知りたくお願いいたします 本を調べても余りいいことは書かれていないので
とても心配です

[tomos]

 今年小学校1年生になった娘さんは、7ヶ月ほど前から両膝の内側が痛むとのお話ですが、ジャンプ膝のような症状なのか単なる成長痛なのか、あるいは骨腫瘍なのか・・・これだけの情報でどういった疾患が考えられるか推定するのはなかなか難しいです。
 2年前からバレエをされているので、おそらくジャンプ膝のような症状があったのだと思われますが、レントゲン検査をしてみたら左膝にたまたま骨腫瘍を疑わせるような陰影が写っていてMRI検査をすることになり、お母さんがとても心配している・・・というのが今回のご相談のあらましのようです。ジャンプ膝等ならばしばらく運動を控えれば症状がおさまりますし、成長痛であれば放置しておいてもかまいませんが、骨腫瘍であれば手術が必要なことがあり、時には悪性のこともありますから、ご心配されているのだとご推察いたします。
 膝周辺の骨には種々の骨腫瘍が発生しますが、頻度としては良性であることの方が圧倒的に多く、骨嚢胞や線維性骨異形成のように真の骨腫瘍でないこともあります。また、骨肉腫のような悪性骨腫瘍では、単純レントゲン写真でも特徴的な像が認められることが多く、主治医の先生が「そう心配ない」とおっしゃっているのでしたら、その通りだと思いますが・・。念のため、MRI検査をされるのでしょう。

(May/23/2001)

ころちゃん [01年 4月 15日 (日) 12時 26分] 東京都在住、27歳、女性
身長 152cm、体重 40kg、職業:会社員
【スポーツ歴】
ジャズダンス(12年 週2 1回 90分程度のレッスン)
【現病歴】
平成11年夏、椅子からたちあがっただけで左ひざにぴきーっと電気が走ったような
痛みが走りました。体重を足にかけれなくなり、1日歩けなくなり、歩けるようになってからも左をかばうようにして歩き、右まで同じことがおこりました。
【医療機関】
スポーツ整形外科で診断
【診療内容】
両膝外側円板状半月(不完全型)と診断されました。
その後筋力トレーニングで小走りできる程度まで回復しましたが、過去にも同じことが2回あったこと(平成6年 9年)正座やしゃがむことが不可能になったこと、踊りをどうしてもやりたいことから、手術を決断し、症状のひどい右ひざ(きっかけは左だったが)平成12年春に内視鏡による半月板切除術(半月板の機能をちゃんと残す程度に削った)をしました。
退院後、膝周りの筋力をつけるトレーニングを家でやり手術からちょうど1年になりますが、症状は相変わらず正座ができず、(むりやり正座の体勢をとっても2秒もすると体勢をくずしたくなり、体重をのせることができない)しゃがむこともできません。
手術をしたA病院では「内視鏡で見た限り、軟骨はきれいで半月板に断裂もなく、これ以上削る必要はない」とのことでした。しかしこのままでも治る気配もなく不安だったのでB病院にいってみると、「手術して3ヶ月で痛みが取れなければ削り足りないとうこと。また痛みは円板状半月によるものとは限らない。」とのことでした。
【相談・質問】
私個人としてはどうしてもまた踊りのレッスンに通いたく、このままではいたみが取れる気配がないので、治るものなら手術をする方へ傾いていたのですが、1つの病院ではこれ以上削るつもりないようですし、本当に手術をしていいものか、迷っています。

質問1.円板状半月が原因だった場合かなりの量を削らないと痛みがとれないということはあるのでしょうか。

2、内視鏡でみた限りでは軟骨はきれいでも(A病院)MRIでみて(B病院)軟骨になにか異常があるかもしれないということはあるのでしょうか。素人の考えでは内視鏡で実際みた診断の方が確実のようなきがするのですが

3.B病院では今できることはとりあえず、半月板をもう少し削ってみることといわれていますが、原因もまだ軟骨か半月板かはっきりしないのにする価値はあるとおもわれますか

4.そのほか考えられる別の原因というのはありますか

最終的には手術するかしないかは私が決めることだとは思いますが、今後どうしたらいいかなどのアドバイスなどございましたら、よろしくお願いいたします。


[tomos]

(1) 半月板は、膝関節の内側と外側にある関節の縁取りのような構造で、関節のクッションのような働きをしています。
 円板状半月板に限らず半月板に断裂(ちぎれること)が生じ膝の症状が出現した場合は、昔は半月板を全摘(全て切徐)していました。しかし、半月板は不用な組織ではなく、全摘のあと長年経過すると変形性関節症(関節の使い傷みによる変形、老化)を生じやすいことがわかりました。そのため、現在では半月板の切徐はできる限り関節鏡を見ながら傷んだ部分を部分的に切除するか、もし断裂した部分が半月板の周縁部であれば半月板を縫合する方法等が行われています。
 円板状半月板の場合、部分切徐や縫合はできませんが、最近は昔のように全部切徐するのではなく、亜全摘といって周縁部を少し残すように切徐しています。円板状半月板は分厚いので、亜全摘のとき残した半月板が少し大きいことがあります。その場合、しばらく膝の屈伸に際し「ゴリッ」とした違和感が残りますが、そのうちに残存半月板が自然に削れて関節になじんでくることが多いようです。

(2) 関節軟骨の状態は、おっしゃるように関節鏡で観察するのが一番よくわかりますが、最近はMRI装置の診断能力(解析技術)が向上し、MRI検査で関節軟骨の変性(傷み具合)などもわかるようになりました。MRI装置の進歩は日進月歩ですが、それでも微妙な関節軟骨の変化の診断まではできませんし、また少し以前のMRI装置ですと画像が荒く軟骨の状態の診断はなかなか難しいようです。

(3) 関節鏡検査は小さな切開により可能で、侵襲(身体への傷害)が少なく(ゼロではないですが)、また何か所見があればその場で鏡視下に半月板を部分切徐することも可能です。関節鏡には、そういったメリット・価値があります。

(4) 「ころちゃん」さんのようなケースでは、半月板にまだ問題があったり、時に関節軟骨を傷めている場合も考えられますが、いずれにせよ関節鏡検査をすれば、現在の症状の原因が明らかになると思います。

 なお、大腿四頭筋を鍛える体操は非常に重要ですから、今後も根気よく続けてください。

(Apr/25/2001)

シン [01年 1月 21日 (日) 22時 01分] 愛知県在住、22歳、男性
身長 169cm、体重 75kg、職業:国内航路自動車専用船乗組員
【スポーツ歴】
小学4〜6年 ミニバスケットボール
中学、高校、専門学校(2年間)はバスケットボール
冬に2〜3回スキー
現在は特にやっていません。
【既往歴】
髄膜炎(16歳高校1年冬)後遺障害はなし
両膝棚障害(18歳高校3年)
【家族歴】
特になし
【合併症等】
特になし
【現病歴】
両膝関節炎(整形外科で受診)
水虫(皮膚科で受診)
 膝と水虫は別の医療機関で受診しています。
【医療機関】
整形外科、神経科
【診療内容】
 18才のとき両膝棚障害と診断され関節鏡下でたなを切除。その後は一時は痛みがありませんでしたが、術後2〜3ヶ月で痛みが再びでてきました。関節鏡で観察したかぎりでは、棚障害以外には所見は認められないとのこと。昨年7月にレントゲンとMRIの検査を受けましたが特に所見なし。整形外科では原因不明とのことで精神・神経科を受診しました。抗うつ薬、精神安定剤薬を服用しましたが特に効果は認められず現在は通院していません。精神科医は特に精神・神経学上での所見なしで整形外科を再受診するようにとのこと。整形外科医は現在の所原因は不明でどうしたらよいかわからないとのこと。とりあえず体重を落とすようにとの指示がでています。
 過去主な治療は
1、関節鏡でたな切除
2、ステロイド剤の膝への注射
    あまり効果が認められなかった。
3、消炎薬の服用
    ほとんど効果が認められなかった。
4、湿布
    多少効果があった。
5、理学療法
  (部分浴、筋トレ、低周波、マッサージ)
   手術後の筋力と膝の可動範囲の回復には効果があった。

 現在は保温用にサポートを使用してます。寒いときや屋外に出るときはかなり楽になります。両膝の両側部に痛みがありややはれています。長時間の立ち仕事や階段の登り降りが特につらいです。左アキレス腱炎も併発しています。医師の説明では知らず知らずの間に膝をかばっているとのこと。リウマチと痛風の検査は陰性でした。    
【相談・質問】
 現在通院している整形外科医院ではどうしようもなく困っています。他の医療機関を受診すべきでしょうか?ただ今の医療機関でずっと見てもらっているので現在の医師が自分の膝のことよく知っているので迷っています。多分他の医療機関で受診しても同じ診断(関節炎)になるだろうと現在の医師に言われています。
 痛みの原因と治療法はどのようなものになりますか?海の上で生活するので根本的に治療したいです。痛みのみをコントロールするのではなく根本的に治療していきたいのですがどうでしょうか?
 よろしくお願いします。


[tomos]

 実際に診察をさせていただいて、下肢のアライメント(O脚、X脚など)を拝見したり、膝の検査をさせていただかないと、なかなかお返事がしにくいご相談です。
 一般的(経験的)に、若年者で膝の問題をかかえている方は、下肢のアライメントがX脚の場合が多いような印象があります。レントゲン、MRI、関節鏡で現在問題がないのであれば、もしかしたらこういった膝関節の障害なのかもしれません。この場合、膝蓋骨(お皿)の関節軟骨が傷み、膝蓋軟骨軟化症という状態になりやすい傾向があります。また、アキレス腱や足、大腿部も傷めやすいと言われています。この膝蓋軟骨軟化症の膝は、関節鏡で観察すると膝蓋骨の軟骨が傷んで(バサバサにまではなっていなくても)柔らかくなっている所見があります。
 治療に関してですが、多くの膝の疾患では、1)膝に負担をかけないための減量、2)大腿四頭筋訓練(膝蓋軟骨軟化症の場合は膝蓋骨に負担をかけないようにハーフ・スクワットがいいといわれています)、3)大腿前面のストレッチング等により、症状が軽減することが期待されます。
 他の医療機関を受診する件ですが、これは患者さんの権利であり、セカンド・オピニオンを求めて他の医師の意見を聞くのは有意義なことだと思います。このホームページにも、セカンド・オピニオンを求める多くの患者さんが訪問されています。シンさんもそのお一人です。

(Jan/28/2001)

美咲 [01年 1月 21日 (日) 21時 24分] 鹿児島県在住、50歳、女性
身長 155cm、体重 47kg、職業:主婦
【スポーツ歴】
特になし  たまにマラソンをする。
【相談・質問】
母のことで相談したい事があります。母は、たまにマラソンをする普通の主婦です。何度か5kmマラソンや、10kmマラソンに参加するくらいだったのですが、つい先日、父と2人でフルマラソンに参加しました。しばらくは筋肉痛だけだったのですが、3日後くらいから膝が痛く、歩くのも困難な状態になりました。このような場合、どのような治療をしたらよいのでしょうか? (家で気を付けることなど。)また、いつもパートの仕事などで、肩や腰が痛いと言っています。重い物を持つ仕事らしく肩は回らないほどです。このことについても、合わせて御返事いただけたらと思います。よろしくお願い致します。


[tomos]

 フルマラソンを完走すると、膝関節に相当なダメージを与えます。特に筋力の弱い人、O脚やX脚の人、変形性関節症や膝に障害のある人はなおさらです。tomos にとってもフルマラソンはかなりキツく、完走直後から数日間は普通に歩けなかったです(腸脛靭帯炎になりました)。tomos は阪神大震災前後に2回フルマラソンに参加しましたが、それ以後は無理をせずにハーフマラソンまでにしています。
 美咲さんのお母さんはマラソン三日後に膝が痛くなったとのことですが、もし膝がはれているようでしたら関節に水がたまっている場合もありますから、整形外科を受診された方がいいでしょう。腫れてはいないが膝の内側や外側が痛いようでしたら湿布でもしておいて、しばらく膝を休ませ無理をしないようにしましょう。なお、O脚の方で膝の外側が痛くなる場合は腸脛靭帯炎を起こしていることがあります。
 次に腰痛に関してですが、この件は「腰痛の予防」を参考にしてください。
 肩の痛みに関してですが、お話からは肩関節周囲炎(五十肩)が考えられます。肩関節は上腕骨と肩甲骨の間の関節ですが、この関節は膝関節などと少し違っています。上腕骨の頭の部分を上腕骨頭といいますが、この上腕骨頭と肩甲骨の受け皿(臼蓋といいます)との接触面積は小さく、上腕骨頭は大部分を腱板という腕を挙げる筋肉の腱の部分に包まれた構造をしています。加齢や労働・スポーツによる酷使によりこの腱板や肩関節の周囲の組織は傷み、肩関節周囲炎と呼ばれる状態になります。これを世間では、五十歳前後に多いので、五十肩と呼んでいます。
 五十肩になると肩の痛み(特に夜間)や可動域制限(動きが悪くなること)を生じます。痛みに対しては鎮痛剤の内服、湿布等の外用を行っています。また関節などの中にヒアルロン酸という薬剤を注射することもあります。痛みの強い間は肩はなるべく安静にした方がいいですが、慢性期になれば温めたり動かしたりしてリハビリを行っています。肩の状態も、一度整形外科で診てもらった方がいいでしょう。

(Jan/28/2001)

たつや [01年 1月 13日 (土) 0時 27分] 京都府在住、13歳、男性
身長 147cm、体重 36kg、職業:中学1年
【スポーツ歴】
サッカー3年
【既往歴】
なし
【家族歴】
なし
【合併症等】
なし
【現病歴】
発症は去年の夏頃
ボールを蹴る時に痛みが有る
成長痛だと思っていましたが痛みがあまり続く
右膝関節の少し下の内側
【医療機関】
整形外科
【診療内容】
軟骨性外骨腫
日常生活は特に問題無しも痛みがひどくなれば削る事も有る
スポーツもサッカー以外が良いかもとの事

【相談・質問】
クラブの顧問の先生に診断結果を説明しなくてはいけませんので
どの様に説明すれば良いのか、注意する事等を教えていただければと思います


[tomos]

 外骨腫は骨の外側に盛り上がったり、角が生えたようにできる良性の骨腫瘍です。脛骨と呼ばれるスネの骨の、膝の内側のやや下の部分によくできます。たつや君のもそれです。痛みがありスポーツ等に支障があれば手術でその出っ張った骨の部分を切除してやります。手術の後は問題なく元のスポーツに復帰できます。再発もほとんどありません。
 外骨腫は学校に通うような若年者に多いので、手術は春休みや夏休みを利用して行っています。入院期間は数日間で、あとは2〜3週間通院が必要です。

(Jan/13/2001)

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