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Mar/1999〜  手 Q&A ライブラリー

たか [01年 5月 12日 (土) 0時 57分] 静岡県在住、28歳、男性
身長 171cm、体重 63kg、職業:整備士
【スポーツ歴】
サーフィン6年
【既往歴】
軽い喘息10年前
【家族歴】
無し
【合併症等】
無し
【現病歴】
平成11年1月末、右手舟状骨骨折(スノボーで転倒)3ヶ月間ギブスにて固定。
その後、偽関節と診断。同年12月末、手術。右骨盤より骨移植し、ボルト(両端にピッチの違うネジ山があるもの)で固定。2ヶ月間ギブスにて固定。その2ヶ月後位(術後4〜5ヶ月位)に移植した骨が完全に体に吸収されて、偽関節と診断。
平成12年12月、2度目の骨移植ボルト締め再手術。
【医療機関】
中規模の総合病院の整形外科〜開業医の整形外科〜前医者紹介の大学病院にて手術。
【診療内容】
2度目の手術後は、1ヶ月間ギブス固定の後、親指が完全固定でヒジ手前までの装具を1ヶ月半していました。骨移植の際、右手を血管造影して舟状骨より2〜3cmヒジよりのところ?から移植しました。切り取った骨には人工骨を埋め込み、ボルトはスクリューのタイプらしいです。今は手術後5ヶ月で、月1回の通院でのレントゲン写真ではうっすらと移植した骨が写っている程度です。担当医は順調との事です。
【相談・質問】
舟状骨骨折が治りにくい骨折とは分かっていますが、移植した骨が溶けて体に吸収される事もあるのでしょうか?
手首の痛みがとれません。常に痛みを感じます。頬づえをつくことも出来ないくらいです。特に寝起きが痛いので毎日装具を付けて寝ています。
今の仕事では装具を付けてでは出来ないので、なるべく右手をかばっています。その事も担当医には伝えてあります。最終手段として、舟状骨そのものを取ってしまう、ということもあるが年齢的にこの先、色々な症状が出る恐れがあるといわれました。
今の痛みが1度目の術後の偽関節の時と同じなのですが、順調なのでしょうか?
いつまでもこの痛みが続くのなら骨を取ってしまいたいと思いますが、症例などはありますか?

[tomos]

 舟状骨骨折に関しては既に詳しく記述いたしました。たかさんの場合、残念ながら保存的治療で骨癒合が得られず偽関節になり、二度の手術を受けられたそうです。一度目の手術で移植した骨は癒合しないで吸収されたとのことですが、これは打撲による皮下出血がしばらくすると自然に吸収されるのと同じで、人間の身体には体内の余分なゴミを掃除する働きがあるのです。
 舟状骨は8つある手根骨のうちの一つですが、舟状骨骨折のような手根骨の骨折時には、同時に手根骨を繋ぐ靱帯が損傷し手根不安定症を合併することもあります。たかさんのケースに当てはまるかどうかはわかりませんが・・・。
 手術していただいた大学病院の整形外科は、教授が「手の外科」に精通しておられます。二度目の手術の経過が順調なのかどうかは、現在診察していただいている主治医にお尋ね下さい。(患者さんの手もレントゲン写真も見ずに tomos がお答えするのは、なかなか難しいです・・・)
 なお、tomos は残念ながら舟状骨を摘出した症例の経験がありません。

(May/20/2001)

奈津子 [01年 2月 09日 (金) 11時 03分] 岐阜県在住、35歳、女性
身長 159cm、体重 50kg、職業:主婦
【スポーツ歴】
特になし
【既往歴】
特になし
【合併症等】
特になし
【現病歴】
アレルギー性鼻炎
【医療機関】
整形外科病院
【診療内容】
橈骨神経の圧迫麻痺と診断され、現在週3回ほどリハビリに通う。圧迫部から麻痺の部分までの距離と、神経ののびる速さ(約1ミリ/日)を考えると、治るには長くかかるでしょう、とのこと。
【相談・質問】
先生、よろしくお願いします。1ヶ月ほど前、イスの堅い肘掛けで、左腕肘の外側上部10センチ位の所を圧迫したままうとうとしてしまい、左手首が全く上がらなくなってしまいました。指は、人差し指と親指が他の指よりは若干上がるかな、という程度。特に不自由でなければ装具を作らなくても良いでしょうとDr.に言われました。装具無しでも回復への影響はありませんか。また、回復までにはやはり何ヶ月もかかる場合が多いのでしょうか。リハビリ(ストレッチ、屈伸など)は、家でもかなり頑張って行った方がよろしいでしょうか。ご相談いたします。

[tomos]

 橈骨神経が麻痺すると、手首や手指が伸ばせなくなり、この状態を下垂手(drop hand)と呼んでいます。また、手の甲の母指・示指間がしびれます。橈骨神経は肘の少し上の外側で上腕骨に接しています。そのため固い肘掛け等で同部が圧迫されると、容易に橈骨神経麻痺が生じます。このような圧迫麻痺は、神経が切れた訳ではないので、たいてい3ヶ月以内に回復します。
 圧迫神経麻痺は自然に回復しますが、長期間手を動かさないでいると、拘縮といって関節が固くなることがあり、その防止のため手首・手指のストレッチング(屈伸)を行っています。また、装具の装着、低周波刺激や、神経の回復を促すといわれているビタミンB12の投与なども行っています(たいてい自然に治りますが・・・)。担当医がコメントされているように、特に不自由でなければ、装具は装着しなくても神経の回復には影響ありません。また、発症後すでに1ヶ月が過ぎていて、もうそろそろ回復の兆しが見えてくる頃なので、装具はもう必要ないでしょう。ストレッチングはリハビリに通院してされていると思いますが、ご自分でもされるといいでしょう。

(Feb/12/2001)

最適化 [01年 1月 14日 (日) 15時 16分] 大阪府在住、33歳、男性
身長 182cm、体重 71kg、職業:会社員
【スポーツ歴】
中学(野球) ジョギング この半年は何もしていない
【既往歴】
無し
【家族歴】
母親が10代で結核
【合併症等】
無し
【現病歴】
1年ぐらい前から両手指先の痛み
半年前程からその痛みが終わって、右手指(人差し・親・中)が冷たく感じる
【医療機関】
整形外科
【診療内容】
検査:レントゲン
治療:首吊り 薬
説明:手の色が変わっていても特に説明も無く、治療方法は変わらない
【相談・質問】
指の痛みが始まったのは、1年ぐらい前だったと思います。
特に、右手の痛み(親、人差し、中指の3本)です。
痛みの内容は、指に力が加わると痛みがはしると言うものでした。
缶ジュースを開ける時などに、強い痛みがはしっていました。
その痛みが消えていったのが、半年前程だったと思います。
それからはいつの間にか、右手の(親、人差し、中指の3本)が冷たくなるのです。はじめはジョギング等の体を動かした時だけ冷たくたっていたので、さほど気にはしませんでしたが、秋〜冬になるにつれて、その症状が出る時間が長くなって、今では、ちょっと外に出るだけで指・爪の色が紫色に変色し、人差し指先の皮がめくた上にめくれてきて、痛くキーボードを打つのもちょっと支障があるくらいです。
近所の整形外科へは、1ヶ月ほどまえから行っているのですが、症状は悪くなっても、治療方法も変わらず、薬(血液の循環を良くすると言われている)も同じで、様子を見ようと言うばかりです。
ちなみに、僕は首がちょっと右に曲がっていて、病院のレントゲン検査では、特に神経を圧迫している様な異常は認められないと言う事です。
(詳しい事は、MRIで検査しないとわからないと言われた)
その他診察では、手を上に上げると右手の脈が少し落ちる程度で問題ないと言われています。
このままだと、指が腐ってきそうで怖いのですが、大丈夫でしょうか?

[tomos]

 手の痛み・痺れ・冷感を生じる疾患は数多くあり、ネット上のやりとりだけではなかなか鑑別が難しいです。考えられるものを幾つかあげてみました。

 まず血管の病気から
1)Buerger 病:喫煙する男性に多く、初発年齢は40歳以下。手足の指・趾の血管が閉塞し、痺れ・冷感を生じる。重症になると手足が腐る。4肢(両上肢、両下肢)のうち、2肢以上がおかされる。
2)Raynaud 病:10〜20代の女性に多く、寒冷、感情興奮などにより両側手指の冷感が出現する。

 次に自己免疫疾患
3)強皮症:中年女性に多く、最初は寒冷刺激により両側手足の指・趾が冷たくなる、皮膚がこわばるなどの症状が出現します。

 そして整形外科疾患
4)頸椎椎間板ヘルニア:頸椎の椎間板が飛び出し、神経根(脊髄から手や腕の方に根っこのように枝分かれする神経)を圧迫すると、片側の手の痛み・痺れが生じます。
5)胸郭出口症候群:第1肋骨と鎖骨の間で神経・血管が圧迫され、腕〜手の痛み・痺れ・だるさを生じる。やせ型の女性、筋肉質の男性でまる肩(なで肩)の20代、30代がなりやすい。
6)手根管症候群:使い傷みや外傷などにより、手首のところで正中神経が圧迫され、主として母指・示指・中指の掌側(手のひら側)の痺れ・傷みを生じる。中年女性に多く、特に夜間に手の痺れが強い。

 その他。内科関係では数多くありますが代表例は
7)糖尿病:糖尿病が進行してくると、両手や両足が痺れてきます。
8)神経内科的疾患:珍しい疾患がたくさんありますが、一般の方には難しいので省略します。

 (メールでお聞きしたところでは)ここ数年は喫煙をしていない33歳の男性で、右手のみの痺れ・冷感があると言うことになれば、整形外科医である tomos は、やはり整形外科関係の4)5)6)を疑ってしまいます。胸郭出口症候群や手根管症候群に関しては、症状の再現を誘発するテストがあり、整形外科にかかっていると言うことで、おそらく担当医が調べられていると思います。頸椎椎間板ヘルニアがあるかどうかは診察でもある程度診断がつきますが(頸椎椎間板ヘルニアにも症状の再現を誘発するテストがあります)、MRI検査が有用です。
 どちらにせよ、お聞きした症状では、特に手術などの特別な治療が必要と言うことでもなさそうですから、現在の治療を続けられたらいいと思います。

(Jan/16/2001)

はな [01年 1月 13日 (土) 1時 16分] 長崎県在住、20歳、女性
職業:学生
【スポーツ歴】
特になし
【診療内容】
骨にも腱にも異常なし。「こりゃ深いぞ〜」と言われ植皮を勧められました。痛み止めと化膿止めの薬を飲んでいます。
【相談・質問】
スライサーで自分の右手の中指の第一関節あたりも一緒にすってしまったんです(直径1センチくらい)。植皮を勧められたのですが、植皮するならその近くの似ている皮がいいと言われました。とすると、手や腕の皮・・・?傷跡がまた増えるなら、このまま治してもいいんじゃないのかなぁと思うんですけど、時間もかかるし、関節の、しかも外側なんで、曲がりにくくなると言われたんです。
そのままにして、治る過程でたまに曲げたりしててもだめなんでしょうか?(幸い第一関節ってあまり曲げる時ないような?ピアノ弾いたりしてても無意味?)
植皮せずにそのまま治したらどのくらい汚く(醜く?)なるのでしょうか?
植皮の為にとられた部分はどのくらいきれいに治りますか?
自分の皮を別の部分に移動させるっていう事があまりにも気持ち悪くてなるべくならしたくないんですけど、いまいちした方がいい!とふみきれるような理由もなく迷っています。母は、「若いんだし、そのままでも治る治る!」と言います。それぞれのメリットとデメリットを教えてください。

[tomos]

 tomos は、手指や手の手掌側(手のひら側)の比較的小さな皮膚欠損は wet dressing 法という方法で治しています。我々の仲間ではこれを「アルミホイル療法」と呼んでいます。これは皮膚欠損部が乾燥しないようにカバーしてやり、肉が盛り上がったり皮がはってきやすいようにしてやる治療法です。tomos は欠損部にイソジンゲル(商品名)というドロドロした薬を塗りアルミホイル(台所で使うアレ)で覆ってやります。アルミホイルを使うのは安価で入手しやすく、患部にはりやすいからです。もちろんアルミホイルは滅菌します。アルミホイルの交換は3〜4日に1回でよく、原則的に抗生剤の服用も不要です。1cm程度の欠損でしたらたいてい4〜6週間でほぼ治ります。
 植皮もよく行われる方法です。植皮は治療期間が2〜3週と短期間になるメリットがあります。関節の部分の皮膚欠損のように、欠損部が治った後に傷が引きつって関節が動きにくくなる恐れがあるときも植皮が行われます。
 さて、前腕などから植皮すると治った後に植皮部の色調が周囲と異なり、美容的に違和感が残ることがよくあります。また採皮部に新たな傷を作ってしまいます。毛が生える部位から植皮すると、毛まで生えることがあります。隣の指から皮膚をつながったままの状態で剥がし、皮膚欠損のある指の欠損部を被覆し植皮する cross finger 法(有茎植皮という方法の一種)という治療法もあります。これもよく行われています。しかし、2週間も指をくっつけたままにしておくのは結構辛いものです。
 ところで、手指や手の手掌側の皮膚には特徴があり、他の部位の皮膚と性状が違います(見ればわかりますネ)。また、治りやすいという特徴もあります。wet dressing 法によって生じる新たな皮膚は、性状が元の皮膚の状態に非常に近く、美容的にも非常に優れています。
 wet dressing 法のデメリットとしては、1)治療期間がやや長い、2)不必要に手指をじっとさせていると手指の動きが悪くなる、などがあげられます。1)に関しては治療期間が耐えられないぐらい長いということもないですし、2)に関しても治療中に手指をそれなりに動かしておけば後で動きにくくなるということは少なくなります。植皮をした場合でも、不必要にじっとしていると手指の動きは悪くなります。
 tomos は個人的には wet dressing 派です。

(Jan/13/2001)

T.Y [01年 1月 12日 (金) 0時 05分] 千葉県在住、22歳、男性
身長 177cm、体重 100kg、職業:大学生
【スポーツ歴】
アメリカンフットボール(大学4年間)
【既往歴】
特になし
【家族歴】
特になし
【合併症等】
特になし
【現病歴】
特になし
【医療機関】
特になし
【診療内容】
未受診
【相談・質問】
私はつい最近まで大学でアメリカンフットボールをやっていました。
手などの突き指や足の捻挫などはよくあることで、それほど気にしないのですが、昨年の12月下旬に引退して以来、左手人差し指の第二関節の側部(左側)がぽこっと盛り上がっていることに最近気づきました。

触ってみると骨のような感触でとても固いのですが、特に痛いというようなことは現在はありません。逆の人差し指はこのようになっていないのでおそらく最近なったものだと思うのですが・・・

病院に診てもらったほうが良いのでしょうか?


[tomos]

 実際に診察させていただいて、レントゲンを撮ればすぐわかるのですが・・・。指の突き指を何度もされているということから、外傷が原因で指の関節が変形したものと思われます。痛くなければそのまま様子を見られてもいいでしょう。特に治療もいりません。ガングリオン等の腫瘤も考えられないこともないですが、もしだんだん大きくなったり痛みが出てくるようでしたら、整形外科で診察を受けて下さい。

(Jan/12/2001)

YUMIKO [00年 1月 19日 (水) 23時 07分]

 はじめまして。私は42歳の主婦です。3年位前から冬になると手の指先が痺れてきてすごく気持ち悪くて、病院でリウマチの検査をしたんですが異常なしだったんです。その後二つの病院で見てもらったんですが、何もわかりません。でも暖かくなると普通になるんです。
 今年は左手が全体に痺れてて、本も持ってられないときもあります。何か悪い病気なんでしょうか教えて下さい。お願します。

[tomos]

 「主婦の手の痺れ」の原因となる疾患で日常よく見かけるのは手根管症候群です。頸椎症頸椎椎間板ヘルニア胸郭出口症候群などでも手が痺れることがあります。また腱鞘炎上腕骨外顆炎でも手や腕が痺れるように感じることがあります。
 慢性関節リウマチ(RA)では「手が痺れる」よいうより「関節がこわばる(特に朝方)」という症状が特徴です。RA以外の自己免疫疾患でも関節のこわばりが生じることがありますが、疾患によっては「レイノー症状」といって「冷えると手の血行が悪くなり冷たく紫色になる」といった症状が現れることがあります。
 内科の病気では、糖尿病でも手足が痺れることがあります。また喫煙は手足の血行を悪くします。
 やはりもう一度、念のため病院で診察していただいた方がいいと思います。それでも特にこれといった異常が見つからない場合は、手の保温に気をつける、食事に気をつける(血行を良くする食事)、喫煙する人は禁煙する、血行を良くする軟膏・クリームを塗る、等に注意されるといいでしょう。

(Jan/27/2000)

ナナ [00年 1月 02日 (日) 11時 35分]

 あけましておめでとうございます。はじめまして、私、ナナといいます。ひとつ教えていただきたく、メールしました。
 16才の男子で、昨年9月、柔道の最中に、1本の指の第2関節を脱臼(開放)し、近くの病院で、診察、手術されました。現在、腫れ(関節周囲のみ)が残り、皮膚の色も、軽く青紫色です。少々の圧痛、しびれがあります。この腫れは、何ですか?骨ですか、それとも、周囲の組織ですか?なくなるのでしょうか?それは、いつ頃ですか?将来、機能障害は起きるのでしょうか?
 是非、教えてください。よろしくお願いします。

[tomos]

 先日、女子柔道の「やわらちゃん」田村選手が左の小指のPIP関節(指の根元から一つ目の関節)を脱臼骨折(剥離骨折を伴う)していましたが、ご相談の16歳男子さんは左中指のPIP関節を開放脱臼(剥離骨片を伴う)されたようです。
 脱臼は関節包(関節の袋)や靱帯が切れて関節がはずれてしまうことですが、開放脱臼は更にずれた骨が皮膚を突き破って骨が皮膚の外にむき出しになってしまった脱臼をいいます。
 このような脱臼骨折に対して我々は、感染(化膿)が一番怖いですから、まず創部をきれいに洗浄・消毒します。そして脱臼を整復した後、掌側板(てのひら側の靱帯)や関節包(関節の袋)を可及的に修復(縫合)しますが、16歳男子さんのように掌側板の付着部の剥離骨片を伴う場合は、その骨片を整復固定する操作を行います。最後に皮膚を縫合します。神経や動脈、腱が切れることはあまりありません。
 術後は約3週間シーネ固定(副木固定)した後、関節を動かす運動を始めます。
 外傷によりダメージを受けた関節は線維組織(傷んだ組織を修復するための線維状の組織)ができて瘢痕(はんこん)化し、腫れて固くなります。これが元のように腫れがひき柔らかくなるには数ヶ月要します。開放脱臼は関節にとってはかなりのダメージですから、外傷の程度によっては腫れが治まるまで半年から1年を要することもまれではありません。また、場合によっては、関節の動きが悪い、完全に曲がらない・伸びない、関節に無理をかけると痛む等の機能障害が残ることもあります。

(Jan/13/2000)

TOKO [99年 5月 28日 (金) 1時 23分]

 現在4歳の娘のことでご判断頂きたくお願いいたします。
 娘は2歳半で保育園に入園してまもなく、保母さんに「右手親指が曲がったままである」ことを指摘されました(その保母さんのお子さんも同じ症状で当時、大学病院の整形外科にかかっていたようです)。初めての子供なもので、指摘されるまで私はそれには気が付きませんでした。すぐに整形外科医院で診察を受けたところ、「自然に治ることがあるのでマッサージをして下さい」と、消炎鎮痛剤のクリームを処方されました。
 その半年後、症状に変化がないので市立病院の整形外科にかかりました。それまでに指が伸びているのを見たのは1〜2回でした。そこでは「すぐに手術をしたほうがよい」と言われ、「全身麻酔で3〜4日の入院が必要」と言われました。「手術はとても簡単なものだ」と言われましたが、全身麻酔が気になって保育園の保母さんに相談したところ、保母さんのお子さんは「局所麻酔で手術できる年齢まで待っている」とのことで、次に保母さんと同じ大学病院の整形外科を受診しました。そこでは、やはり「直ぐには手術はしない」という方針でしたが、担当医の先生個人の意見では「早く手術をしたほうが良い」とのお考えで、でもそこでは手術はできないので母子医療センターを紹介されました。
 そこでしばらく悩んで期間が過ぎるのですが、3歳半ころ母子医療センターを受診しました。そこでは、寝る時だけ指に装具を着けてしばらく様子を見ることになりました。最初の2ヶ月は起きた時は指がポキポキいって伸びるのですが直ぐに伸びなくなり、またポキポキ動かすときは痛がりました。装具も当たる所が赤く皮がむけたりするので、毎日は着けられません。その後の3ヶ月くらいは、起きて指をポキポキしてもあまり痛がらなくなりました。装具を着け始めてから半年くらい経って先生に意見を聞くと、「あまり伸びる気がしない」とのことで、「装具を着けたりして長い間治療することを考えたら、手術したほうが楽なのではないか」と手術を勧められました。
 これまでの経過で、最初のころは指が伸びているのをほとんど見たことがなかったのに、装具を着けると毎朝伸びているので「治るかも」と期待してしまうのですが、すぐに曲がって1日中曲がっている状態を見ると、やっぱり手術したほうが良いのかなと思ってしまいます。色々な意見を聞きすぎてわからなくなっているのが現状です。
 是非とも先生のご意見をお聞かせ下さい。また、早い時期に手術を受けなかった場合の悪影響は有るのでしょうか?お教え下さい。文才が無く、大変読みにくい相談でしたがどうぞ宜しくお願いいたします。

[tomos]

 小児の弾発指に関しては以前にも述べましたが、その治療法については、手術をしないで装具等で治す保存的治療が一般的なようです。
 確かに手術をすれば確実に問題なく治りますが、自然に治癒するケースもあり、また装具を10ヶ月位装着しているとほぼ90%のケースで治ったとの報告もあり、あわてて手術をする必要はないでしょう。
 しかし、「1年近くも装具を続けるぐらいなら、手術をして早く治したい」というご両親もいらっしゃり、手術を選択することもあります。なお、小児のための手術は全身麻酔で行うため入院が必要となり、少々おおげさになります。
 結局、保存的に治すか手術で治すかはご両親の選択の問題でしょう。
 また、小児の弾発指は保存的に治そうが手術で治そうが治ってしまえば全く障害が残らず、治療時期の早い遅いもほとんど問題にならないと思われます。

(Jun/2/1999)

NK [99年 4月 05日 (月) 13時 31分]

 31歳OLです。よろしくお願いします。
 2ヶ月程前から、右手掌側の親指から母指球のあたりのしびれを感じていました。しかし、ここ最近特に夜間にかけて痛みがひどく、しばしば痛みで夜中に目が覚める状態になり先日整形外科を受診しました。
 受診した結果、左手の母指球に比べ右手の母指球がやや痩せていること、また親指と人差し指で円を作り力の入り具合を調べた結果、やはり右手は左手に比べ力が劣ること、また右手首を屈曲させた時にしびれ痛みが増強することから「手根管症候群」と診断されました。
 とりあえず、患部にステロイド剤を注射してもらいましたが、数日はよいのですがすぐ元にもどってしまいます。(尚、現在薬は投与されていません)主治医には「あまり状態がかわらないのであれば、手術を考慮してもよいかもしれない」と言われていますが、手術しないとだめなものでしょうか?
 Tomos先生の記載されている手術説明書を読ませていただきましたが、この手術は外来でできるものですか?もし、入院しなくてはいけないとすればどのくらいの期間必要なのでしょうか?またスポーツ復帰(ラケット競技)までどのくらいかかりますか?いままで手術などと言われたことがないので、とても不安です。お忙しいところ恐縮ですが、アドバイスをいただけたらと思います。

[tomos]

 手根管症候群は、手首のところで正中神経が何らかの原因で圧迫されるために起こる神経障害の一種です。手首の使いすぎが原因のことが多く、女性に好発します。NKさんがおっしゃったような症状は手根管症候群の典型です。神経伝導速度や筋電図などの検査を行い、診断の助けにすることもあります。
 保存的治療のキーポイントは、まず手首を安静に保つことで、夜間だけ手首に装具(夜間装具)をあてたりしています。手根管部にステロイドを注射することもよく行われます。しかし、これらの保存療法でも症状が改善しない場合や、母指球の筋力低下(筋萎縮)がある場合は、手根管開放術などの手術が行われます。この手術は局所静脈麻酔や伝達麻酔などの麻酔で行われることが多く、通院のみで治療が可能です。手術後はギプス固定・包帯固定などを行い約3週間は手首を安静に保ちます。スポーツへの完全復帰は手術後約3ヶ月ぐらいはみた方がいいかもしれません。
 なお、鏡視下にこの手術をすることもあり、この場合は手術による侵襲が少なく、後療法も短めになります。

(Apr/14/1999)

NK [99年 4月 20日 (火) 13時 19分]

 先日「手根管症候群」で相談させていただいたNKです。(名前を書いていたのに、いつのまにかイニシャルになっていたのでビックリしました。)
 ご丁寧な回答ありがとうございました。ただ私の症状は、保存的治療を始めてから約1ヶ月経ちますが、いっこうに良くなる気配はありません。どういうタイミングで手術にふみきればいいのか迷っています。(確かに日常生活には困ってはいるのですが、もしかして切らずに治るのではないかと淡い期待を抱いているのですが・・・。)何か目安となるものというのはありますか?

[tomos]

 神経が圧迫されて麻痺が出現した場合、神経の圧迫を取り除く手術が行われますが、NKさんのおっしゃるように手術に踏み切るタイミングが問題です。
 たとえば神経の圧迫や炎症が軽い場合、症状は軽度のしびれのみで、局所の安静で治ることがあります。一方、筋力低下や筋萎縮が認められた場合は手術に踏み切ります。この場合、筋電図等の検査を行い参考にしています。
 手根管症候群の場合、母指球筋の筋力低下(母指と小指をくっつけにくくなる)や筋萎縮が出現するようでしたら手術に踏み切った方がいいと思います。

(May/5/1999)

NK [99年 6月 03日 (木) 15時 53分]

 tomos先生こんにちは。4月に手根管症候群でご相談させていただいたNKです。
 相談後も治療を続けていましたが(薬物療法、正中神経ブロックなど)、症状は改善されずMRIをとってみてその結果で手術をするかどうかを決めましょうということになりました。MRI検査の結果、手根管部に明らかな異常は認められないということで、手術の適応はまだ早いと言われました。(完全に母指球がやせてきたら手術しましょうとのことでした)
 現在も痛みやしびれは続いているのですが、それに対しては対症療法しかないので、「ギプスを巻いて完全な安静をはかって様子を見てみましょう」と言われました。
 tomos先生の相談ボードやインターネットで手根管症候群の情報を集めていて、果たしてこの治療でいいのか疑問を持つようになり、先日地元で手の専門と言われる医師の診察を受けました。(今までの治療経過も全て話して・・・。)
 診断の結果、右手母指球が左に比べやや痩せてきていること、筋力低下が認められること、親指の外転が行いにくいこと、知覚が鈍いことなどからなるべく早く手術したほうがよいと言われました。診断に間違いはないと思うが、手術を行う前に筋電図の検査を行いその結果をもとに、内視鏡を使用して手術をしましょうと言われています。
 そこでお伺いしたのが、果たしてどちらの医師の意見を取り入れればよいのかと言うことです。前述の主治医は文献等で調べながら、一生懸命対応して下さっていますし、人間的にも好感を持っています。ただ主治医は手術の適応はまだ早いといわれ、また一方では早く手術したほうがよいと・・・。
 主治医には、他の病院にかかったことは話していないので、手術をするとなると余計に悩むところなのですが・・・。長々と書いてしまいましたが、このような場合どうしたらよいのかアドバイスをよろしくお願いいたします。

[tomos]

 「複数の医療機関で見立てが違い、このような場合どうしたらよいか」という質問には、同じ医療関係者としては非常にお答えしにくいですが、「まずは筋電図の検査を受け、それで手根管症候群と確実に診断され筋萎縮も認められる場合は、手術(内視鏡視下手術は傷が小さくてすむ)をうけられるのがいい」と思います。

(Jun/24/1999)

あさたろう [99年 3月 07日 (日) 13時 32分]

 私は絵を描きますが、何年も前から腱鞘炎で絵が描けなくなることがあります。ほかの人と比べると、腱鞘炎になる頻度が高いような気がします。筆圧はとても弱く、あまり手首を酷使しないようにしているのですが、どうしても腱鞘炎になりやすいようなのです。「くせになっているんじゃないか」とか「鍛え方が足りない」だとか人にはいわれますが、くせになったり、鍛えれば良くなるなんてことがあるのですか。
 パソコンでCGなどもやるのでマウスを操作するときなどに痛みます。仕事でCGなどを制作するので、今後のことを考えると不安です。なんとか予防したいのですが...。
 それと、痛みだしたら、手っ取り早く痛みを取り除く方法はありますか。ふだんは温湿布などをあてたりサポーターをつけて治るのをじっと待つしかできないのですが、治療法などなんでもいいので教えてください。
 1)年齢、24歳。2)性別、女。3)身長・体重。165センチ・48キロ。4)職業(職種)アルバイト。8)ご相談の傷病の詳細(時期・原因・症状等)、9年ほど前から絵の描きすぎで手首が痛むようになりました。9)治療・検査の有無・内容・受けた説明、レントゲンをとってもらい、湿布を貼るように言われました。10)医療機関の種類 整形外科 。

[tomos]

  あさたろうさんの症状は腱鞘炎頸肩腕症候群によるものですが、メールでお聞きしたところでは手首にガングリオンもあるそうです。長時間にわたり手を使う作業は、どうしてもこういった症状が出現しやすいです。
 予防のためには同じ姿勢での作業を長時間継続しないのが大事です。時々一休みして体操(フラダンスでもOK)でもして気晴らしをするのもいいでしょう。「鍛えれば良くなる」といったことはありませんが、スポーツをして多少とも筋力がアップすれば腱鞘炎等は発症しにくくなると思います。時には何かスポーツ(ウォーキングでもよい)を行いレフレッシュしましょう。
 腱鞘炎や腰痛、肩こりには消炎鎮痛剤が効果的ですが、最近は消炎鎮痛剤を含有した外用薬が普及してきています。tomos は腰痛持ちですが、自分が腰痛に見舞われたときには消炎鎮痛剤が高濃度含まれている「モーラステープ」という外用薬を患部に貼っています。これは大変よく効き、24時間効果が持続します。ただし皮膚が少しかぶれやすいです。モーラステープは一般の薬局では市販されていませんから、病院や医院で処方してもらうといいでしょう。

(Mar/15/1999)

たいちゃん [99年 3月 02日 (火) 0時 59分]

 去年のゴールデンウイークの頃ですが、転んだときに左手をついてしまいました。そのときはかなりの痛みがあり、すぐに整形外科につれていってもらいました。レントゲン検査の結果、舟状骨にうっすらとしてほとんど分からないくらいの縦に伸びるすじというか、骨の線維の波があったため、舟状骨骨折の”疑い”ということで副子固定を受けました。2週間後にまたレントゲンを撮る予定になったのですが、急に長期海外出張に出ることになり、それっきりとなってしまいました。その上今になると悪かったなと思うのですが、1週間ほどで痛みがひいたため素人判断で固定を取ってしまいました。
 現在、舟状骨を手のひら側から押すと痛みがある上、手首を回すときにゴリゴリという音がするとともに角度によってはロッキングを起こしたり、関節が亜脱臼するときもあります。また、手首をてのひら側に曲げるとき右に比べて10度くらい小さい角度しか曲がりませんし、ずっと少し腫れています。
 先日診て頂いたところ、骨傷は分からないものの、手根不安定症ではないかといわれました。とくに薬や治療はなく帰ってきましたが、このまま治らないのではと不安です。やはり手術か何かしないとだめなんでしょうか。もし手術をしたら、どのくらいの間手を使えなくなるんでしょうか。やっぱりギプスをするんでしょうか。何でも結構です。いろいろ教えてください。<(. .)>

[tomos]

 手の手首に近い付け根の骨は手根骨と呼ばれ、8つの小さな手根骨から構成されています。その8つの手根骨はおおむね2列に並んでいて、手首に近い方の列は(親指側から順に)舟状骨、月状骨、三角骨、豆状骨、手首から遠い方の列は(親指側から順に)大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鉤骨と呼ばれています。これらの手根骨はお互いに関節を作って接し、複雑な靱帯で結合しています。
 手根不安定症は、この手根骨の配列に異常が生じた状態をいい、多くは月状骨が正常の位置からずれることによって生じます。外傷によって起こることが大半で、多くは手根骨・手首の骨折や手根骨の靱帯損傷によって生じます。
 「たいちゃん」さんの場合は、明らかな骨折が認められないことから、靱帯損傷によって手根不安定症を生じたと考えられ、症状からは舟状骨と月状骨の間の靱帯損傷がもっとも考えられます。
 外傷後早期であれば、徒手整復経皮的ピンニング(切開せずに、徒手でずれた手根骨を整復し、皮膚の外から綱線で手根骨を固定する手術)や観血整復・靱帯縫合(切開手術でずれた手根骨を整復して綱線で固定し、損傷した靱帯を縫合する手術)が行われます。
 「たいちゃん」さんのような受傷後かなり経過した陳旧例では、舟状骨を周囲の手根骨と固定する手術などがよく行われます。手術後は約3〜4週間ギプス固定をすることになります。手術法によりますが手術後約3ヶ月は多少とも不自由な思いをするかもしれません。

(Mar/2/1999)

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