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炎症・リウマチ Q&A ライブラリー

ももちゃん [01年 2月 16日 (金) 21時 06分] 山口県在住、35歳、女性
身長 160cm、体重 48kg、職業:手芸家
【スポーツ歴】
あまりなし
【既往歴】
18歳盲腸
24歳のときB型肝炎のウイルスをもっているといわれた。
【家族歴】
夫、子供小3(家族構成を記入する欄ではありません)
【合併症等】
特になし
【現病歴】
2000年9月頃より肩の痛み、足の指の痛み
【医療機関】
整形外科
【診療内容】
血液検査、RA定量60(1+)
【相談・質問】
 2000年9月ころから足の指、(両足)、肩(これも両方)の付け根あたりに痛みがあり、整形外科を受診しました。
「血液検査でリューマチの疑いがある」といわれましたが、その病院では「まだ治療するほどではないから」ということで、特に治療は行われませんでした。湿布がでたくらいです。
 その後12月くらいにまだ痛みがおさまらないので、リューマチ科のある整形みてもらいました。同じくまた血液検査と少し手や足をみました。腫れなどは全然ないようでしたが、そこでは「慢性関節リューマチ」と言われ、お薬を頂きました。そこでは「この薬はもうずっと飲まなければいけない」と言って、リューマチの資料などといっしょに頂きました。
 今までリューマチのことなど詳しく知らなかったので、資料を読むととても恐くなり、私の住んでるところではリューマチならこの病院・・といわれる、評判のところにいってみました。すると、そちらの先生は関節などを触ってあとは血液検査で、「リューマチにはいくつか症状が当てはまって(何個以上か忘れましたが)はじめてそのときにリューマチと診断する」といって、「まだ関節の腫れもないし、また腫れなどがでたら、いらっしゃい」ということでした。血液検査では前に2ついったところと同じように陽性の反応でした。
 今でも足の指や肩に痛みがあるのですが、腫れがでないと治療などないのか、また何ヶ月かおきにでも血液検査を受けたほうがいいのでしょうか?
 リューマチには手のこわばりなどがあえる聞きましたが、手の関節が痛いときもたまにありますが、こわばりというものではありません。PCにむかっている時間がおおいのと、仕事柄1日中手先をつかっているので、そのせいで肩が痛むののか、このまま放置していていいのか、自分でどうしたらいいのかわかりません。リューマチなのでしょうか・・。寒いときには特に痛みます。
 どうかアドバイスよろしくお願いいたします。

[tomos]

 アメリカリウマチ学会の診断基準(1987年)では、関節リウマチ(以下RA)と診断するには、以下の7項目中4項目以上がなければならないとされています。

1)1時間以上の朝のこわばりが、少なくとも6週間以上あること
2)3領域(*)以上の関節腫脹(はれること)が、少なくとも6週間以上あること
3)手関節、中手指節(MCP)関節(指の付け根の関節のこと)、または近位指節間(PIP)関節(指の付け根に近い方の指の関節のこと)の腫脹が、少なくとも6週間以上あること
4)対称性関節腫脹(左右両方の関節が腫脹すること)
5)リウマトイド結節(関節付近に生じるRAに特有な結節(できもの))
6)正常人の5%以下しか陽性とならない方法での血清リウマトイド因子陽性
7)RAに定型的な、骨びらんあるいは骨脱灰像を含む手のX線所見
 (*)領域とは左右のPIP(指の付け根に近い方の指の関節)、MCP(指の付け根の関節)、手首、肘、膝、足首、MTP(足のゆびの付け根の関節)の14領域である

また、診断基準を満たしても以下の除外項目のいずれかに一致すればRAとは診断されません。(少し専門的になりますが、関節症状を示す他の疾患を除外しているのです)

1)全身性エリテマトーデスの定型的発疹
2)多数のLE細胞出現
3)多発性動脈炎
4)皮膚筋炎
5)強皮症
6)リウマチ熱
7)痛風性関節炎
8)痛風結節
9)急性感染性関節炎
10)関節結核
11)Reiter病
12)肩手症候群
13)肺性肥大性骨関節症
14)神経病性関節症
15)尿中ホモゲンチジン酸の証明
16)サルコイドーシスまたはKveim試験陽性
17)多発性骨髄腫
18)結節性紅斑
19)白血病またはリンパ節腫瘍
20)無γ−グロブリン血症
21)強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、潰瘍性大腸炎に伴う関節炎

 「ももちゃん」さんの場合は、リウマトイド因子陽性だけが該当し、現在の症状ではRAと診断されないようです。なお、リウマトイド因子はRA以外の疾患でも陽性になることがあり、たとえば慢性肝炎の約40%、肝硬変の約60%で陽性になると言われています。「ももちゃん」さんはB型肝炎ウイルスキャリアだそうですが、念のため内科で肝臓の方も調べておかれた方がいいと思います。
 「ももちゃん」さんはパソコンによる頸肩腕症候群もあるかもかもしれませんから、そこの記述もご参照ください。
 なお、アメリカリウマチ学会のRA診断基準分類樹(1987年)を参考に、関節リウマチ簡易診断チャートを作成しましたので、一度お試しください。

(Feb/22/2001)

M.T [01年 1月 11日 (木) 9時 58分] 大阪府在住、26歳、男性
身長 166cm、体重 51kg、職業:会社員
【スポーツ歴】
テニス(高校時代)
【既往歴】
特になし
【相談・質問】
 1/4の夕方から体がだるくなり、帰宅して熱を計ったら37.5℃程度(平熱は36.4℃)の熱がありました。(体のだるさ以外の咳、鼻水等の風邪の症状はありませんでした。)風邪薬を飲んで寝たところ翌朝には37℃ぐらいまで熱は下がり、体のだるさもなくなったのですが、足首に力が入らず、常に違和感がある状態を感じました。1/6〜8の3連休は自宅でおとなしくしていたのですが、微熱は下がらず、足首の違和感も治まりませんでした。今も朝は熱がないのですが帰宅すると37℃弱程度の微熱があり、足首の違和感はずっとある状態です。昨年も同じ時期に風邪から微熱が残り、足首の違和感がある状態が1.5ヶ月ほど続きました。その際は病院で足首のレントゲンをとってもらいましたが何の異常もなかったので、しばらく様子を見て下さいということでした。
 足首の違和感というものが上手に表現できないのですが、足首に力を入れづらい状態、力を入れると足首が壊れてしまいそうな感覚を受ける状態です。したがって、登り坂や下りの階段は、歩いていて少しつらい状態です。しかし、特にこれと言った痛みがあるわけでもありませんし、運動をしようと思えば足首を普通に使って運動をすることも可能です。(去年は、このような状態になったときに、スキーやテニスをしたこともありましたが、症状は良くも悪くもなりませんでした)
 14歳の頃に、風邪のウイルスが右膝と左足首に入り、炎症を起こし、歩けなくなってしまい2週間ほど学校を休んだことがあります。それ以降は、後遺症もなく、今まで足首に関する異常はありませんでしたが、就職してから、残業等が重なり疲れがたまってくると、足がだるくなることはよくあり、疲れ等が足に出やすいタイプなのかもしれません。今は、普通に通勤していますが、出社すると当然、社内を歩くことも多くなり足首に負担が多くかかってしまいます。会社を休んで様子を見た方がいいのでしょうか?(病院で診てもらうとしたら整形外科でいいんですか?)微熱と足首の関係、そもそもの原因と考えられること、その対処方法等のアドバイスをお願いします。


[tomos]

 微熱があるということなので、やはり何か感染症が原因・誘因では?と思いますが・・・。整形外科の範疇では結核菌による脊椎カリエスでは、微熱が出て両下肢の麻痺が出現します。多くは背部や腰部の痛みも伴います。
 感冒や感冒様症状に伴い、関節の症状が出現することがあります。風邪をひくとあちこちの関節が痛く感じることがあるのもこの類です。感冒は大部分ウイルスによって引き起こされ、風邪に伴う関節症状もウイルスによる一連の生体の反応の一つと解釈されます。
 さらに、感冒様症状に伴って神経麻痺が出現することがあります。急性多発性神経炎と呼ばれるもので、医師の間で比較的よく知られている「ギラン・バレー症候群」もこれに似た病態です。ギラン・バレー症候群は感冒様症状のあと足→膝→腰→手・腕→肩というように下から上に順に麻痺が進行していきます。麻痺が重度の時は呼吸筋麻痺も伴い、人工呼吸器のお世話になります。予後(病気の治る見込み)は良好で、多くは半年以内に治ります。ただしギラン・バレー症候群の場合は発熱を伴わずに病状が経過します。
 念のため、一度病院で医師の診察、できれば神経内科医の診察を受けられるのがいいと思います。

(Jan/11/2001)

M [01年 1月 09日 (火) 2時 51分] ?在住、23歳、男性
身長 178cm、体重 64kg、職業:学生
【スポーツ歴】
中学校でバスケット
【相談・質問】
首筋の上部左側(前方から見た位置は左目の下方です)にガングリオンのようなしこりができたのですがどんな症状が考えられるでしょうか?
いじると若干動くような感触もあるのですが。

[tomos]

 おそらくリンパ節が腫れているのか粉瘤だと思います。
 首の周りにはリンパ節が多くあり、「いじると動く」ということですからリンパ節の腫れが最も考えられます。リンパ節は風邪や扁桃炎、虫歯、副鼻腔炎などの炎症があれば腫れることがあります。また希にはウイルス等の感染症や血液の病気が原因であることもあります。さらに中高年であれば、ガンのリンパ節転移ということもあります。一度内科または外科で診察を受けられのがいいでしょう。なお、特にこれといった原因がないのにリンパ節が腫れていることがあり、tomos も昔から右顎の下あたりに一つあります。これは放っておいても特に問題がありません。
 粉瘤は頭や顔、首、背中などの皮膚や皮下にできやすい比較的小さい腫瘤(しこり)です。アテローム(ドイツ語)とも呼びます。その腫瘤は袋状になっていて内部に毛穴や皮脂腺からの分泌物が「おから」や「マヨネーズ」みたいな感じで詰まっています。ときに化膿し、独特の悪臭のある膿(うみ)が出たりします。化膿を繰り返す粉瘤は外科的に摘出します。

(Jan/9/2001)

YUMIKO [00年 1月 19日 (水) 23時 07分]

 はじめまして。私は42歳の主婦です。3年位前から冬になると手の指先が痺れてきてすごく気持ち悪くて、病院でリウマチの検査をしたんですが異常なしだったんです。その後二つの病院で見てもらったんですが、何もわかりません。でも暖かくなると普通になるんです。
 今年は左手が全体に痺れてて、本も持ってられないときもあります。何か悪い病気なんでしょうか教えて下さい。お願します。

[tomos]

 「主婦の手の痺れ」の原因となる疾患で日常よく見かけるのは手根管症候群です。頸椎症頸椎椎間板ヘルニア胸郭出口症候群などでも手が痺れることがあります。また腱鞘炎上腕骨外顆炎でも手や腕が痺れるように感じることがあります。
 慢性関節リウマチ(RA)では「手が痺れる」よいうより「関節がこわばる(特に朝方)」という症状が特徴です。RA以外の自己免疫疾患でも関節のこわばりが生じることがありますが、疾患によっては「レイノー症状」といって「冷えると手の血行が悪くなり冷たく紫色になる」といった症状が現れることがあります。
 内科の病気では、糖尿病でも手足が痺れることがあります。また喫煙は手足の血行を悪くします。
 やはりもう一度、念のため病院で診察していただいた方がいいと思います。それでも特にこれといった異常が見つからない場合は、手の保温に気をつける、食事に気をつける(血行を良くする食事)、喫煙する人は禁煙する、血行を良くする軟膏・クリームを塗る、等に注意されるといいでしょう。

(Jan/27/2000)

ともこ [00年 1月 14日 (金) 11時 04分]

 年齢;18歳、性別;女、学生、スポーツ;サッカー・ソフトボール。滑膜切除の手術をしました。
 質問ですが、脚の膝の滑膜切除手術をすると膝の曲げ伸ばしがしにくくなったりするのでしょうか。また滑膜がないことでおこる膝の障害などはあるのでしょうか。
 私は学校でスポーツのクラブ活動をまだしたいのですが、脚の膝に負担のかかる激しい運動をおこなってもいいのでしょうか。特にウェイトトレーニングのスクワットなども手術前と同じように重い負荷をかけて行ってもいいのですか。


[tomos]

 ともこさんのご相談にお答えするには、もう少し詳しい情報が必要です。
 滑膜切除術は一般的には慢性関節リウマチの患者さんに行われる手術ですが、ともこさんのご病気の診断名をお教え下さい。また、滑膜切除術は関節鏡視下に行われたのでしょうか?それとも関節を切開して行われたのでしょうか?
 また、膝関節以外にも関節の症状はあるのでしょうか?
 伝言板で構いませんので、以上の質問にお答え下さいますようにお願いいたします。

ともこ [00年 1月 15日 (土) 8時 20分]

 診断名は若年性関節リウマチです。手術は関節鏡を使いました。以前は両膝に症状がでていましたが、現在は左膝だけが具合が悪く、手術も左膝だけ行いました。
 その他の関節にはまったく症状がありません。目にも虹彩炎がでましたが、現在はおさまっています。

[tomos]

 小児に生じた慢性関節リウマチ(RA)を若年性関節リウマチ(JRA)といいます。成人に発症するRAと違い、JRAは多彩は症状が現れ、特徴的な病型がみられます。
 ともこさんのJRAは少関節型というタイプで主に膝関節に炎症が起こります。JRAでは眼症状として、ともこさんのように虹彩毛様体炎が認められることがありますが、これは少関節型に多いと言われています。
 関節は関節包という袋状の組織で包まれていて、さらにこの関節包の内張りのような組織は滑膜と呼ばれています。RAの関節炎は自己免疫反応による滑膜の炎症が発端だと言われていますが、初期のRAでは、この滑膜を手術で切除して、関節の炎症や関節の破壊がおきにくくすることができます。この手術を滑膜切除術といいます。以前は、滑膜切除術は関節を切開して行っていましたが、最近は関節鏡が普及し、関節鏡視下に実施することが多くなっています。
 滑膜は関節液という関節の潤滑液のような液体を生成していますが、ともこさんは滑膜切除術によって滑膜がなくなれば関節に何か不具合が起きるのではないかと心配されています。しかし、滑膜切除術といっても、すべてを切除することは困難なので多少滑膜が残りますから、そうした心配はあまりいらないでしょう。膝の曲げ伸ばしにもそんなに支障がないと思われます。
 また、今後のスポーツ活動については、膝関節がJRAによりどのくらい傷められているかによりますので、主治医の先生とよく相談してください。関節破壊がないか、あっても軽い場合には膝に負担のかかるスポーツでも可能な場合があります。もちろん、たとえ関節破壊がある場合でも、水泳等の膝に負荷のかからないスポーツはOKです。

(Jan/19/2000)

さるる [99年 4月 14日 (水) 11時 24分]

 奈良に住む、さるるです。

1)30才、2)女、3)159cm、4)主婦、5)なし
6)右内反尖足によるアキレス腱延長・その他腱移行術(6才)、腰痛症(17才)、側湾症(17才)、アキレス腱周囲炎(25才)、肩関節周囲炎(25才)、右膝蓋大腿関節障害(28才)
7)左内反尖足、右膝内障、リウマチ性多発筋痛症、腰痛(分離症)、腱鞘炎(手)
8・9)リウマチ性多発筋痛症、首と肩のこり。血液検査の結果これだろうといわれ、治療としては、ステロイド服用。痙直型両麻痺による筋肉の緊張により、膝へのストレス。左足の症状は、年とともに出てきたものといわれました。
10)TOMOS先生の職歴にある整形外科

 リウマチ性多発筋痛症とはどのようなものか?
 血液検査の結果が良くなれば、再発の可能性は?
 痙直型両麻痺について、右足、左足、この先の生活と、右アキレス腱延長をすればひざへのストレスは減るか?(PTの先生は、このあたりでしたほうが良いと言われます)
 どうぞ、なにかアドバイスよろしくお願いします。

[tomos]

(1)リウマチ性多発筋痛について

 リウマチ性多発筋痛は、高齢の主として女性に多く生じる頸部、腰部、肩などの筋肉痛とこわばりを主症状とする症候群です。

【リウマチ性多発筋痛の診断基準】
1)血沈の亢進
2)両側の大腿部の筋肉痛
3)食欲不振・体重減少
4)発熱
5)全身倦怠感
6)朝のこわばり
7)両側の上腕部の筋肉痛

 60歳以上で上記の7項目の内3項目以上を満たすものをリウマチ性多発筋痛と定義しています。

 さるるさんはまだ30才ですから、一般的にはリウマチ性多発筋痛とは診断されないように思います。
 リウマチ性多発筋痛は慢性関節リウマチや側頭動脈炎といった自己免疫疾患に近い疾患で、治療としてはステロイドが著効します。また、たいていは1〜2年で病状が落ち着き、慢性関節リウマチなどのように最終的に四肢の機能が著しく損なわれるようなことはありません。

(2)痙直型両麻痺について

 さるるさんの痙直型両麻痺は脳性麻痺(出生時などに起きた脳の酸素欠乏等のために生じる脳が原因の身体の麻痺)の一種で、主に両下肢に痙性麻痺があります。痙性麻痺があると筋肉の緊張が強いために股・膝・足関節の動きが固くなります。
 尖足とは、足首が固くて直角以上に甲側に曲がらず、つま先が下を向いたままの状態をいいます。また、内反とは足が内がえしの状態になることをいい、痙性麻痺の人の足はたいてい内反尖足の状態になります。
 幼児期の内反尖足はまだ発症後の年数が浅く、筋肉や腱などの軟部組織の拘縮が主因で、手術で足首の後面のアキレス腱などの腱を延長することにより変形を矯正することが可能です。さるるさんの場合も6才時に右足にこの手術を受けています。
 現在さるるさんは左足が内反尖足だとのことですが、30才にもなると関節自体が固まってしまい、腱を延長するだけでは内反尖足を矯正することはできません。多くの場合、関節の靱帯や関節包(関節の袋)を切開したり、足首や足の骨を切ったり固定したりする必要があります。
 下肢に麻痺があれば、筋肉の緊張にアンバランスがあり、股・膝・足などの関節に障害を生じることがよくあります。膝の動きに関係する筋肉は下腿部の腓腹筋(アキレス腱の筋肉)だけではなく大腿部の筋肉もあります。膝の拘縮に関してはハムストリングス(膝の後内側の腱)等の複数の腱の延長を要する例が多く、また股関節や足関節の影響もあり、アキレス腱の延長ですべてが解決するという単純なものではありません。また、たとえ腱の延長等により(筋力が落ちるという副作用があるものの)関節の拘縮などを緩和させることができたとしても、痙性麻痺がある限り筋緊張のアンバランスが続くわけですから、完全に下肢の症状を治すということは現在の医学では不可能でしょう。
 麻痺や関節障害の程度は症例により様々です。さるるさんの病状は主治医の先生が一番よく把握されているはずですから、わからないことがあれば主治医の先生によく聞いてみましょう。

(Apr/17/1999)


さるる [99年 4月 19日 (月) 19時 27分]

 またまた登場のさるるです。先日の相談コーナーでお聞きするのを忘れたのですが、右膝の調子が悪く、軟骨も擦り減って亀裂がはいっててヒアロスを打っているのですが、根本的には「筋肉の緊張が強いのと膝蓋骨高位なのが問題」のようです。
 装具で膝蓋骨を押え込んで下がるようにしているのですが、装具も連続して装着してられないので(こすれて傷になったり、かぶれる)、主治医のいうには「手っ取り早く治すには、手術で膝蓋骨の位置をさげるのが一番」といわれました。
 どのような手術で、全身麻酔じゃなくても出来ますか?入院期間は?TOMOS先生、教えてください。

[tomos]

 さるるさんは主治医から「脳性麻痺(痙性麻痺)のため筋緊張が強く、また膝蓋骨の位置が高いのが右膝の症状の原因」との説明を受けられたようです。
 今回のご相談ですが、やはりネット上のやりとりだけでは、さるるさんの「膝蓋骨高位」が現在の膝の症状にどの程度関与しているのか等がよく分かりません。したがって、さるるさんの右膝がはたして膝蓋骨の位置を下げる手術の適応なのかどうか判断しかねます。
 できましたら主治医の先生か園長先生にもう一度よくご相談下さい。

(May/5/1999)

N.A [99年 2月 18日 (木) 12時 31分]

 はじめまして。現在6ヶ月になる息子の病気についての相談です。
 生後1ヶ月の時、突然40度近い熱が出て、原因不明ということで総合病院の小児科に入院しました。翌日、左足の付け根からつま先まで赤く腫れ、レントゲンや血液検査等の結果、左足首の骨髄炎と分かりました。
 その日のうちに整形外科へ転科、手術し、患部を切開・洗浄しました。ですが2・3日経っても膿(?)が止まらず、毎日生食で洗浄しました。培養検査の結果原因菌は MRSA という菌だそうで、抗生物質の点滴も持続的にしていましたが、炎症反応はなかなおさまる気配がなく、1回目の手術から10日後、患部に管を入れ生食を流し、洗浄する手術をしました。それから1週間後、管を抜き、さらに2週間後には、無事退院しました。
 長い炎症の結果、患部の骨の一部は溶けてしまいました。担当医のお話では、「溶けた部分の骨が再生されなければ歩行障害が残るかもしれない、この病気の原因については事故に遭ったと思ってください」とのことでしたが、どうもすっきりしないのです。
 MRSA という菌はどこにでもいる菌なのでしょうか。また、乳児の骨は一度溶けても再生されるのでしょうか。
 ちなみに、出産は正常で、息子が特別な処置を受けた様なことはありません。よろしくお願いいたします。

[tomos]

 乳児化膿性関節炎・骨髄炎は、他の病巣からの細菌が血行性に(血液の流れに乗って)骨・関節に感染して化膿するもので、股関節や膝関節の周囲によく生じます。tomos は足関節部の乳児化膿性関節炎の経験はありません。
 MRSA(methicillin-resistant Staphylococcus aureus)は抗生物質が効きにくい黄色ブドウ球菌の略称です。黄色ブドウ球菌自体はどこにでも存在しますが(正常人の皮膚にも常在しています)、抗生物質が使われる機会が多い最近は、抗生物質に耐性ができて通常の抗生物質が効かない(ただし多くの場合バンコマイシン、ハベカシン等は効く)黄色ブドウ球菌(MRSA) による感染症が増加しています。
 小児の骨にはその端に骨の成長する軟骨の層(成長軟骨)があります。たとえば脛骨(スネの骨)の場合、膝に近い部分と足首に近い部分に成長軟骨があります。「患部の骨の一部が溶けてしまった」とのことですが、どの骨のどの部分がどの程度溶けたのか不明で、また生後6ヶ月の乳児ではまだ骨も未熟でレントゲンによる診断も難しいと思われますので、はっきりとしたことは申し上げにくいですが、後遺症として多かれ少なかれ脚の変形が残ると思われます。足関節の固定術が必要になる場合もあります。最悪の場合、もし脛骨の成長軟骨も破壊されているようでしたら、右脚が短くなることも覚悟しなければなりません。万が一著しい脚長差(3cm以上)が生じた場合は、小学生〜高校生ぐらいに成長してから手術で脚を延長するという方法もあります。

(Feb/23/1999)

フージー [98年 2月 20日 (金) 18時 45分]

 私は26歳の会社員ですが、今日の朝から左足の足首のところが痛み、見てもらったところ、”蜂か織炎”との診断を受けました。説明はすぐに終わってしまい、今一つ理解できず悩んでいます。病気の内容と完治するまでの期間や、これからどのように過ごす事が最善策なのかを教えて下さい。

[tomos]

 足首のところが赤く腫れて傷む病気は数多くありますが、「蜂窩(か)織炎」もその一つです。他に、アルコール・肉類を好む男性の場合、「痛風」発作であることもあります。

<A>「蜂窩(か)織炎」について
 「蜂窩(か)織炎」は、皮下の組織に細菌が感染して化膿している状態の一種です。「できもの」の場合は膿瘍(のうよう)といって膿(うみ)を伴いますが、「蜂窩(か)織炎」の場合は、皮下の組織が全体的に炎症をおこしています。炎症を起こしている部位が、赤く腫れて熱をもちます。原因は、小さな傷などから細菌が感染する場合が多いです。治療は、感染している細菌(黄色ぶどう球菌、溶血性連鎖球菌など)によく効く抗生物質を投与します。炎症をおこしている部位は、できるだけ安静にするのが望ましいでしょう。抗生剤がよく効けば、数日から数週間で治ります。

<B>「痛風」について
 細胞の核の成分である核酸は、プリン体という物質からできています。人間の体は常に新陳代謝されていますが、核酸が壊された後の最終代謝物は「尿酸」といい、最後は尿中に排泄されます。この尿酸は、何らかの原因で(1)過剰に生成されたり(2)排泄が抑制されたりして血液中に溶けきれずに、人体の組織に結晶として沈着する場合があります。
 代表的な症状が関節痛で、関節に尿酸結晶が沈着するために炎症反応としておこります。足の親ゆびの付け根が好発部位ですが、膝や足首など他の関節にもよく発生します。症状は、関節のところが赤く腫れて熱をもち、激烈な痛みを伴います。それゆえ「痛風」と呼ばれています。腎臓に尿酸結晶が沈着すると「痛風腎」と呼ばれ、腎不全になることがあります。血液中の尿酸の値が高かったり、関節液中から尿酸結晶が見つかれば、痛風と診断されます。痛風の原因になる病気が、他にある場合もあります。
 治療は、尿酸の生成を抑制する薬剤・尿酸の排泄を促進する薬剤・関節の痛みや炎症を抑える薬剤の投与、関節液の貯留が著しい時はその液の排出を行っています。予防には、(1)肉類などプリン体を多く含む食物を多量に摂取しないこと、(2)アルコール(特にビール)は血液中の尿酸値を上昇させるので摂取を控えること、(3)脱水になると結果的に血液中の尿酸値が上昇するので水分を十分にとること、(4)適度に運動することなどがあげられます。

(Feb/21/1998)

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